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美しい人

美しい人


発行: キリック
シリーズ: 美しい人
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆5
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解説

「美少女すぎる美少女アイドル」「一万年に一人の美少女」と呼ばれるルッキョンこと瑠桃響花《るとうきょうか》は、弱小芸能事務所に所属する期待の大型新人アイドル。持ち歌は一曲しかなく、まだ知る人ぞ知る存在だが、素直で明るい性格と少し天然なところが受けはじめ、人気アイドルの階段を確実に、順調に駆け上がっていた。だが、アイドル合同イベントに参加したその日から、状況は一変する。控え室で響花にいやがらせをした女性アイドルグループが謎の失踪。数日後、フード付きのコートを着た謎の殺人鬼「白い顔の男」に惨殺される様子がインターネットで公開されたのだ。それ以降も、響花に近づいた者は次々と殺害され、ショッキングな映像となって衆目に晒された。
単なる過激なストーカー殺人鬼なのか、それとも犯人には何か目的があるのか。やがて、物語は惨殺から虐殺を経て、究極の破滅のカタルシスへと向かう……。

 鬼才・狂気太郎が『ジャーロ』(イタリアの伝統的なホラー映画の総称)をオマージュして書き下ろした血みどろエンターテインメント! 

目次

第一話 弱小芸能事務所の大型新人
第二話 ホワイトフェイス
第三話 強襲
第四話 破滅の足音
第五話 ブラッド・フェスタ
第六話 美
エピローグ

抄録

 暗闇からのフェードイン。浮かび上がったのは室内だった。壁も床もむき出しのコンクリート。吊り下がった裸電球が一つ。明かりはそれだけで、映像の端は薄暗かった。
 三人の女性が並んで立っていた。映像は斜め上から三人を見下ろすような視点。
 三人は、両腕を真上に差し上げ、ユラユラと体を揺らしていた。
 両手首がまとめて手枷《てかせ》で固定され、それを鎖で吊られているのだった。
 鎖の長さは絶妙に調節され、三人は、爪先立ちでぎりぎり床に触れることが出来ていた。しかしその状態をうまくキープ出来ないため、フラついたりなんとか立て直したりを繰り返していた。
 三人は、『誘惑ドリーミン』のメンバーだった。左の長身の女性が三村美沙《みさ》。中央の丸顔の女性が先田智恵理《さきたちえり》。右の垂れ目の女性が小谷《こたに》さやか。ジャケットやパーカーなどの外出用普段着姿だった。
 不安か苦痛か、彼女達の歪んだ顔が、急に固まった。三人の視線が同じ方を向いている。
 右端の闇から新たな人影が登場した。
 その人物はベージュ色のロングコートを着ていた。体格からは、おそらく男性だろう。コートの前を閉じ、フードを目深《まぶか》にかぶっていて顔は見えない。軍手を填《は》めた右手に、細長い器具を持っている。
 三人はさらに顔を引きつらせていく。視線が下を向いている。コートの人物の持つ器具を見ているようだ。
 三村の口が動いた。何か喋ったようだが声は聞こえない。この動画は音声が入っていなかった。
 コートの人物は右の小谷に歩み寄る。顔と顔が触れ合うくらいに。小谷が必死で下がろうとして、靴先がコンクリートの床を掻《か》く。
 少しして、小谷はギョッとしたような表情を見せた。コートの男が何か言ったらしい。
 小谷は激しく首を振り、何か喋っている。横の仲間達に視線を向ける。と、今度は他の二人が慌てて何か叫んでいるようだ。コートの男のフードが動き、三人を見渡している。
 三人はずっと喋っている。表情は険しく、仲間割れしているようにも見える。小谷など隣の先田に蹴りを入れていた。
 コートの男が上体を少し屈めた。器具を両手に持ち替え、それが何なのかが明らかになった。
 男が持っていたのは、刈込バサミに似た大型のハサミだった。柄《え》まで金属製の一体構造で、全長は一メートル以上あるだろう。鈍い光沢を放つ刃は鉈《なた》のように分厚く頑丈そうに見えた。
 三人が、凍りついた。
 小谷が叫んでいるようだ。その左足に、男がハサミの刃を開いて当てた。スカートのすぐ下、膝の部分。
 小谷は鎖に引っ張られながら、なんとか少しでも下がろうとしていた。だが男が容赦なく長い柄を閉じ合わせた。
 おそらく悲鳴を彼女は上げているのだろう。小谷は物凄い形相《ぎょうそう》となって口を開き首を体をうねらせていた。左膝から血が流れている。もがいた拍子に膝の関節がパクッと開いた。彼女の左膝は半分くらいちぎれ、ブラブラになっていた。切られた骨の白い断面が見える。長い柄で、てこの原理の助けがあったとはいえ、骨を切るにはかなりの力が必要であったろう。
 膝の残った部分に男がまた開いたハサミを当てた。すぐ閉じる。膝が完全に切れた。小谷の左脛が床に転がった。
