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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

愛という名の足枷

愛という名の足枷


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

憎しみに燃える目で私を睨む彼が、この身に宿した子の父親だとは……。

アビーはロンドンのバーでルークと出会った。母の介護と日々の生活に疲れきっていた彼女は、彼とのつかの間の逢瀬を楽しみ、心から癒やされた。だが、ある事情からアビーはそれ以上の関係に進むことができず、ふたりはそのまま会うこともなかった。5年後、開発事業で成功を収め、大富豪となったルークがアビーの前に突然現れる。瞬時に甦る情熱のまま結ばれた翌朝、彼は冷酷に言った。「結婚に興味はない。だが愛人なら……」深く傷ついたアビーは、数週間後、体に異変を感じて愕然とする。

■伝説の作家アン・メイザーの新作をお届けします。その情感にあふれたドラマチックな世界観は、作家デビューから40年以上たった今でも変わらぬまま。熟成した大人のロマンスをお楽しみください。

抄録

 アビーは少し体重がふえただろうか? だとしたら、このほうがいい。それに髪も、以前のような淡いブロンドではない。ところどころ銀色の交じった豊かな蜂蜜色だ。その髪をポニーテールに結っていて、繊細な顔の骨格をあらわにしている。
 それにしても、なぜそんなことにいちいち気づいているんだ? 彼女のことでまたばかなまねをしたいのか? ああ、今も彼女を抱きたい。悔しいがそれは事実だ。だが、ただの肉体的な欲望に従って行動を起こすつもりはない。
 それまでためらっていたアビーが口を開いた。「今朝はコーヒーを飲まずに帰ってしまったわね」そう言って唇をかすかにゆがめた。「私が毒を盛るとでも思ったの?」
 ルークは口元をこわばらせた。「いや、そんなことはまったく思わなかった」
「それならよかった」アビーが唇を噛みしめた。「私が二人の関係を利用して今回の開発に関するあなたの考えを変えさせようとしているとは、思わないでほしいの」
「やめてくれ、君にそんな力はない」ルークはそこで言葉を切った。「それに、僕はもう思い出したくないんだ。君が夫を裏切ったのには自分にもいくらか責任があることを。もしかすると、ああいうことは初めてではなかったのかもしれないが」
「そんなことを言うなんて信じられないわ」アビーはいきりたち、あきれはてたようにかぶりを振った。「私ったらどうしてあなたに惹かれたりしたのかしら?」
「アビー……」
 いらだたしいことに、ちょうどそのときゴールデンレトリーバーが脚に飛びついてきて、ルークはバランスを崩した。倒れるまいとして思わずアビーの肩をつかむと、彼女のほうも反射的にルークの腰に腕を回した。
 突然、空気が緊張を帯びた。ぴったり寄り添っているアビーの温かい体を、ルークは痛いほど意識した。こうなるように仕組んだわけではない。だが、実際に体が触れ合ってみると、彼は不本意ながら、しかし間違いなく、欲望を刺激されていた。
 苦悶のうめき声を抑え、ルークはリードをつかんで犬を自分から離した。「僕はもう行ったほうがよさそうだ」
「ええ、そうね」アビーが硬い声で言った。「私も家に戻るわ」そのあと、気が進まないようすでつけ加えた。「どうか私のせいでほかの店主たちに厳しい条件をつけないでほしいの」
「僕にそんなことができるはずがない」
「あら、自分の力を見くびらないで、ルーク」アビーが辛辣な口調になった。「こんな事態になって、私たちはみんな大変なのよ」
「気の毒に思っているよ」
「本当に?」まるで彼を信じていないかのようにアビーが言った。
 ルークはうめいた。「僕にどうしてほしいんだ、アビー? 罪の許しを与えてほしいのか?」
「冗談はやめて!」アビーが顎を上げた。「あなたには何も望んでいないし、これまでも望んだことはないわ」
 ルークの顎がこわばった。「僕にはそうは見えなかったな。だが、それも勘違いだったんだろう。君のことでは、僕はほかにもいろいろ勘違いしていたようだから」
「なんて傲慢な人かしら!」
 アビーは犬のリードを両手でつかみ、ルークからあとずさった。青ざめた顔は激しい怒りでこわばっている。彼女を傷つけるつもりなどなかったが、どうやら傷つけてしまったらしい。ほかにどうすることもできず、ルークはアビーのあとを追った。
「アビー……」
「来ないで!」
「君と喧嘩したくない」まるでさっきの発言を後悔しているように聞こえ、ルークは自分がいやになった。
「そうなの?」彼に背を向けて通りに向かいながら、アビーが言った。「でも、心配しないで。こんな会話はなかったことにするから。いつまでに立ち退いてほしいか、弁護士を通じて連絡してちょうだい。そうしたら出ていくわ」
 ルークは敗北感を覚えながらアビーを追いかけ、彼女の腕をつかんで振り向かせた。頬が涙に濡れていることにすぐに気づき、高ぶる感情をこらえきれずに片手の親指でその涙をぬぐった。
「やめて」アビーはささやいたが、ルークは聞いていなかった。もし状況が違っていたら、二人が分かち合っていたかもしれない熱く濃密なセックスのイメージで頭がいっぱいだった。なぜ彼女に触れてはいけないのか、なかなか思い出せなかった。
 指の下のアビーの頬はとても柔らかく、ルークはいつのまにか親指で彼女の唇の合わせ目を撫でていた。
 アビーはとめようとはしなかった。ゴールデンレトリーバーのリードを命綱のようにしっかりと握っている。彼女の香りに陶然となったルークは、衝動を抑えきれずに身をかがめて唇を押しつけた。
 アビーの唇は熱く、思いがけず無防備で、五年前にかきたてられたあらゆる感情がどっとよみがえってきた。そのうえ、高ぶった下半身に彼女の腰が悩ましく押しつけられているせいで、ルークは完全に正気を失った。
「ルーク……」
 アビーがほとんど聞こえないくらいの声で名前を呼び、息をつまらせた。ルークの首に回された手はとても冷たく、その感触が彼を燃えあがらせた。
 だが、このまま突き進むわけにいかない。それだけははっきりしている。木が数本生えているとはいえ、こんな開けた空き地は人目につかない場所とは決して言えない。
 だが、それは別として、僕はいったいここで何をしているんだ?


*この続きは製品版でお楽しみください。

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