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メイドは一夜のシンデレラ

メイドは一夜のシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アビー・グリーン(Abby Green)
 ロンドン生まれだが、幼少時にアイルランドに移り住む。十代のころに、祖母の愛読していたハーレクインのロマンス小説に夢中になり、宿題を早急に片づけて読書する時間を捻出していた。短編映画のアシスタント・ディレクターという職を得るが、多忙な毎日の中でもハーレクインの小説への熱はますます募り、ある日辞職して、小説を書きはじめた。

解説

夢のような数時間、そして再会。そのシンデレラ物語には悲しい続きがあった。

ホテルのボールルームでは、仮面舞踏会がもう始まっていた。ローズは不慣れなドレスに身を包み、怯える自分を励ました。ここに来たのはザック・ヴァレンティと偶然を装って出会い、今をときめくその大富豪と夜を共にして、彼の子供を宿すため。ローズは彼の祖母に仕えるメイドで、この計画は、家名が絶えることを憂えたその老婦人が立てたものだ。重い心臓病の父の手術費用を出すと言われ、断れるはずがない!若くして名門家を飛び出し、自力で富を築いたザック。彼ほどの人物が、私のような野暮な娘に目を留めるかしら……?

■夢のようなひとときののちに恐れをなして逃げ出したローズでしたが、突然消えたシンデレラをさがすザックと、やがて運命の再会を果たします。計画どおり“跡継ぎを身ごもる”ことになるのか――?怒濤の展開から目が離せない、究極のシンデレラ・ストーリーです。

抄録

 マンハッタンでもっとも魅力的な男性をローズは見上げた。今、背にして立つきらびやかな街を、彼は指一本で意のままにできる。こんな景色は普通、エンパイアステートビルか何かにできる長い列に並んで上らなければ見られない。それが彼の裏庭にあるなんて。
 しかも、この思いがけない、奇跡のような緑の空間を自ら築いたというのだからすごい。
 彼はただ、わたしに自慢したいだけ。だったら、自分ばかりか彼にもいやけが差し、去るのに必要なはずみもついただろう。なのに、動けずにいる――心とは裏腹に。さっきのは嘘だとしたら? でもなぜ彼が嘘をつくの? これほどの人なら、庭を見せられなくても女性はうっとりする。たとえその庭が、世界でいちばん活気のある街の上に魔法のように浮かんでいるとしても。ここに連れてきた女性は本当にわたしが初めてだとしたら、恐ろしいくらい。こんな究極の誘惑があるだろうか。
 ローズの揺れる心と、ザックを信じたい気持ちに気づいたのか、彼は彼女の顎とうなじに指を添えて言った。「きみみたいな人は初めてだ、ローズ。ほかの誰とも違う……」
 彼の控えめな賛辞に、ローズは思わず笑いそうになった。「そのとおりよ」
 ローズの鼓動は乱れ、激しく打っていた。まわりの景色はもう意識になかった。彼は本当に何か特別なものを見るように、わたしを見つめている。今、気づくのはそれだけ。
 隠れたロマンチストで、今どき珍しい奥手のローズも、こと男性と恋愛に関しては、都会人の知恵と健全な皮肉の持ち主だった。
 二十一世紀のニューヨークで生きる一人の女性なら、おとぎ話は映画か本のなかにしかないと知っている。ザック・ヴァレンティがなぜ危険かと言えば、父と母のあいだに見て憧れてきたものがほしくなるからだ。おとぎ話はひょっとしたらあるかもしれないと……。
 その瞬間、ザックがうつむいて、ローズが終わりまで考える間もなく唇を重ねてきた。目もくらむばかりの光がきらめき、言葉も思考も焼き尽くされるようだった。
 ザックの容赦のない唇が巧みに責め立てる今、ローズの頭にあるのはおとぎ話ではなく、欲望だけだった。そのあいだも熱い血が駆けめぐり、体じゅうに火がついて、ちりちりと焼かれていくような感覚が広がっていく。
 ザックが両手で彼女の顔をとらえ、恥じらいや弱々しい抵抗など、巧みな舌の動きで軽くかわしていく。彼は飽くことなく愛撫を繰りだしてローズの口を開かせ、いやおうなく彼のキスを受け入れさせる。
 その力強いキスは息をのむばかりだった。そして驚くほど傲慢で、静かに着実にローズの正気を奪っていく。
 ローズはいつの間にか彼の腰にしがみついていた。硬くてびくともしない筋肉が指に感じられる。彼のキスは激しくて優しい。ほどよく荒々しくて刺激的だった。ザックの口がローズの口を離れて顎の線をたどりはじめると、彼女は思わずあえいだ。
 彼がさらに抱き寄せた。片腕をローズの背中にまわしてドレスの下に手を忍ばせ、あらわな肌に這わせた。じらすように指が胸のそばに来る。ザックがもう一方の手で髪をほどくと、肩に落ちてきた。シルクのような房に彼が指を通し、頭を手のひらでとらえる。
 ローズは頭が後ろに傾くに任せ、顎と首にもっと彼が触れられるようにした。白い肌を焦がして彼の熱い唇の跡がついていく。
 なんとかしてやめさせなくては。心のどこかでわかってはいた。けれど誘惑には勝てず、未知の官能の世界にもっと深く入っていきたくなる。そうすれば女らしい力がわいてきて、魅力的な自分になれる気がした。
 ザックが彼女の首筋から顔を上げた。ローズはうつろな目で彼を見上げた。自分の息遣いが速くて荒い。彼と重なって動く胸の先もひどく硬くなっている。
 彼の燃えるような瞳はまぶしい青みを帯び、頬は赤い。額に髪が一筋落ちてきている。五感が荒れ狂う今でも、彼のそんな姿を見るだけで、なぜか優しい気持ちにさせられる。
 すると、ザックの腰がかすかに揺らめいた。大胆に分け入ろうとする欲望のあかしが、これが現実だと何より痛烈に物語っている。
「きみがほしい」
 喉から絞りだすその声は粗野にさえ響いた。まわりの美しく洗練された景色にはなじまないはずなのに、そうではなかった。テラスに立ち、輝かしい街を見下ろしている今、この瞬間とこの男性以外、あらゆるものから切り離されている気がした。彼の粗野な声も高ぶりも、強くローズの心に訴えた。
 イエス、と応えたい衝動は、身も心も焼き尽くさんばかりに強かった。それでも必死に抑えようとした。彼の胸に両手を当て、透き間をつくった。乱れた姿だと自分でも思う。髪が顔に落ちかかり、キスで唇も腫れている。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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