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鳥かごのシンデレラ ベレア家の愛の呪縛 I

鳥かごのシンデレラ ベレア家の愛の呪縛 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンスベレア家の愛の呪縛
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ペニー・ジョーダン(Penny Jordan)
 1946年にイギリスのランカシャーに生まれ、10代で引っ越したチェシャーに生涯暮らした。学校を卒業して銀行に勤めていた頃に夫からタイプライターを贈られ、執筆をスタート。以前から大ファンだったハーレクインに原稿を送ったところ、1作目にして編集者の目に留まり、デビューが決まったという天性の作家だった。2011年12月、がんのため65歳の若さで生涯を閉じる。晩年は病にあっても果敢に執筆を続け、同年10月に書き上げた『純愛の城』が遺作となった。

解説

醜いあひるの子は知らなかった。彼女を求める、白鳥の情熱的な瞳を。

6年前に両親が亡くなってから、ベアトリスは夢をあきらめ、美しいがわがままなきょうだいを必死に育ててきた。そして彼らからの、使用人のような扱いに耐えていた。しかしある夜、妹にディナーの給仕をしているところを、富豪のエリオットにからかわれ、彼女はついに耐えられなくなる。きょうだいの中で一人だけ美しくないのが、そんなに悪いこと?屈辱と恥ずかしさから、ベアトリスがキッチンに逃げこんでも、追いかけてきたエリオットは“泣き顔まで醜い”とあざけった。ところが彼女が怒ると“かわいい君”と呼び、唇を奪って……。

■2011年に惜しまれつつ亡くなった、ロマンスの女王ペニー・ジョーダン。彼女の幻の未邦訳4部作を刊行します。第1作のヒロインはベレア家でいちばん奥手なベアトリス。そんな彼女にエリオットはしびれを切らし、強引な方法で迫りますが……。

抄録

 今夜のエリオットは、何度かベアトリスのことを新しい“家主”だと紹介した。その言葉をほかの客たちがどう解釈したか、ベアトリスは気になっていた。彼らは二人がつき合っていて、私の家で同棲を始めたのだと思っているに違いない。
 悔しいけれど、誤解されているとエリオットに指摘するのは愚かという気がする。きっとエリオットは“君の勝手な妄想だ”と言うはずで、ベアトリスは唇を噛んだ。それどころか、“そんな妄想をしたりして、じつは本当だったらいいのにと思っているんじゃないか?”と意地悪く返されるかもしれない。
 時計の針が零時をまわったころ、エリオットはベアトリスをおしゃべりの輪から巧みに引き離した。さりげなくベアトリスを引き寄せる彼に、何人かが心得たような顔をする。しかし、恋人気取りで触れられたわけではない以上、ベアトリスには文句も言えなかった。
「行こう、シンデレラ」エリオットがのんびりと言った。「とっくに寝る時間だ」
 ベアトリスは憤慨し、思わず赤くなった。みんなが、エリオットは早く帰って愛し合いたいのだと考えているからではない。そんな理由で怒ったりはしない。エリオットにその気がさらさらないことは、誰より私自身がよくわかっている。そうではなく、エリオットがまたしても“シンデレラ”と呼びかけて、私をからかったのがいやなのだ。
 きょうだいと違って弁の立つほうではないベアトリスに、エリオットと真っ向から言い争うなどできるはずもなかった。彼がルシーラやベネディクトと言葉で闘うのを、何度聞いたか。エリオットの引きしまった力強い体の内側には、鋭く危険な精神が宿っている。そんな複雑で恐ろしいものと渡り合うなんて、私にはとうてい無理だ。
「楽しめたか?」エリオットが車の助手席のドアを開けながら尋ねる。
 今夜、無理に連れ出されたことをどう思っているか、ベアトリスがはっきり言おうとしたそのとき、雲間から月が顔を出し、彼の瞳が期待とからかいに輝いているのが見えた。
「なぜ私をそう挑発するの?」言うはずだった言葉のかわりに、彼女は吐息をついた。「強引に私を連れてきて……あなたは……」
「僕は?」エリオットは先を促し、ベアトリスがシートベルトを締めるのを待って、車のエンジンをかけた。
「まるで私を怒らせたいみたい」ベアトリスは途方にくれたように言った。
 エリオットはやさしく笑ってからかった。「そのとおりだよ、|美しい《ベツラ》ベアトリス」
 エリオットの笑い声と、不適切きわまりない愛称の残酷さに、ベアトリスはすっと心を閉ざした。今さら念を押されなくても、自分が美しくないことは知っている。
 きょうだいが投げかける、軽率でときに残酷な言葉については、いかに姉を傷つけるか気づいていないせいだと受け流してきた。でも、エリオットまで許すつもりはない。彼はわざと言葉を選んでいるのだ。
 エリオットの言葉を無視して顔をそむけ、ベアトリスは窓の外に目をやった。しばらくしてそっとようすをうかがったら、彼はどこか怖い笑みを浮かべて運転に集中していた。
 車が自宅の私道にとまったとき、ベアトリスは自分がひどく緊張していたことに初めて気づいた。全身に力が入っていたのか、息を吐き出したら肺が痛い気がした。
 助手席のドアを開けようとするとロックがかかっていて、ベアトリスはとっさにエリオットを振り返った。彼はこちらを向いていたが、陰になった顔から表情は読み取れない。ロックを解除してと頼もうとしたのに、エリオットは彼女を制するようにもの憂げに尋ねた。「ミリーが、君はブラジャーをつけていないと言いかけたとき、あんなにもぴりぴりしてきまり悪そうにしたのはなぜだ?」
 ベアトリスは恥ずかしさと気まずさに、爪がてのひらに食いこむほどこぶしを握った。
 エリオットは数秒の間を置いて続けた。「なぜそんなに自分の体に劣等感を抱く? ベレア家らしからぬ体型だからか? ほかの家族みたいに背が高くなく、胸が小さくないからか?」
 エリオットの隣でこんな言葉を聞かされるなんて、現実とは思えなかった。一度もなかったことだし、エリオットらしくもない。好かれていないとはつねづね感じていたけれど、これまでは軽蔑されても、私の家族に対するときと同じで、どこかおもしろがっている節があった。今みたいに二人きりのときに、まっすぐぶつけられたことは一度もない……。
 ふと気づくと、二人の距離は無視できないほど近くなっていた。痛烈に言い返してやりたかったのに、動揺したベアトリスは言葉がうまく出なくなった。「私は……あの子たちは……あなたは……」


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