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ためらう唇

ためらう唇


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンダ・ハワード(Linda Howard)
 数々の受賞歴を誇る、世界中で大人気の作家。栄えあるNYタイムズやUSAトゥデイのベストセラーリストにもしばしば顔を出す。読むにしろ書くにしろ、本は彼女の人生において重要な役割を果たしているという。読み始めはマーガレット・ミッチェルの作品。それ以後、広く読書に熱中するようになった。少女のころから書くことが好きだったリンダの作家デビューは三十歳のとき。現在はアメリカの作家大会や授賞式の席に常連の人気作家で、サイン会にもひっぱりだこである。とりわけ、彼女の描くヒーローが魅力的だというファンが多い。現在、生まれ故郷のアラバマ州に夫とともに住んでいる。

解説

季節外れの贈り物は、他人同然の男との危険な同居生活――ロマンス界が待ち侘びたL・ハワード最新作、ついに日本解禁!

早春のウェスト・ヴァージニア。小さな町の一軒家で愛犬と暮らすボウのもとに、犬猿の仲だった元義兄から、十数年ぶりにバースデーカードが届いた。「プレゼントが気に入りますように。ちゃんと面倒みてくれよ」誕生日はだいぶ先だし、いったい何のいたずら?嫌な予感を覚えつつも無視しようとした矢先、顔色こそ悪いが野性的な雰囲気を漂わす長身の男が、家の前に現れる。モーガンと名乗るその男は義兄の部下で、銃撃で瀕死の重傷を負った特殊部隊のリーダーだった。事件の黒幕を暴き出す間、ボウの家に匿ってほしいと言い……。

抄録

「わたしに荷物をいじられたくなかったら、そう言ってね」
「とっくに言ってる。おれは別にかまわない」
「安心したわ」
「でも、武器が入ってるからな」
「別に驚かない。携帯許可は受けているの?」受けていないとしても、大目に見るべきだろう。ダイナを公共の場で酒に酔った罪で逮捕しなかったのとおなじだ。なんでも杓子定規に考えるとろくなことはない。
「ヴァージニア州の許可証を持っている」
 それでいいとしよう。ヴァージニア州とウェスト・ヴァージニア州は、銃の携帯許可に関して法律が異なっているけれど。「どっちの名義?」
 彼は無表情のままだった。「両方」
 彼がどんな組織に属しているのか、ぜひ知りたい。政府の仕事をしているのはたしかだろうが、アルファベットで表される機関のうちのどれ? でも、そうだとすると知らないのがいちばんだから、なにも尋ねなかった。ジェシーに調べられても、モーガンの正体がばれないようにすること。肝心なのはそこだ。
 彼に見えるようにダッフルバッグを動かし、かたわらにしゃがんでジッパーを開けた。ひげ剃り道具はすぐに見つかった。いちばん上にあったので取り出した。ひげ剃り道具の下はピストルのケースだった。中身はグロック41Gen4。重たいし邪魔になるのでそれも取り出して横にどけておいた。銃弾の箱三つもおなじ。「三箱で足りると思うの?」ハムリックヴィルみたいな田舎町で、彼はなにを警戒しているのだろう。
「足りないと思えばもっと持ってきている」
 靴下と下着はきちんと巻いてしまってあった。靴下、Tシャツ、ボクサーパンツを取り出す。ほかの中身を手探りして、スウェットパンツを引っ張りだした。ジーンズや、彼のパンツセレクションの大半を占めるタクティカルパンツよりも楽だろうと思ったからだ。Tシャツとフランネルのシャツが数枚、色褪せた赤いスウェットシャツ。こういうかさばるものは外出しないかぎり着ないだろう。少なくともきょうは外出しない。「これでなんとかなるの?」彼の衣類を指さしてボウは言った。「ほかに靴は? スニーカーとか」
「サイドポケットにスニーカーが入ってると思う」
「いま履く?」
「ああ。ハードウッドの床に靴下は危ないからな」
 たしかにそうだ。彼のスニーカーのサイズ――二十九・五センチ――を頭にメモした。足の裏に滑り止めがついている靴下を買ってきてあげよう。彼はフンと鼻を鳴らすだろうけれど、ここで履くのに適している。彼がどうしても履くのをいやがっても、損失はわずか数ドルだ。
 着替えをバスルームに運び、リネンクロゼットからタオル二枚と洗面用タオルを出しておいた。シャワーソープはあるし、タブの底には滑り止めパッドが敷いてあるし、底がゴム敷きのバスマットも用意する。タブに入ったり出たりするときにつかまれるようタオルラックもそばに置いた。もっとも、体重をかけすぎると共倒れになる。
 シャワーの支度が整ったところで、彼がゆっくりバスルームに向かった。左腕で胸をかばうようにして慎重に歩を進める姿は、いまにも死にそうには見えなかった。
「くたびれ果ててソファーに戻れそうにないときは、大声をあげてね」ボウはこともなげに言った。「わたしは朝食のオートミールを食べてるから」
「ありがとう、だが、おれなら大丈夫」彼が言う。助けを求めるぐらいなら、自分の顔を殴ってでも自力で戻るつもりね、とボウは思った。
 キッチンのカウンターでスツールに腰をおろし、レンジでチンしたオートミールとスライスしたバナナを前に、もっぱらコーヒーを飲みながらシャワーの音に耳を澄ました。シャワーの音がやみ、水が流れる音がした。彼は洗面台に向かってひげを剃っているのだろう。
 ボウが朝食をすませ食器をすすいで食器洗い機に入れ、三杯目のコーヒーを飲もうか思案していると、彼がバスルームから出てきた。彼は換気扇をつけていたが、開け放したドアから湯気と湿気が流れ出した。濡れた黒髪は指で梳いた跡がある。シャワーで体力を奪われたのだろう、げっそりした顔をしていた。スウェットパンツもTシャツもぶかぶかだ。ゆっくりとソファーに戻って体を横たえた。
「コーヒーのお代わりをいかが?」
「いや、けっこう。二杯で充分だ」
 バスルームまでの往復にかかる労力を考えると、二杯が限度なのだ。口に出して言う必要はない。ボウはカップをさげた。「それじゃ、活動を開始するわね。町に買い出しに行ってきます。きょうは昼までに出勤しないといけないの。ここに一人きりで大丈夫?」
 彼が顔をあげる。考えていることはおなじだった。ほかに選択肢はないのだから、そうするしかない。「おれなら大丈夫」彼はトリックスに目をやった。いい子でぬいぐるみと遊んでいる。「プリンセスはどうするんだ?」
 ボウはにやりとした。そういえば彼に犬の名前を教えていなかった。「彼女の名前はトリックス」
「プリンセスが名前だと思ってた。きのう、きみがそう呼んでたから」
「プリンセスは彼女の称号よ。名前はトリックス。ほかにもいろんな呼び名があるわ。生まれて一年目は、“だめ、だめ、悪い子ね”が自分の名前だと思ってたのよ」
 彼の目が光り、驚くべきことが起こった。ミスター・ストイックが顔を仰向けて笑ったのだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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