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恋のマナー
著: ジュディス・マクウィリアムズ 翻訳: 矢部真理発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:630円(税込)
10ポイント還元
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著者プロフィール
ジュディス・マクウィリアムズ(Judith McWilliams)
気がつくと、読んでいたロマンス小説を自分の好みに書き直していた彼女。それを知った夫の助言で、自ら執筆を始め、現在に至る。夫とともにアメリカ中を旅する機会が多く、その体験が彼女に大きな影響を与えているという。庭いじりや家族の世話をしていないときには、最大の楽しみである執筆に励む。もと教師で、四人の子供がいる。
気がつくと、読んでいたロマンス小説を自分の好みに書き直していた彼女。それを知った夫の助言で、自ら執筆を始め、現在に至る。夫とともにアメリカ中を旅する機会が多く、その体験が彼女に大きな影響を与えているという。庭いじりや家族の世話をしていないときには、最大の楽しみである執筆に励む。もと教師で、四人の子供がいる。
解説
両親を亡くした貧しい十六歳の少年マックス・シェリダンは人生の目標として、億万長者・結婚・家庭の三つを掲げた。十七年後、彼は摩天楼のオフィスのデスクに座り、長者番付に初めて載った自分の名前に見入っていた。次は結婚――理想の妻を獲得することだ。上流階級出身で、長身、ブロンド、魅力的。早急にこの条件を満たす女性との出会いを果たしたい。彼はマナーコンサルタントのジェシー・マーティネリを雇い、これまで敬遠してきた華やかな社交界に足を踏み入れた。彼女の助言で正しいマナーと妻を手に入れるつもりだった。
★主にシルエット・ロマンスでお楽しみいただいてきたジュディス・マクウィリアムズの作品をハーレクイン・イマージュから初刊行! 目標に向かって邁進するヒーローに恋したばかりに、愛することの苦しみを知るヒロイン、ジェシーの切ない物語です。★
★主にシルエット・ロマンスでお楽しみいただいてきたジュディス・マクウィリアムズの作品をハーレクイン・イマージュから初刊行! 目標に向かって邁進するヒーローに恋したばかりに、愛することの苦しみを知るヒロイン、ジェシーの切ない物語です。★
抄録
ドレスのジッパーを下ろそうとしたが、布地が引っかかってまったく動かない。マックスは急いでいるのに、どうしたらいいの?
ジェシーは試着室のドアを少し開け、顔だけ出した。
「どうしたんだい?」マックスが尋ねた。
「店員の女性はいる?」
「いや、まだ在庫室にいるんだろう。どうして?」
「ジッパーが引っかかって動かないの。無理やり下ろしたら、生地が破けてしまいそうで」
「後ろを向いて」マックスが指示した。
ジェシーはとっさに試着室に逃げ込んで、店員が戻ってくるのを待つという弱気の衝動に襲われたが、自尊心がそれを許さなかった。
彼女は深く息を吸ってとめたまま、ゆっくりと後ろを向き、マックスに背中を見せた。
マックスが近づいてきて、大きな体から発散される熱に周囲を取り囲まれると、ジェシーの心臓は狂ったように高鳴りだした。彼のぬくもりが薄いシルク地を通して伝わってきて、肌がひどく敏感になった気がした。
ジェシーは下唇をかんで、マックスへの強烈な肉体的関心を潜在意識の底に押し戻そうとした。だが、彼の指が背中に触れるのを感じた瞬間、彼女はその闘いに負けた。
「糸が挟まっていたんだ」マックスの声がした。「すぐに取るからね」
マックスの指先が首をかすめると、身震いがして、彼に体を押しつけたいという激しい欲望に駆られた。ジェシーは身をこわばらせ、全身を駆けめぐる震えを封じ込めようとした。彼の手が偶然触れただけで、こんなにも激しく反応していることを絶対に気づかれたくなかった。
「取れたよ」ジッパーはようやく動くようになった。次の瞬間、ジェシーはほてった背中がひんやりとした空気に触れるのを感じた。その感覚はたちまち、マックスの温かな両手がドレスの端から滑り込んで、肩をそっと抱かれる感覚に変わった。
