和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>ライバル
著者プロフィール
剛 しいら(ごう しいら)
6月9日生まれ東京都出身。魚座・A型。趣味は映画・舞台・格闘技・F1鑑賞。プラチナ文庫、ルビー文庫、アズ・ノベルズなどで作品を多数発表。
6月9日生まれ東京都出身。魚座・A型。趣味は映画・舞台・格闘技・F1鑑賞。プラチナ文庫、ルビー文庫、アズ・ノベルズなどで作品を多数発表。
解説
大手飲食グループの四男・伊国志郎は、23歳にしてトップパティシエとして活躍している。同僚に馴染めない志郎だったが、クリスマスケーキコンペのために移動してきた、同年代の村岡朋樹と親しくなりたいと思う。けれど、村岡の怜悧な美貌と冷たい態度、なにより美的センスに志郎はライバル心を煽られ、ついついケンカ腰に……。しかも負けたら言う事を聞くと約束させられてしまい……!?
目次
決戦はバレンタイン!
あとがき
あとがき
抄録
「志郎を見た瞬間、押し倒したいってマジで思ったんだよ。社長の息子だからな。これでも遠慮してたんだぞ」
「……ウソだ……ありえねぇ」
「初日から、家にまでついてくるしな。今日だって、帰らないで、朝からずっと俺にまつわりつきやがって。可愛い顔して、フォンデュなんて嬉しそうに食ってんじゃねぇよ」
シャツを投げ捨て、ジーンズのベルトに手をかけながら、村岡はいらついた様子で言った。
「俺だって、友達を押し倒したりはしない。志郎とは……友達なんて、つまんない関係で終わりたくないんだ」
「……友達は……つまんなくなんかないよ」
「抱きたい相手との友情ごっこなんて、俺にとっちゃストレスのもとになるだけだ」
村岡はジーンズを下ろし始めた。すると着ていた下着がちらっと見える。グレーのヒップハンガー、普通のデザインだった。
「カノジョがくれたパンツ、何で穿かないの? カノジョじゃないから?」
「まーた、そうやって、気があるみたいな言い方する。どっちかはっきりさせろ。俺を好きなら、好きって認めちまえよ」
むにゅと頬を片手で掴まれた。
「いはいらろ……」
文句をさらに言おうとしたら、村岡の唇が志郎の口を塞いでいた。
「んっ……」
頬を手で強く押さえられているから、自然と口が開いたままになってしまう。そうなると舌の侵入を拒むのも難しかった。
気がつくと、村岡が描いた人型の上に、すっぽりと体が重なっていた。志郎がこんな格好で横たわることを想像して、村岡が描いたかのようだ。
村岡のキスはうまい。このままでは快感に負けて、志郎の思考は完全に停止しそうだ。
キスだけで終わる筈はない。
村岡の手は、またもや志郎のものを弄り出す。
弄られるのは気持ちいい。全身を優しくタッチされるのも最高だ。
けれどその先は、果たしてどうなるのか。
「む、村岡。おまえ、やるほう?」
執拗にキスしてくる村岡の顔をどけながら、志郎はたまらずに訊いていた。
「ああ、やりたいほうだ。ふられたカノジョのことなんて、綺麗に忘れさせてやっから」
「無理。そっちは無理だ」
かといって、志郎が村岡をやるなんてことは、ほとんど不可能に思える。こういう展開になって、村岡はますます男らしくなっていくばかりだ。逆なら男相手でもどうにかなるかなんて、一瞬甘いことを考えたが、村岡相手にそれは絶対に無理そうだった。
「村岡ーっ」
「ああ、やかましっ。村岡、村岡って、俺の名前は朋樹だ」
「誰が朋樹なんて、呼んでやるもんか」
村岡は再びキスしようとしてくる。志郎は顔を左右に振って、抵抗を試みた。
「焦らすなよ。そんなに嫌か。だったら今すぐ帰れ。仕事も辞めてやっから、二度と志郎の前に顔ださないし」
「お、脅すのか」
「解雇するって、さっき言ったのは志郎だ」
怒りを込めて、村岡は志郎を睨み付ける。
感情が表れると、村岡はさらにいい男になる。もしかしたら村岡は、表情を見せてしまうと惹かれる人間が多すぎて、わざと感情を出さないように努力しているのかもしれない。そう思わせるほど、生き生きとした表情の村岡は魅力的だ。
二人はしばらく無言で見つめ合った。
ここで志郎が逃げ出せば、村岡は永遠に志郎の前から消えてしまう。
独占したいとまで思った、あの気持ちはいったい何だったのか。
村岡の言う通りだ。しつこく追い回していたのは、むしろ志郎のほうだった気がする。
あれでは誤解されても仕方なかったかもしれない。
今だってそうだ。本当に嫌なら、噛みついてでも、殴ってでも逃げようとする筈だ。なのに志郎は、それも出来ずに村岡を見つめているだけだ。
「俺が欲しかったら、志郎からキスしろ」
やっと口を開いた村岡は、顔を近づけてきた。
「……」
キスしてしまったら、何をされるかは想像がつく。
