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過去を捨てた億万長者 氷の掟

過去を捨てた億万長者 氷の掟


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス氷の掟
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

愛を交わしたはずのベッドに、冷酷にも置き去りにされて……。

レイチェルは知人の結婚式で億万長者ニコライと出会った。私生活のすべてを神秘のベールで覆い、憂いを帯びた瞳の奥に過去さえも封印したかのような謎めいた彼に、レイチェルはたちまち心を奪われた。一方ニコライも彼女に惹かれ、二人はめくるめく一夜を過ごす。だが夜明け前、彼は一言もなく振り返りもせずに部屋を出ていった。なんて冷たい人なの。レイチェルは深く傷ついたが、ニコライの行動の裏には誰にも明かせない秘密があった──レイチェルが長年隠してきたのとまったく同じ秘密が。

■恵まれない環境から身を起こし、巨万の富を実力で手に入れた富豪たちのロマンスを描く、キャロル・マリネッリの〈氷の掟〉最新作です。ニコライとレイチェルのもどかしい恋のゆくえは……?

抄録

「きみはこれまで何度出産に立ち会った?」ダニールがきく。
「それは……一度もないわ」
「じゃあ、おまえはどうだ、ニコライ?」
「二度ほど経験している」ニコライは答え、レイチェルのふくれっ面を見て笑いを噛み殺した。「ぼくが一緒に乗っていこうか?」
「いいえ、けっこうです!」リビーは即座に断った。
「生まれたら知らせてね」レイチェルは念を押した。「何時でもかまわないから」
「もちろん、知らせるよ」ダニールがうなずき、彼とリビーを乗せた車は走り去った。
 レイチェルはぱっとニコライのほうに顔を向けた。「さっきの話は嘘でしょう?」
 すると、ニコライがにっこりほほ笑んだ。とても楽しげに。
 レイチェルは思いがけない大波にのみこまれたような気がした。ニコライはあまりにもすてきだ。そのほほ笑みは、彼が初めてレイチェルを受け入れてくれたことを示していた。
 混雑した午後の歩道に立ちつくしたまま、レイチェルは笑みを返した、ようやく彼と二人きりになれた気がした。
「なぜ出産に立ち会ったの? あなたはお医者様?」
「いや」
「じゃあ、看護師?」
「ぼくの職場は船の上でね。最初の出産は密航者の女性だった。密航者はたいてい妊娠を秘密にするし、健康保険にも入っていない」
「まあ!」本当に魅力的な人! レイチェルはもっとニコライのことが知りたくてたまらなかった。「二度目は? それも密航者?」
「いや、仕事仲間で、妊娠に気づかずに乗船したんだ。赤ん坊はとても小さかった」
「助かったの?」
「ああ、幸いに」
 レイチェルはもっと聞きたかったが、ニコライはそれ以上話そうとしなかった。
 彼女の好奇心と焦燥を感じ取って、ニコライはまたほほ笑みかけた。
 彼の唇はまるで磁石のようにレイチェルを引きつけた。「もっといろいろ聞きだしてみせます」
「いや、無理だな」
「わたしはとても粘り強いんです。見ててごらんなさい」
「ずっと見てるよ」
 レイチェルは長身だった。バレリーナとしてはあまり有利とは言えないが、ハイヒールを履いているいま、彼とほぼ同じ高さで視線を合わせられる。それがうれしかった。彼女の顔が近づいても、ニコライは引かなかった。誘惑モードに入ったレイチェルを見てもまったく怖じ気づかない男はめったにいない。
 ニコライはまったく動じなかった。
「そろそろ音楽が始まりそうね」
「そうだな」そう言ったものの、ニコライはパーティ会場に戻ろうとはしなかった。
「わたしにダンスを申しこむつもり?」
 レイチェルは男性の気を引く技には長けていた。ところが、どうやらニコライのほうが一枚うわ手のようだった。
「その必要はなさそうだ」彼はレイチェルの手を取って、自分の首にかけさせた。そして、両手で彼女の腰をとらえた。「違うかな?」
 ホテルの入口の前の歩道で、レイチェルは聞こえない音楽に合わせて腰を揺らした。ニコライは静かに立ったままだ。
 体を寄せようとしても、ニコライの手がそれを許さなかった。レイチェルにできたのは、彼の目をのぞきこむことだけだった。
 ニコライはじっと彼女を見つめ返した。互いの目が、言葉にできない秘密を打ち明け合う。ニコライの目は彼女を欲しいと語り、レイチェルの目はキスをしてもいいと彼に告げていた。
 いますぐ、ここで。
 けれど、ニコライはキスをしなかった。
 それはもう少しあとのお楽しみだ、と彼の目が告げていた。
 レイチェルの唇が近づいた。ほんの少し。
 ニコライがわずかに顔を離す。
 彼女の腰に触れているニコライの手は熱かった。しかし、レイチェルの脚の付け根のほうがもっと熱くなっていた。キスはしないほうがいいかもしれない。唇が触れたとたん、わたしの体に火がついてしまうかもしれない。
「パーティに戻ろう」ニコライが言った。
「どうして? わたしはもう妊婦の付添役から解放されたのよ」
「話をしたいんだ」
「さっきまで話なんかしたくなさそうだったのに」
 いつものニコライはそうだった。二人の唇はいまにも触れそうだったが、いま彼が求めているのはレイチェルの唇の感触だけではなく、そこからもれる言葉だった。
「きみのことが知りたい。アンドレが誰と結婚するのか知りたい」
 レイチェルの口元がほころんだ。無関心そうな態度だったのに、どうやらちゃんと聞いていたらしい。
「ずるいわ。どうしてわたしのことを話さなくちゃいけないの? あなたのほうは何も教えてくれないのに」
「ぼくは公正さを重んじる人間じゃないんだよ」ルールを作るのはぼくだ、とニコライのまなざしが語っていた。
 レイチェルの鼓動が速くなる。
「さあ、なかに入ろう」
「パーティ会場はにぎやかすぎて、話をするには向かないと思うわ」もう少しだけ、彼とこうして二人きりでいたかった。
「なんとかなるさ。とにかく話をしよう」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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