「柔らかい肌だね」マックスは彼女の髪に顔を押しつけた。「サテンみたいだ」
ジェシーは詰まった喉から肺に空気を送り込もうとあえいだ。本能的に体じゅうを駆けめぐる感覚を余すところなく味わおうと、目はそっと閉じていた。
ジェシーが思わずよろめくと、マックスは肩をつかんだ両手に力を込めて、自分のほうを向かせた。
ジェシーは恐る恐る顔を上げ、マックスの瞳のめくるめく深みの中でたちまち迷子になった。彼の瞳は何かの感情をたたえて輝いていたが、混乱した彼女には読み取れなかった。不意に何も考えられなくなり、感じることしかできなくなった。
存在すべてを焼き尽くすような強烈な渇望が高まる中、ジェシーがじっと見つめていると、マックスの唇が近づいてきた。彼との触れ合いが待ちきれず、本能的に体が伸び上がる。
マックスの唇が唇をそっとかすめると、自制心の糸がぷつりと切れて、ジェシーは解き放たれたように彼の腕の中に深く身をゆだねた。渇望が体じゅうを駆けめぐる。理性も常識もかなぐり捨てさせる激しい渇望。存在の核心からわき出てくる原始的な渇望だ。
突然マックスは両腕に力を込めて自分の硬い体に彼女をぐっと引き寄せ、唇を激しく重ねてきた。
マックスの舌が下唇をなぞるのを感じて、ジェシーの体はびくっと反応した。彼女がはやる思いで唇を開くと、彼はすかさず入ってきた。彼の舌がうねるようにして、熱い深みの中に分け入ってくる。
ジェシーは強烈な感覚のとりこになって、いら立ち、切望するうめきをもらした。その感覚は麻薬のように理性をまひさせ、二人が店の試着室の外に立っていることを頭から消し去った。ただこのうっとりする感覚を絶やさないようにすることしか頭になかった。
マックスが唐突に体を離し、後ろにさがったので、ジェシーは置き去りにされたような気がした。強烈な歓《よろこ》びを不意に中断されてとまどい、彼女は舌先をはれぼったくなった唇に走らせた。マックスが心をかき乱すような熱い目で舌の動きを追うのを見て、ますます混乱するばかりだった。まだ満足していないなら、どうして……。
「このドレスなら、きっとお気に召しますわ」店員の声がジェシーの混乱した頭の中に割り込んできて、いきなり現実に引き戻された。
わたしは何をしていたの? ジェシーはぞっとした。マックスと深くかかわるのは、愚かしさの極みだとわかっていたのに。それなら、どうして彼の腕の中に身を投げ出すようなまねをしたの?
ジェシーはありがたい思いで、店員に促されて試着室に戻った。情熱が徐々に薄れていく中、店員の注意を引かないよう用心しながら、ぎこちない手つきでドレスを脱ぎ、ハンガーにかけた。店員にさっきの火花が散るようなキスを目撃されたかどうかも、それが知りたいかどうかもわからなかった。ただ早くドレスを買って、人生で最悪と言っていい愚行の現場から逃げ出したかった。何も起きなかったふりをして。
きっとできるわ。マックスも協力してくれるはずよ。彼にすれば、何も起きていないも同然なのだから。店でキスを盗むくらい、彼のような男性にとってはなんの意味もないことだろう。ついでに言えば、ジェシーにとってもそうであるべきだった。それなら、どうして違うの? わからない。わかりたいかどうかもわからない。その答えを知ったら、長年にわたる心の平安が脅かされかねない、いやな予感がした。
*この続きは製品版でお楽しみください。
ジェシーは試着室のドアを少し開け、顔だけ出した。
「どうしたんだい?」マックスが尋ねた。
「店員の女性はいる?」
「いや、まだ在庫室にいるんだろう。どうして?」
「ジッパーが引っかかって動かないの。無理やり下ろしたら、生地が破けてしまいそうで」
「後ろを向いて」マックスが指示した。
ジェシーはとっさに試着室に逃げ込んで、店員が戻ってくるのを待つという弱気の衝動に襲われたが、自尊心がそれを許さなかった。
彼女は深く息を吸ってとめたまま、ゆっくりと後ろを向き、マックスに背中を見せた。
マックスが近づいてきて、大きな体から発散される熱に周囲を取り囲まれると、ジェシーの心臓は狂ったように高鳴りだした。彼のぬくもりが薄いシルク地を通して伝わってきて、肌がひどく敏感になった気がした。
