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天使に託した二度目の恋

天使に託した二度目の恋


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アリスン・ロバーツ(Alison Roberts)
 ニュージーランド生まれの彼女は父親の仕事の関係で5歳のときから海外生活を経験した。帰国ののち小学校教師となり、医師の夫と結婚。クライストチャーチに移住後は医療関係の仕事に携わる。夫とスコットランドに滞在していたとき、小説を書き始めた。現在は救急隊員の資格を取るべく訓練中で、執筆の合間には、可能な限り現場に出ているという。

解説

幼い愛娘が知らずになついた相手は、かつて愛し別れた、娘の父親だった。

未婚の母ハナにとって、一人娘のオリビアだけが生きがいだった。5年前、娘の父親ジャックとは、彼に妻子がいると発覚して別れた。その後、彼の子を身ごもっていることに気づいたが、非情にも、妊娠を知らせるはずの手紙は未開封のまま戻ってきたのだった。今、そのジャックが小児外科医としてふたたび目の前に現れ、ハナは幼い娘とのささやかな幸せをかき乱されまいと、とっさに娘の年齢をごまかして別の人との子であるように装った。やがて改めてお互いを知るうち、当時のジャックはすでに妻と離婚し、しかも別れたあとに生まれた子供の存在を隠されていたことがわかった。元妻の行為に憤る彼を前に、ハナは娘が彼の子だと言いだせず……。

■予想もつかない展開で多くの読み手を魅了するアリスン・ロバーツ。本作は、ヒーローが知り得なかった子供の存在がストーリーの鍵を握る生粋のシークレットベビー物語!運命のいたずらで離れ離れになっていたふたりを隔てる溝は、はたして埋まるのでしょうか?

抄録

 突然の侵入は驚きだった。ドアが閉まり、ジャックと一緒にいるには狭すぎる空間に閉じこめられて、ハナは少し不安になった。この小さな部屋では彼の体格は威圧的だ。はっきりした顔立ちを強調する決然とした険しい表情と相まって、彼の存在が漠然とした脅威に感じられる。冗談じゃないわ。ここはわたしの部屋よ。この人を呼んだ覚えはないわ。そんな思いを読み取ったらしく、ジャックの笑みには温かみが欠けていた。
「ぼくの顔は見たくないみたいだね」
「忙しいの」
「時間は取らせないよ」ジャックはハナの机の前に置いてある椅子の背にもたれた。「それに、今だけのことを言っているんじゃない。ぼくと一緒に仕事をするのも気に入らないみたいじゃないか」
 ハナは眉を上げた。大人げない個人的な恨みを認めるつもりはないし、喧嘩を仕掛けたわけでもない。ただ距離を保って仕事上のやりとりを完璧にこなすように心がけただけだ。他の大多数のスタッフの中で急速に人気を集めているジャックの魅力に影響を受けずにいることはできない。
「一緒に仕事をするのに、あなたに反感は持っていないわ、ジャック。ピーター・スマイリーや他の人から話はいろいろ聞いているわよ。あなたの履歴書はものすごいんでしょう」
「きみもだろう」今度の笑みにはさっきより気持ちが入っているが、まだまなざしは鋭い。「それに、この病院の小児科医長職に応募しているらしいな」
「そうよ」ハナは目をそらしたくなる衝動と闘った。いや、もしかすると衝動をふるい起こそうとしているのかもしれない。ジャックのダークブラウンの瞳は、人を引きつける力を少しも失っていない。
「それじゃ、もしきみがその職に就いたら、かなり長い間定期的に一緒に仕事をする可能性が高いな」
「そうね」ジャックの言葉から隠されたメッセージを探ろうとして、ハナは眉をひそめた。饒舌な小児科部長から他に何を聞いたの? その職に就く可能性がもっと高いと噂される人が誰か他にいるのかしら? それとも、新しい外科医に対する冷ややかな対応が不利に働くかもしれないとほのめかしているの? 彼を見つめ、意図的な冷淡さが同僚に対する態度として許容範囲を超えていなかったかどうか思い出そうとした。
「ぼくは他へ移るつもりはない」ジャックはしばらくためらい、唇をなめてから続けた。「過去にぼくたちの間に何があったとしても、仕事上の関係を悪くするべきじゃない」
 ハナは無意識のうちにジャックをまねて唇をなめていた。それから痛いくらい下唇を噛んだ。なんてこと! この人と触れ合った記憶は本当に始末に負えない。今も彼の舌が唇の上をすべるのを見ただけで、欲望が呼び覚まされてしまった。視線を顔から離したものの、行き着いた先は椅子の背を握る両手だった。大きく有能な手で、外科医らしく指が長い。この器用な指が……。ハナは再び視線を無理やり引きはがし、目の前の机に向けると、ボールペンを取りあげて、意味もなくノック棒を押した。
「わたしたちの間に何があったとしても、もう終わったことよ、ジャック。ずっと前にね。もう忘れたわ」
「ぼくもだよ」
 ハナはまたボールペンの頭を押した。「不愉快な思いをさせたのなら謝るけど、オークランドを発つときにどんな気持ちだったかを表しただけよ」
「二度と会いたくないという気持ちを?」
 しばし沈黙が流れた。「それじゃ、完全に忘れたわけじゃなかったということね」
「忘れるのが難しいこともあるよ。許すのもね」
「その点は大賛成よ」ハナは意図的に鋭い視線を向けたが、ジャックは非難に気づかなかった。
「説明したかったのに、きみが聞く耳を持たなかったこともそうだ」
 ハナは信じられない思いでかぶりを振った。妻子はいないという嘘が“説明”とやらで正当化できると本気で思っているの? どんな説明かはわかっている。別居している、あるいは離婚した、で始まるのだ。ポールの説明がそうだったように。面倒な束縛はない。もう一度恋に落ちるのを止めるものは何もない。一緒に暮らせるし、将来の計画も立てられる。そして、彼中心の生活を築かせておいて……そろそろ元妻とやり直してみることにしたと言いだす。つらい記憶はときおりよみがえっては層になっていく。玉葱のように。はがせば涙が出るだけだ。
「聞いても何も変わらなかったわ、ジャック」
「いや、変わったはずだ」ジャックはハナの視線をとらえてから目をそらし、疲れたようにため息をついた。「きみはあまり人にチャンスをやらないんだな」
「あなたには充分すぎるくらいチャンスをあげたわよ。二度とあんな間違いは犯さないわ」
「もう頼むつもりはないから、安心してくれ」ジャックはほんの一瞬だけ、再び目を合わせた。「了見の狭い人は好きじゃないんだ」
「わたしだって信頼できない人は好きじゃないわ」
 今度の沈黙は長かった。二人とも、何かを失ったような挫折感を味わっていた。
「一緒に仕事をするのに、相性はあまりよくないみたいだな」
「お互い大人なんだから、うまく対応できるわ」
「そう願おう」


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