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王家の花嫁の条件

王家の花嫁の条件


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャット・シールド(Cat Schield)
 RITA賞の新人賞にあたるゴールデン・ハート賞受賞作家。ミネソタ州で娘と2匹のビルマ猫たちとドーベルマンに囲まれて暮らしている。執筆をしていないときは、友人とヨットでセーリングするのが何よりの楽しみだという。

解説

どんなに彼を愛しても、結ばれる日はこない。

5年もの片想いを実らせ、ようやくブルックは仕事一筋のニコラスを振り向かせることができた。だが、めまいがするほど幸せな日々を過ごしていたある日、突然ニコラスは別れを告げ、彼女の前から消えてしまった。ひと月が経ち、ブルックは自分の体の変化に気づく。二人をつなぐ絆が体内で息づいていると伝えたくて、ブルックはニコラスを捜し出し、はるばるギリシアまで会いに行った。けれど、彼は少しも喜ぶ様子を見せない。実は彼は地中海の王国の王子で、世継ぎをもうけるため結婚しなければならないというのだ。これが身分違いの恋と知って、ブルックは妊娠を言いだせなくなり……。

■RITA賞新人賞を受賞したキャット・シールドのD−1722『プリンスの望まれぬ花嫁』に続く関連作です。ニコラスの弟クリスティアンに秘密のまま彼の子を産み育ててきたヒロインの物語を描く、関連最終話へと続きます。どうぞご期待ください。

抄録

 ブルックの真剣な顔が一転、いたずらっぽい顔に変わった。「二日でいいの。すてきなセックスと情熱に溺れたい」
 そんな提案を拒絶できる男がどこにいる? 仰向けに横たわる彼女の柔らかな曲線に両手を這わせる場面がニックの理性を責め立てた。笑みと渋面が攻防を繰り広げる。だが今は、頭の奥から聞こえる彼女を諦めろという声に従うしかない。どうあろうと、これから一生心に残りそうな思い出をこれ以上作るわけにはいかないのだ。
「未来のない関係だ、溺れないほうが賢明だろう」
「未来があるふりをするわけじゃない。永遠の別れが待っているからこそ、一緒にいる時間を大事に過ごしたいの」ブルックがニックの髪に指を差し入れた。親指で耳の外郭をなぞる。「まだ納得していない顔ね。それじゃあキスをすればどう?」
 ブルックの肌は蜂蜜とバニラの匂いがした。キスも同じくらいかんばしいのはわかっている。口紅を塗らずともばら色のふっくらとした唇が、待ち受けるように開いた。この先も彼女の唇を味わえたら、どんなに幸せだろう。この曲線、感触、触れ合った瞬間の吐息。下唇に軽く歯を立てたときの柔らかな声。
 かすかな震えがブルックの興奮を伝えていた。ニックはその震えをもっと大きくしたくなった。敏感な場所に触れて、喘ぎ声を引き出したい。その強い衝動にいたたまれず、ブルックの目をとらえた。虹彩を取り囲む銀色の斑点が、ニックの口を見つめて輝きを増す。耳の奥で胸の鼓動が轟いていた。唇が重なることなく、時間が過ぎる。
「だめなんだ、ブルック」
 もうブルックのほつれ毛を耳にかけてあげるわけにも、紅潮した頬を指の節で撫でてあげるわけにもいかない。三つ編みを引っ張ることも、この唇を自分のほうへ誘導することも許されないのだ。
「何が問題なの、ニック?」ブルックの指が眉をなぞり、まつげに触れた。
 義務。名誉。品格。繰り返してきた言葉が効力を失いつつあった。
「一週間もしないうちに、僕たちは二度と会えなくなる」ニックは背後にまわした両手を強く握り締めた。腕の筋肉が痙攣する。
「わかっているわ」ブルックが視線を口元へと移した。長く赤いまつげが頬に繊細な影を落とす。
 ニックの顔が熱くなった。それどころか全身が熱い。ブルックのハート型のヒップが収まっている場所がとくに。この状況に彼女が気づかないわけがない。
「避けられない別れを先延ばしにするだけだ」もはや最後まで抵抗できる自信はなかった。本心は狂おしいほど彼女の計画に合意したくなっている。
「わたしには必要なの。あなたが」ブルックがニックの下唇に親指を這わせた。「一時間でも。一日でも。一週間でも」
 ニックは込み上げる感情から気をそらそうと、心臓の鼓動を数えた。今にも感情に負けて彼女を抱き締めてしまいそうだった。事故のあと、彼女に救いを求めずにいるのは楽ではなかった。それでも、あのときにはすでに、シェルダーナへ戻らなければならないとわかっていた。ニックが毅然とした態度を崩すことはないと踏んだのだろう。ブルックが突然、耳に息を吹きかけてきた。ニックはびくりとして息をのんだ。「やめろ」
「嫌いだったかしら?」ハスキーな笑い声が響く。
「わかっているくせに」ニックはかすれた声でつぶやいた。「すぐに食事が来る。席に戻ってくれ」
「でも、キスがしたくてここにいるのに、まだしてもらっていないわ」ブルックはこの状況を楽しみすぎだ。いや、それを言うならこちらもか。
 ニックは諦めの吐息をつき、彼女の表情に未練を残しながら防波堤のそばで揺れる釣り船に目をやった。すると、頬に彼女の唇が触れた。
「前置きはもういい」ニックは言った。
「仕方ないわね。あなたがそう言うなら」
 ブルックの瞳に光が踊った。両手でニックの顔を固定し、唇を頬から中心部に向けて移動させる。
「もう一度」この声では要求というより、懇願に聞こえる。ニックは気を引き締めて口調を固くした。「今度はもう少し丁寧に」
「仰せのままに」
 唇が再び重なると、ニックはまぶたを伏せた。今度のキスにはさらなる圧迫と少しのテクニックが加わっていた。キスとしては控えめなものだが、それでもブルックが小さく喉を鳴らすとニックの世界はぐらついた。さらに彼女が唇に軽く歯を立て、イタリア語でつぶやいたときには、燃え上がる欲望に焼かれ抵抗力は灰と化した。
 つぶやきの意味はわかっていたが、ニックはどうしてももう一度彼女の口から聞きたくなった。
「訳してくれ」
「“ああ、わたしはどれほどの詩を口ずさんだことだろう。恋人の名を呼びながら、あふれる吐息と涙と情熱を込めて”」
「イタリアの愛の詩か?」欲望が、甘い媚薬のようにニックを苦しめる。
「ねえ」ブルックはニックの胸に手を当て、もう一度軽くキスをしてから立ち上がった。「これでわかったでしょう?」ほほえんで席に戻る。
「何がだ?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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