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100 Love Letters 〈Love & Trust3〉
著: 榎田尤利発行: 大洋図書
レーベル: SHY NOVELS シリーズ: Love & Trust
価格:893円(税込)
10ポイント還元
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対応端末:パソコン スマートフォン タブレット
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著者プロフィール
榎田 尤利(えだ ゆうり)
蟹座でO型。心が広いようで、実は根に持つタイプなのだそうです。でも記憶力が悪いので、なにを根に持っていたのか忘れてしまいます。それはそれで、平和。
蟹座でO型。心が広いようで、実は根に持つタイプなのだそうです。でも記憶力が悪いので、なにを根に持っていたのか忘れてしまいます。それはそれで、平和。
解説
「逃がす気はないぜ」毎日一通、合計百通のある書類を極秘のうちにある人物に届ける――ちょっとアブナイ運び屋坂東兄弟に新たな依頼が入る。依頼主の代理人は核の情人でもある沓沢だ。ヤクザ稼業の沓沢に深入りすることをためらい、核は距離を置こうとするが、そのことが沓沢を激しく怒らせる。一方、天と正文もちょっとした誤解から仲がこじれてしまい!? 恋の糸、もつれにもつれのフル・スロットル。
抄録
坂東《ばんどう》核。
新宿界隈を中心に、特殊な配達業を営む核は、今年二十三歳という若さだ。
冷たく整ったその容貌は沓澤がしつこく言うように、どこか女王然としており、年齢以上の落ち着きを感じさせる。核が公私に憚らず溺愛するのはふたつ下の弟だけであり、沓澤に対しては、ベッドを幾度共にしようと微妙な距離を置きたがる。
「やれやれ、相変わらずつれない男だ。ま、おまえがヤクザ稼業を嫌ってるのは知ってるからな。きちんと廃業したらプロポーズするとしよう」
は、と声もなく核は笑った。なにが廃業だ。コンビニのバイトじゃあるまいし、そう簡単に辞められる生業《なりわい》ではなかろう。
重ねていえば、核は自分が沓澤の恋人だなどと思ったことは一度もない。
ちょっとはその世界でも名が知られているとはいえ、あくまで核は堅気の人間だ。本気でヤクザの情人《こいびと》をつくるつもりもなかった。確かに自分は沓澤のお気に入りだろうが、それも一過性のものだと踏んでいる。沓澤ほどの男ならば、相手は男女問わずで両手に余る。単にここしばらくは自分がその中のトップにいるだけだ。この『核専用』に沓澤が用意したマンションも、トップが入れ替われば内装が変わり、次の男の、あるいは女のものになることだろう。
つまり沓澤の甘い言葉は、やや過剰なリップサービスにすぎず、だがそれに文句をつけるつもりはない。下半身のお行儀に関しては、いいとは言い難い核である。沓澤の身体は核にも、十二分に利用価値があるものだった。
「ヤクザじゃないあなたなんて、僕には想像もつきません」
「失礼な奴だな。おれほど器用な男は滅多にいないぞ。バスバトラーにだってネイリストにだってなれる」
「そんな強面《こわもて》のネイリストじゃあね……」
「こら。そういうことを言ってると――」
芳香の漂うバスルームの中、沓澤は核の腰をぐいと引き寄せた。
特に逆らうこともせず、素直に沓澤の腕の中に閉じ込められた核は、微笑みながら薄く唇を開けた。沓澤が海外に出張していたため、約二カ月ぶりの逢瀬である。核が欲しているのは紳士なバスバトラーよりも、傲慢な野獣なのだ。
その望みは的確に理解され、濃厚なキスが落とされる。沓澤の身体から煙草の香りとオリジナルのフレグランスが混ざって、骨の髄に響くほど色っぽい香りが立ち上がる。
香水業界では著名なパフューマーに、沓澤は二種類のトワレを創らせた。核のためと、自らのためだ。ふたつのトワレはベッドの中で汗と混ざり合う時、もっとも官能的なハーモニーを奏でるように工夫されていた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
新宿界隈を中心に、特殊な配達業を営む核は、今年二十三歳という若さだ。
冷たく整ったその容貌は沓澤がしつこく言うように、どこか女王然としており、年齢以上の落ち着きを感じさせる。核が公私に憚らず溺愛するのはふたつ下の弟だけであり、沓澤に対しては、ベッドを幾度共にしようと微妙な距離を置きたがる。
「やれやれ、相変わらずつれない男だ。ま、おまえがヤクザ稼業を嫌ってるのは知ってるからな。きちんと廃業したらプロポーズするとしよう」
は、と声もなく核は笑った。なにが廃業だ。コンビニのバイトじゃあるまいし、そう簡単に辞められる生業《なりわい》ではなかろう。
重ねていえば、核は自分が沓澤の恋人だなどと思ったことは一度もない。
ちょっとはその世界でも名が知られているとはいえ、あくまで核は堅気の人間だ。本気でヤクザの情人《こいびと》をつくるつもりもなかった。確かに自分は沓澤のお気に入りだろうが、それも一過性のものだと踏んでいる。沓澤ほどの男ならば、相手は男女問わずで両手に余る。単にここしばらくは自分がその中のトップにいるだけだ。この『核専用』に沓澤が用意したマンションも、トップが入れ替われば内装が変わり、次の男の、あるいは女のものになることだろう。
つまり沓澤の甘い言葉は、やや過剰なリップサービスにすぎず、だがそれに文句をつけるつもりはない。下半身のお行儀に関しては、いいとは言い難い核である。沓澤の身体は核にも、十二分に利用価値があるものだった。
「ヤクザじゃないあなたなんて、僕には想像もつきません」
「失礼な奴だな。おれほど器用な男は滅多にいないぞ。バスバトラーにだってネイリストにだってなれる」
「そんな強面《こわもて》のネイリストじゃあね……」
「こら。そういうことを言ってると――」
芳香の漂うバスルームの中、沓澤は核の腰をぐいと引き寄せた。
特に逆らうこともせず、素直に沓澤の腕の中に閉じ込められた核は、微笑みながら薄く唇を開けた。沓澤が海外に出張していたため、約二カ月ぶりの逢瀬である。核が欲しているのは紳士なバスバトラーよりも、傲慢な野獣なのだ。
その望みは的確に理解され、濃厚なキスが落とされる。沓澤の身体から煙草の香りとオリジナルのフレグランスが混ざって、骨の髄に響くほど色っぽい香りが立ち上がる。
香水業界では著名なパフューマーに、沓澤は二種類のトワレを創らせた。核のためと、自らのためだ。ふたつのトワレはベッドの中で汗と混ざり合う時、もっとも官能的なハーモニーを奏でるように工夫されていた。
*この続きは製品版でお楽しみください。
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