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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル

伯爵と花嫁の十二夜

伯爵と花嫁の十二夜


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 アニー・バロウズ(Annie Burrows)
 つねに本を読んでいるか、頭の中で物語を創作しているような子供だった。大学では英文学と哲学を専攻し、卒業後の進路は決めかねていたところ、数学専攻のハンサムな男性と出会い、結婚する決心をしたという。長年、2人の子供の子育てを優先してきたが、彼女の頭の中にある物語に興味を持ってくれる人がいるかもしれないと思い、小説を書きはじめた。

解説

人違いで交わされた夫婦の契り。愛なんて、望むべくもない……。

ジュリアは煮えきらない幼なじみの男性との関係がもどかしく、クリスマスの仮面舞踏会で一計を案じる――やどり木の下で出会った男女がキスをする古来の伝統にあやかり、彼をやどり木の下へおびき出す作戦だ。皆が思い思いの仮装をするなか、ジュリアは幼なじみを見つけ、首尾よく彼を会場から連れ出すと、思いきって熱いひとときを過ごした。まさか、仮面を外した“彼”が、幼なじみとは別人とも思わずに!相手の正体は、美形だがどこか陰のある伯爵アレック・ダンバー。激しく動揺するジュリアに、不機嫌な伯爵が思いもよらぬ宣告をする。「もう結婚するしかない――もっとも妻にふさわしくない君と」

■大人気英国人作家A・バロウズが描くクリスマス・リージェンシーをお贈りします。伯爵との結婚を前に、自分の幼なじみへの思いは本物の恋ではなかったと気づくジュリア。伯爵とは表向きだけ愛し合う夫婦のふりをすると約束したのに、やがて彼を愛してしまい……。

抄録

 ああ、じれったい。デイヴィッドったらもう、さっさと礼儀を忘れて少しくらい無謀になったらどうなの? 待っていてもしかたがない。こちらから行動を起こすしかなさそうだ。
 彼のヒップから手を引いたジュリアは、燕尾服の外からごそごそと前方に手を伸ばして彼の手に触れた。真鍮の望遠鏡を握っていることを考え、できるかぎりしっかりとつかんでから、軽く引っ張った。
 それだけで充分だった。彼は羊のようにおとなしく、近くのドアまでついてきた。それはちょうどテラスに出るドアで、ジュリアは彼の手を握ったままテラスをずんずん進み、いちばん端にある階段を下りていった。
 後ろは見なかった。真っ暗な植え込みの中を歩くときでさえ、前だけを見ていた。植え込みを抜け、屋敷の裏手に出たあとは、とりわけ注意した。鎧戸の閉められていないひとつ二つの窓から淡い光が漏れていて、温室のガラス天井がまるでスパンコールをちりばめたかのようにきらきらと輝いている。
 行き先に温室を選んだのは、そこが暖かくて居心地のいい場所だったからだ。キッチンの裏側に接し、特別な通気管が通っているため、冬のあいだでも父が集めためずらしい熱帯の植物が霜の被害を受けずにすんでいる。入り口のドアは、庭師を束ねるガトリーの手で最初の客が到着したときに施錠されていた。誰かがぶらりと入って、出ていくときにうっかりドアをあけ放したままにされると困るからだ。しかし、温室には夏のあいだ換気のために上げ下げする窓があるのだが、たくさんある窓のうちのひとつだけは鍵が壊れたままになっていた。午後に確認したばかりだから、間違いない。
 窓を上げるときにはデイヴィッドの手を放さなければならないけれど、そこは大丈夫だろう。ここまでついてきて、今さら逃げるとは思えない。
 ジュリアは窓から入ると、脇によけてデイヴィッドが入るのを待った。再び静かに窓を閉める。大事な植物が寒風で弱ったりしたら、ガトリーがどれほど憤慨するか。それに、隙間風にさらされたくないのはジュリアも同じだった。肌がほとんど覆われていない状態で寒いのは勘弁してほしい。
 それにしても暗かった。室内を照らすのは屋根から差し込むかすかな月明かりだけだ。東側に密集したやしの木がカーテンの役割を果たし、屋敷から届くいっさいの明かりをさえぎっている。
 ところが、この暗さはデイヴィッドをふだんと違う大胆な人間に変えてしまうようだった。振り返るより先に腰を抱かれ、そのまま頬にキスをされた。彼の唇が肌に触れると、甘い震えが背筋を駆けた。彼の三角帽子がジュリアの羽根とぶつかった。
 低い声を漏らした彼は、帽子とかつらをとって脇に放った。腰を曲げ、いちばん上に望遠鏡を置こうとしている。ジュリアは振り返った。もう一度抱いてほしかった。ただ今度は正面から向き合い、ちゃんとしたキスができるようにした。今度は唇にしてほしい。だから、彼が腰を伸ばすと同時にその首をかきいだき、彼が何か言うより先に――声が聞きたいと言われるより先に、唇を押しつけた。声を出せば正体を見抜かれ、屋敷へと戻される。帰り道でずっと説教されるのは目に見えている。
 ああ、なんてすてきなの! 彼はジュリアを抱いて、キスを返してくれた。
 ようやく、ようやくだわ。夢見ていたのと何ひとつ変わらない。ううん、それ以上よ。こうして腕に抱かれてみると、彼は思っていたより上背があって肩幅も広い。思っていたよりずっと……たくましくて、そして男らしい。
 胸がどきどきして、走っているときのように息が苦しくなった。そう思ってふと気づくと、実際に足が動いていた。彼がジュリアの向きをわずかに変えて、奥の壁のほうに歩かせている。壁際にはベンチがあった。ああ、デイヴィッドは思い出してくれたのだ。雨の日に二人でよくあそこに座って、いろいろな話をしていたことを。だけれど、そう、父が彼を追い払ってしまったのだった。
 彼はキスを中断させることなくベンチまで進み、そこで片手を伸ばしてクッションの位置を確認した。腰を下ろし、ジュリアの手を引いて座るように促す。そんなに引っ張らなくてもいいのに。ジュリアは意志の力で懸命に自分を抑え、それでどうにか彼の膝に体を投げ出さずにすんでいたくらいだ。ただ彼は膝ではなく、ベンチの隣にジュリアを座らせた。それでもよかった。二度目のキスは天にものぼる心地だった。体を押されても抵抗する気は起こらなかった。どんどん押されつづけ、ついには半ば組み敷かれる格好で、みっともなく仰向けになっていた。
 みっともないのがなんだっていうの? ジュリアは吐息を漏らした。彼の体重がかかってきても、うれしいばかりで重いとは感じなかった。彼の首を抱いて顔にキスをし、彼の両肩をまさぐりながら、続けてほしいという気持ちを行動で示した。マリアンヌとネリーに今の姿を見られたら、一線を踏み越えた事実をデイヴィッドはもう否定できない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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