ジェシーは下唇をかんで、マックスへの強烈な肉体的関心を潜在意識の底に押し戻そうとした。だが、彼の指が背中に触れるのを感じた瞬間、彼女はその闘いに負けた。
「糸が挟まっていたんだ」マックスの声がした。「すぐに取るからね」
マックスの指先が首をかすめると、身震いがして、彼に体を押しつけたいという激しい欲望に駆られた。ジェシーは身をこわばらせ、全身を駆けめぐる震えを封じ込めようとした。彼の手が偶然触れただけで、こんなにも激しく反応していることを絶対に気づかれたくなかった。
「取れたよ」ジッパーはようやく動くようになった。次の瞬間、ジェシーはほてった背中がひんやりとした空気に触れるのを感じた。その感覚はたちまち、マックスの温かな両手がドレスの端から滑り込んで、肩をそっと抱かれる感覚に変わった。
「柔らかい肌だね」マックスは彼女の髪に顔を押しつけた。「サテンみたいだ」
ジェシーは詰まった喉から肺に空気を送り込もうとあえいだ。本能的に体じゅうを駆けめぐる感覚を余すところなく味わおうと、目はそっと閉じていた。
ジェシーが思わずよろめくと、マックスは肩をつかんだ両手に力を込めて、自分のほうを向かせた。
ジェシーは恐る恐る顔を上げ、マックスの瞳のめくるめく深みの中でたちまち迷子になった。彼の瞳は何かの感情をたたえて輝いていたが、混乱した彼女には読み取れなかった。不意に何も考えられなくなり、感じることしかできなくなった。
存在すべてを焼き尽くすような強烈な渇望が高まる中、ジェシーがじっと見つめていると、マックスの唇が近づいてきた。彼との触れ合いが待ちきれず、本能的に体が伸び上がる。
マックスの唇が唇をそっとかすめると、自制心の糸がぷつりと切れて、ジェシーは解き放たれたように彼の腕の中に深く身をゆだねた。渇望が体じゅうを駆けめぐる。理性も常識もかなぐり捨てさせる激しい渇望。存在の核心からわき出てくる原始的な渇望だ。
突然マックスは両腕に力を込めて自分の硬い体に彼女をぐっと引き寄せ、唇を激しく重ねてきた。
マックスの舌が下唇をなぞるのを感じて、ジェシーの体はびくっと反応した。彼女がはやる思いで唇を開くと、彼はすかさず入ってきた。彼の舌がうねるようにして、熱い深みの中に分け入ってくる。
ジェシーは強烈な感覚のとりこになって、いら立ち、切望するうめきをもらした。その感覚は麻薬のように理性をまひさせ、二人が店の試着室の外に立っていることを頭から消し去った。ただこのうっとりする感覚を絶やさないようにすることしか頭になかった。
マックスが唐突に体を離し、後ろにさがったので、ジェシーは置き去りにされたような気がした。強烈な歓《よろこ》びを不意に中断されてとまどい、彼女は舌先をはれぼったくなった唇に走らせた。マックスが心をかき乱すような熱い目で舌の動きを追うのを見て、ますます混乱するばかりだった。まだ満足していないなら、どうして……。
「このドレスなら、きっとお気に召しますわ」店員の声がジェシーの混乱した頭の中に割り込んできて、いきなり現実に引き戻された。
わたしは何をしていたの? ジェシーはぞっとした。マックスと深くかかわるのは、愚かしさの極みだとわかっていたのに。それなら、どうして彼の腕の中に身を投げ出すようなまねをしたの?
ジェシーはありがたい思いで、店員に促されて試着室に戻った。情熱が徐々に薄れていく中、店員の注意を引かないよう用心しながら、ぎこちない手つきでドレスを脱ぎ、ハンガーにかけた。店員にさっきの火花が散るようなキスを目撃されたかどうかも、それが知りたいかどうかもわからなかった。ただ早くドレスを買って、人生で最悪と言っていい愚行の現場から逃げ出したかった。何も起きなかったふりをして。
きっとできるわ。マックスも協力してくれるはずよ。彼にすれば、何も起きていないも同然なのだから。店でキスを盗むくらい、彼のような男性にとってはなんの意味もないことだろう。ついでに言えば、ジェシーにとってもそうであるべきだった。それなら、どうして違うの? わからない。わかりたいかどうかもわからない。その答えを知ったら、長年にわたる心の平安が脅かされかねない、いやな予感がした。
*この続きは製品版でお楽しみください。
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