 膝から血がボドボドと落ちていく。小谷は叫び続けているようだ。他の二人は眼球が転げ落ちそうなほどに目を見開いて固まっている。
 下に向けたハサミの刃からも血の滴が垂れていた。細い肉片が刃に絡みついている。男は両手で持ったままハサミを何度か振り、肉片と血液を飛ばした。
 それから男は、まだ喚《わめ》いている小谷の顔に、フードを近づけた。
 何か言われたようだ。小谷は泣きながら首を振り続ける。狂ったように振っている。左膝からの出血は止まらず、このままでは失血死するかもしれない。
 だがその心配は、男の次の行為で解消されることになった。
 男が開いたハサミを無造作に差し上げ、小谷の喉を二枚の刃で挟んだ。小谷の顔がさらに歪む。
 男がハサミを閉じた。刃があっけなく肌に食い込んでいき、力のかけ方のせいか、小谷の首がクニャッとねじれて顔が左上を向いた。彼女の目は、まだ助けを求めるようにフードの男を見ていた。
 刃が完全に閉じて、男はハサミを引き抜いた。小谷の頭部が、後ろに傾いてそのまま倒れていった。首は一部の筋肉と皮膚だけ残してほぼ切断されていた。その断面は溢れ出す血ですぐに見えなくなった。
 床に触れていた右足が力を失い、小谷の胴がユラユラと揺れる。首の断面からどんどん血が溢れ、彼女のパーカーを赤く染める。
 小谷さやかは死んだ。
 仲間の死にざまを見届けた二人はまだ固まっていた。いや、中央の先田智恵理が息苦しそうにしている。呼吸が速い。恐怖のあまり過呼吸発作を起こしたのだろうか。
 フードの男が歩み寄り、顔を近づけた。
 何か尋ねられたのだろうか。しかし先田は反応出来ず、白目をむき始めていた。
 男が、踵《きびす》を返して画面の右へと消えていった。
 十秒ほどして戻ってきた時、男は、別の凶器を持っていた。
 それは、大型の鉈だった。エッジは鎌のように湾曲し、先端側が重く作られていて叩き切るのに向いている。ネパールのグルカ族が使うことで有名な、ククリナイフと呼ばれる刃物だった。男が今握っているものは通常のククリよりも大きく、刃渡りが五十センチほどもあった。
 左の三村が何か話しかけているようだが、先田はもう聞こえていないようだ。男は先田の正面に立ち、ククリナイフを両手で握って振り上げた。
 男はククリナイフを振り下ろした。素早く、なめらかな動作で、刃は先田の胴体を通り抜けた。
 先田の左肩から股間まで、赤い線が出来ていた。それが次第に太くなり、突然ガパッと胴が開いた。
 胴体が真っ二つとなり、大量の血とともに内臓が零れ出してきた。切れた腸が床に落ちる。腕を鎖で吊られているため倒れることが出来ず、二つになった胴はクルリと半回転し、反動でまた戻った。その際に彼女の断面がさらけ出された。肺の断面から血の霧が噴いた。
 先田智恵理は死んだ。
 彼女の右半身が揺れた際、隣の三村に寄りかかった。新鮮な血液が三村の服を汚す。
 そこで三村が大きく口を開けて叫び始めた。無音の動画だが、彼女の断末魔の悲鳴は容易に想像出来た。仲間の二人は死んだ。彼女が生き残れる見込みはもうなかった。
 男はククリを振って血糊を落とした。それから画面の右へと消える。
 ふっと、三村は我に返ったように叫ぶのをやめる。助かる可能性があると思ったのかもしれない。彼女は早口で何か喋っている。必死に喋り続けている。哀願するように。
 凄い勢いで男が駆け戻ってきた。両手で握った何かを凄い勢いで振り下ろした。それはちょうど謝るようにうなだれていた彼女の後頭部に激突した。
 首が前に深く折れ曲がった。顎どころか鼻が胸につきそうになっている。後頭部の髪が、皮膚ごと大きく剥がれてベラリとぶら下がっていた。白いものが覗く、肉か頭蓋骨か。
 男が持っていたのは大型のハンマーだった。おそらく木製で、杭打ち用の木槌だろう。男は数歩下がり、再び凶器を持ち上げた。
 首の折れ曲がった三村の、口がまだ動いていた。助けを求めるように。
 そこをハンマーの第二撃が襲った。渾身の振り下ろしは再び三村の後頭部を打ち、首が引きちぎれた。潰れた生首が床にぶつかり、転がって画面の外に消えた。
 残った三村の体は、何度か派手に痙攣《けいれん》した後で動かなくなった。靴底が完全に床についていた。鎖に吊られた両腕が伸びて見える。肩が脱臼したのかもしれない。
 三村美沙は死んだ。
 ドクドクと溢れた血が三村の服を染め、床に広がっていく。三人の死体の下に大きな血溜まりが出来ている。
 アイドルグループ・誘惑ドリーミンは皆殺しとなった。
 男がゆっくりと、右に戻っていく。その時、フードの下が少しだけ見えた。右頬と顎の一部。
 男の肌は、異様に白かった。
 画面がフェードアウトしていき、男の姿が右端についた頃に、映像は終了した。

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