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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・コルトンズ

冷たい独身貴族

冷たい独身貴族


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・コルトンズ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サンドラ・ステファン(Sandra Steffen)
 RITA賞受賞作家。読者の記憶に残るような登場人物を生み出すのが創作活動をする際の楽しみの一つだという。パソコンの画面で登場人物に命を吹き込みながら日々を送れることに胸をときめかせている。十人きょうだいの四番目としてミシガン州で育った。彼女にとって実在のヒーローである夫、やんちゃな四人の息子たち、たくさんのすてきな友人、親戚、隣人たちに囲まれ、にぎやかな生活を送っている。

解説

 弁護士のケリーは、仕事を終えて郡庁舎から出てきたとたん、車中にキーをつけたまま、ドアをロックしていたのに気づいた。急ぎ、守衛に処理してもらおうとなかに引き返すが、守衛の姿はどこにもない。この風雨で、どうしたらいいのだろう? 途方にくれて建物のなかをさまよっていると、やり手の判事のグレイ・コルトンと鉢合わせした。法廷で彼にいつも冷ややかな視線を向けられているため、ケリーは居心地の悪さを覚えずにはいられなかった。だが天候はどんどん悪化していき、やむをえず二人は庁舎で過ごすことに……。
 ★シルエット・コルトンズは本作で大団円を迎えます。ラストシーンでは一族が勢揃い。後日談もお楽しみいただけます。★

抄録

 グレイが目をあげると、ケリーが彼を見つめていた。化粧は洗い落とされ、髪はブラッシングされ、天井の照明で頬骨と顎の下に陰影ができている。観察力のある澄んだ瞳が、青い検査着のせいでさらにグリーンに見えた。すっと通った細い鼻、口は……。
 キスしたくなるような唇だ。
 グレイはあえて目をそらして立ちあがった。アリーシャはつかんでいた彼の指が急に引き抜かれてびくっとし、一瞬泣きだすかに思われた。グレイは、ケリーにしっかりと抱かれた赤ん坊がまたリラックスするのを見て、ようやく息を吐いた。
「インタビューに答える準備なんてまったくできていなかったわ」ケリーは打ち明けた。
「きみはプロのように応対していたよ」
 彼女は娘を見おろしてほほえんだ。どうやらおしゃべりしたい気分らしく、ケリーは言った。「わたしは弁護士で、あなたは裁判官よ。あなたがしてくれたことを深読みする人もいるでしょうね」
 グレイはちくちくするうなじをかいた。
「わたしがこの件を利用して法廷で特別待遇を求めるなんて勘繰るかもしれない。わたしはあなたにそんなことを頼まないと約束するわ」
「もちろんわかっているよ」
「もし、腎臓《じんぞう》のドナーが必要になったら会いに来て」彼女は彼にほほえみかけた。「そうでない限り、以前どおり、仕事上の付きあいだから安心してね」
 ケリーは顔をあげて片手を差しだした。グレイは、彼女も心の奥底では自分がなにをしているのか理解しているはずだと思った。“以前どおりの仕事上の付きあい”とはどういう意味だ? 彼はケリーの手を取ってゆっくり握手した。
 ケリーの胸はふくらみ、欲望に似た感情が体の奥で芽生えた。出産後に続いていた軽い痛みとは違う。それに英雄崇拝でもない。ああ、どうしよう。困ったわ。まさに厄介な問題の兆候じゃない。
 わたし自身が問題を招かなければいいのよ。彼女は彼に握られた手を引き抜いた。「ありがとう」
 グレイはいらだった。「お互いすべきことをしただけさ」
 まあ。「わたしはお花や、風船や、アリーシャのぬいぐるみに対してお礼を言ったのよ」
 沈黙が落ちた。グレイは不機嫌そうだけれど、とりあえず、わたしはふたりの関係を節度ある状態に戻した。あとはこれを維持しなければ。「それじゃ、法廷で会いましょう、裁判官」
「グレイだ」彼は口答えしたいならしてみろと、けしかけるように目を光らせた。
「でも、さっき同意したでしょう」
「今日の午後、きみ自身が言ったじゃないか。ぼくたちはあまりにも多くを分かちあい、少なくとも法廷外では他人行儀にふるまうことはできないと」
「そんなことは言っていないわ」
「だったらなんて言ったんだ?」
 ケリーは、グレイに見られたような姿は、本来、医者や恋人しか目にすべきではないと言ったのを思いだし、息をのんだ。まさか、あのことじゃないわよね。二度とあんなことは言えないわ。
 グレイは大胆不敵な笑みを浮かべた。
 その魅力的な男らしい笑顔に、彼女はつい心を許してほほえみ返した。
「ケリー?」
「なに?」
「お互い承知のように、ぼくは医者じゃない」
 彼は静かに廊下に向かった。ケリーはぽかんと口を開けた。鼓動が乱れ、頭がぼうっとしていた。
 グレイは戸口で言った。「用があれば電話をくれ」
「わたしが言おうとしていたのはまさにそのことよ。いい考えじゃないわ。賢明なのは……」彼女は唇を結んで顎をぐっとあげた。「なにも用はないわ。法廷で会いましょう」
 ケリーは、彼が踵《きびす》を返して出ていく前の表情を見てしまった。彼女の言葉はグレイを打ちのめしたようだ。
「あんなことを言うべきじゃなかったかもしれないわね」ケリーはささやき、アリーシャの驚くほどやわらかい頬に鼻をすり寄せた。「でも、ほかにどうすればよかったの?」
 赤ん坊は泣きだした。その声が大きくなると、ケリーは娘を胸に抱き寄せた。とたんに泣き声がやんだ。簡単ね。彼女は赤ん坊の頭を撫でながら思った。子育ては自然の流れに任せればいい。だがそれは、グレイ・コルトンには通用しない。絶対に。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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