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寡黙な溺愛〜初恋王子の過保護な蜜月〜

寡黙な溺愛〜初恋王子の過保護な蜜月〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫寡黙な溺愛〜初恋王子の過保護な蜜月〜
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆4
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解説

欲しいと言ってくれたなら……激しく愛してやる
想いすぎるから言葉にできない――両片想いの政略結婚

「今すぐお前を抱く」祖国の侵略と引き換えに幼馴染みでもある王子・ユリウスに嫁ぐことを決めたエレオノーラ。濃厚な愛撫でその身を奪われ、屈辱的な結婚かと思いきやユリウスが触れてくる指や言動の甘さはまさに蜜月。けれど、どうしてこんなにもエレオノーラを大切にしてくれるのか、口数の少ないユリウスから窺い知ることはできなくて……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「……待……待ってください、ユリウスさま……っ」
「エレオノーラ姫、部屋はどこだ」
 短く問いかける声は相変わらず固いままなのに、動きは随分と性急だ。エレオノーラは急き立てられるようにして自室の場所を教えてしまっている。
 急ぐ理由は何なのだろう。確かにユリウスのものになることを了承したが、まさか今すぐに身体の関係を結ぶつもりなのだろうか。
「ユリウスさま、お、お待ちください! ま、まさか、その……い、今すぐ……!?」
「ああ、そうだ。今すぐ君を抱かせてくれ」
 進行方向を見たままの言葉では、何を言われているのか一瞬わからない。だが意味を理解すれば頭の中が真っ白になる。
 突然の再会に驚く間もなく次々と様々な事実が突きつけられて、心がついていけていない。それでも王女として気持ちを保ち続けようとしているときに新たに突きつけられた現実は、エレオノーラをひどく動揺させる。
「……待って……待ってください、ユリウスさま……!」
「待たない。……ここか。入るぞ」
 気づけば目の前に見慣れた扉があり、ユリウスはそれを遠慮なく開け放った。
 召使いたちも今はユリウスたちの動向を見守るため、仕事をすべて止めているのだろう。掃除をしている者もいない。
 ユリウスは扉を後ろ手に閉めると周囲を見回し、寝室に当たりをつけて奥の部屋へと向かった。城の居住区の間取りなど、大抵はどこも同じなのだろう。
 戸惑いが足元をもつれさせ、上手く歩けなくなってしまう。それが抵抗に思えたのか、ユリウスは無言でエレオノーラの身体を子供抱きの要領で抱き上げた。
「……あ……っ」
 急にユリウスの端整な顔が近くなって、不覚にもドキリとしてしまう。こっそりと取り寄せていた肖像画を毎日のように見ていたが、やはり本物とは違った。本物の方がもっと男らしくて素敵だ。
 ユリウスが少々不満げに言う。
「……軽い。先程馬に乗せたときも思ったが、食べているのか? 綿のように軽い」
「ちゃんと食べています。私は平均体重です!」
「そうか。……優しくしないと壊してしまいそうだな……」
 独白は淡々としているが、エレオノーラへの気遣いを感じ取れる。だがその呟きが、これからすることが何なのかをエレオノーラに教えてくれて、頬を赤くさせた。
「ユリウスさま、あ、あの……きゃ……っ」
 寝室の扉を開け、ユリウスはエレオノーラをベッドの上に下ろす。
 ベッドメイキングは終わっていて、整えられたカバーの上にエレオノーラの身体が優しく沈んだ。荷物のように放り投げられるかもしれないと頭の隅で思っていたのに、意外なほどの優しだ。
 ぎし……っ、とベッドが軋み、エレオノーラの上に覆いかぶさるようにユリウスがのしかかって来る。彼の身体の陰になると、エレオノーラの身が小さく震えた。本能的な怯えのせいで、思わずユリウスの胸を両手で押さえてしまう。
「……お、お願い……待って……」
 ユリウスの眉根がわずかに寄せられる。エレオノーラの制止に不快に思っているというよりは、何かに耐えているように見えた。
「……俺のものになるとはこういうことだ。わかっているんだろう? わかっていて、条件を呑んでくれたはずだ」
 低い問いかけに、エレオノーラは俯く。
「わ、わかって……います。でも、その……こ、心の準備が……い、今すぐでなければ駄目……なのですか……?」
「駄目だ。今すぐ……今すぐに、君が欲しい」
(……欲しいって……そんな言い方はやめて。勘違いしてしまいそう……)
 性急な答えとともにユリウスの身体が重なってくる。耳元にユリウスの顔が埋まり、唇がそっと耳朶に触れた。
 態度は冷ややかで声音も固かったのに、耳朶に触れる唇は熱い。エレオノーラはぞくりと身を震わせる。
「……あ……ユ、ユリウス、さま……っ」
「今すぐに、君を抱く。そして君が俺のものになったという証を持っていかねば、父上に進言はできない。君を待ってやることができないんだ。……すまない」
(プルメヴァーラ国を救うため)
 ユリウスの言葉で、どうしてこうなったのかを改めて自覚させられる。エレオノーラは泣きたいような気持ちを呑み込むと、そっと上体を起こした。
「あなたは……私を妃にしてもいいのですか?」
「どういう意味だ?」
「エルヴァスティ帝国の第一王子ならば、妃として望める方は他にもいらっしゃると思います。私は王女ですけど、プルメヴァーラは小さな国で何の資源もなく……」
 自分の国を卑下するつもりはなく、周囲にどう思われているかを事実として告げる。ユリウスはエレオノーラの乱れて肩から滑り落ちた金髪を、そっと掌に乗せて唇に引き寄せた。
 髪に神経などないはずなのに、ユリウスの唇が触れた瞬間、心臓が飛び出してしまいそうなほど音を立てて、とても恥ずかしくなってしまった。
「この国には、君という財産がある。それに俺は、君が幼い俺に教えてくれた感謝を忘れていないつもりだ」


本の情報

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