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二度めの旅立ち

二度めの旅立ち


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

同僚とレストランに入ったライザは、ふと誰かの鋭い視線を感じ、身震いした。顔を上げると、見覚えのある青い瞳に射貫かれた。スティーヴ!別れたはずの夫が、今さら私になんの用?1年前、ライザはまったく身に覚えのない不貞を彼に疑われ、限界まで追いつめられて、耐えきれずに家を飛びだしたのだった。数日後、今度は取引先の社長としてライザの前にスティーヴが現れ、去り際に、謎めいた言葉を残していった。「また僕のもとに戻ってくるんだ。貸したものは返してもらう」ライザの心はかき乱された。彼なしの人生は虚しい。でも、私を信じてくれない人と暮らすのは……もっと虚しい。

■複雑に絡み合う男女の機微を鮮やかに描きだすことにかけては右に出る者なし!のシャーロット・ラム。まるで一組の夫婦の心の中をこっそり覗き見るような感覚に浸れる、1983年のヒット作です。

抄録

「うちに連れて帰って、スティーヴ」
 スティーヴはライザの方を見て笑った。ライザの心臓は止まりそうになった。
「スティーヴったら!」
「何だい、マイ・ダーリン?」
「そんな呼び方をするのはやめて、私の家に行ってちょうだい」
「どうして君は、ジョン・リスターにわれわれのことを話さなかったんだい?」
 ライザは息を止めた。「冗談はよして!」
「会社の連中は君のことを何一つ知らないようだ」
「私が宣伝して回るとでも思うの?」ライザは苦々しい思いを噛みしめた。
「リスターがぼくらのことを知ったら、どんな反応を示すかな?」
「ジョンに言うつもり?」
 スティーヴは利用できるものは何でも利用する。会社で私が自分の過去について何一つ明かしていないことも、彼にとっては一つの武器になるのだ。ライザは下唇をきつく噛んで、人通りのない路上を見つめていた。スティーヴはそんなライザをじっと観察している。彼は人がどの程度のプレッシャーに耐えられるかを的確に知っているのだ。
 やがてスティーヴは口を開いた。「そうだな。エヴァン・ライトも、この契約がだめになったところでさほど気にしないだろうからね」
「脅迫するつもりなのね。あの契約を取り消すかもしれないって脅す気なの?」
「そんなことはしないさ。だけど、ジョン・リスターが事情を知った後でもぼくの仕事をする気になるかどうかってことの方が問題だ。以前ぼくが君の……」スティーヴは的確な言葉を探してしばらく口をつぐんだ。「君は、ぼくのことを何と言ってたっけ? 君の‘所有者’、だったかな?」
 ライザは頬を赤くし、膝の上で手を固く握り締めた。
「君の言ったとおりの言葉を使っただけなんだぜ」スティーヴはなぜライザが怒るのかわからないといったような罪のない風を装った。
「あなたをナイフで切りつけたいわ!」
 ライザが言うと、スティーヴは静かな笑い声をたてた。「やりかねないな、君なら。君はその髪みたいにかっと燃え上がりやすい気質をしているから」
 言い争いに夢中になっていたので、ライザは、頭上の黄色いランプを見るまで、車が地下の駐車場に下りていっていることに気がつかなかった。
「うちに帰らせてよ、スティーヴ」ライザは怒った声で言った。
「うちに帰ってるよ、ハニー」スティーヴは小さく笑ってそうつぶやいた。
 スティーヴが車を止めるのを見届けてから、ライザは横を向き、彼の頬をひっぱたいた。スティーヴは、彼女の手首をつかんで体の脇に引き下ろした。
「君はよく知っているはずだよ、マイ・ダーリン。それともまだわからないのかい? ぼくが誰からも平手打ちされるような男じゃないってことを」
「私はあなたの家になんか入らないわよ」スティーヴに押さえつけられている手が痛かった。だがそれ以上に恐怖が全身を痛めつけていた。
 スティーヴは何も答えなかった。ライザは身を振りほどいた。彼にこんな風にじろじろ見られるのにはとても耐えられない。
 スティーヴの頭がゆっくりと下りてきて、唇がかすかにライザの頬にふれた。「ハニー、君が欲しくてたまらなかったんだよ」
 どうか彼を拒絶する力をお与え下さい――ライザは目を閉じて祈った。どんなに抵抗しても、いったん彼にふれられると、いつも私は自分を失ってしまい、彼の意のままになってしまう。
「私は中には入らないわ」ライザはおまじないのようにそう繰り返した。
「それなら君を運んでいってもいいんだが、そんなことをするとちょっとした物議をかもすだろうからね。何とかここでやってみよう」
 ライザは目を見開いて叫んだ。「私にさわらないで!」
「ずいぶん久しぶりじゃないか、ハニー」スティーヴは少し動揺した声でそう言い、頭を下げてきた。
 二人の戦いはいつも同じ経過をたどる。パターンはいつも同じなのだ。スティーヴは、ライザが自分には抵抗する力などないことを認め、降参するまで、攻撃をやめない。ライザはしっかりと唇を閉じ、彼の体を押しのけ、身を振りほどこうとするのだが、それはただ単にスティーヴと彼女自身の興奮をかきたてる結果になるばかりだった。
 ライザは自分の内に情熱が湧き上がってくるのを苦々しい思いで意識しながら、その情熱がコントロールできなくなるほど大きくなる前に、何とか彼から逃れようと必死の努力を続けた。
 スティーヴは誘うように唇を動かしながら、長い指をライザの体の上にはわせた。どうすれば彼女を喜ばせ、その欲望をかきたてることができるのかを、スティーヴは確実に知っているのだ。
「ダーリン」スティーヴは耳もとでささやいた。暖かな息がかかった。彼の唇があごから喉に、そしてまた唇にと戻った。
 ライザは疲れ果て、泣きたいような気持に襲われて、重くまぶたを閉じた。そのとたんにライザの自制心は崩れ落ちた。唇が開き、体がスティーヴの愛撫に応え始めた。
 スティーヴは押し殺したうめき声をもらした。彼は激しく唇を求めながら手を豊かな髪の中に入れ、うなじに手を当てて頭をさらに引き寄せた。もう一方の手は体のカーブをなぞっていく。
 ライザも手を彼の首に回し、キスを返した。体の中で赤い炎が激しく燃え上がっていくのがわかる。


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