だがしなかったら、何もかもが終わってしまうのだ。
村岡をもっと知りたい。彼がこれからどんなケーキを作って、驚かせてくれるのか楽しみだ。
それだけじゃない。誰もが社長の息子である志郎に気兼ねしている社内で、遠慮のない村岡といると志郎はほっとする。
触られるだけでどきどきした。見つめられる度に、何かを期待した。
そんな気持ちがどういったところからきているのか、志郎に認める勇気がないだけだ。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「……ウソだ……ありえねぇ」
「初日から、家にまでついてくるしな。今日だって、帰らないで、朝からずっと俺にまつわりつきやがって。可愛い顔して、フォンデュなんて嬉しそうに食ってんじゃねぇよ」
シャツを投げ捨て、ジーンズのベルトに手をかけながら、村岡はいらついた様子で言った。
「俺だって、友達を押し倒したりはしない。志郎とは……友達なんて、つまんない関係で終わりたくないんだ」
「……友達は……つまんなくなんかないよ」
「抱きたい相手との友情ごっこなんて、俺にとっちゃストレスのもとになるだけだ」
村岡はジーンズを下ろし始めた。すると着ていた下着がちらっと見える。グレーのヒップハンガー、普通のデザインだった。
「カノジョがくれたパンツ、何で穿かないの? カノジョじゃないから?」
「まーた、そうやって、気があるみたいな言い方する。どっちかはっきりさせろ。俺を好きなら、好きって認めちまえよ」
むにゅと頬を片手で掴まれた。
「いはいらろ……」
文句をさらに言おうとしたら、村岡の唇が志郎の口を塞いでいた。
「んっ……」
頬を手で強く押さえられているから、自然と口が開いたままになってしまう。そうなると舌の侵入を拒むのも難しかった。
気がつくと、村岡が描いた人型の上に、すっぽりと体が重なっていた。志郎がこんな格好で横たわることを想像して、村岡が描いたかのようだ。
村岡のキスはうまい。このままでは快感に負けて、志郎の思考は完全に停止しそうだ。
キスだけで終わる筈はない。
村岡の手は、またもや志郎のものを弄り出す。
弄られるのは気持ちいい。全身を優しくタッチされるのも最高だ。
けれどその先は、果たしてどうなるのか。
「む、村岡。おまえ、やるほう?」
執拗にキスしてくる村岡の顔をどけながら、志郎はたまらずに訊いていた。
「ああ、やりたいほうだ。ふられたカノジョのことなんて、綺麗に忘れさせてやっから」
「無理。そっちは無理だ」
かといって、志郎が村岡をやるなんてことは、ほとんど不可能に思える。こういう展開になって、村岡はますます男らしくなっていくばかりだ。逆なら男相手でもどうにかなるかなんて、一瞬甘いことを考えたが、村岡相手にそれは絶対に無理そうだった。
「村岡ーっ」
「ああ、やかましっ。村岡、村岡って、俺の名前は朋樹だ」
「誰が朋樹なんて、呼んでやるもんか」
村岡は再びキスしようとしてくる。志郎は顔を左右に振って、抵抗を試みた。
「焦らすなよ。そんなに嫌か。だったら今すぐ帰れ。仕事も辞めてやっから、二度と志郎の前に顔ださないし」
「お、脅すのか」
「解雇するって、さっき言ったのは志郎だ」
怒りを込めて、村岡は志郎を睨み付ける。
感情が表れると、村岡はさらにいい男になる。もしかしたら村岡は、表情を見せてしまうと惹かれる人間が多すぎて、わざと感情を出さないように努力しているのかもしれない。そう思わせるほど、生き生きとした表情の村岡は魅力的だ。
二人はしばらく無言で見つめ合った。
ここで志郎が逃げ出せば、村岡は永遠に志郎の前から消えてしまう。
独占したいとまで思った、あの気持ちはいったい何だったのか。
村岡の言う通りだ。しつこく追い回していたのは、むしろ志郎のほうだった気がする。
あれでは誤解されても仕方なかったかもしれない。
今だってそうだ。本当に嫌なら、噛みついてでも、殴ってでも逃げようとする筈だ。なのに志郎は、それも出来ずに村岡を見つめているだけだ。
「俺が欲しかったら、志郎からキスしろ」
やっと口を開いた村岡は、顔を近づけてきた。
「……」
キスしてしまったら、何をされるかは想像がつく。
だがしなかったら、何もかもが終わってしまうのだ。
村岡をもっと知りたい。彼がこれからどんなケーキを作って、驚かせてくれるのか楽しみだ。
それだけじゃない。誰もが社長の息子である志郎に気兼ねしている社内で、遠慮のない村岡といると志郎はほっとする。
触られるだけでどきどきした。見つめられる度に、何かを期待した。
そんな気持ちがどういったところからきているのか、志郎に認める勇気がないだけだ。
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