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凍てつくハート

凍てつくハート


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・サラ(Sharon Sala)
 強く気高い正義のヒーローを好んで描き、業界のみならず読者からも絶大な賞賛を得る実力派作家。息子と娘、それに孫が四人いる。“愛も含め、持つ者は与えねばならない。与えれば百倍になって返ってくる”が信条。ダイナ・マコール名義の著書も出版されている。

解説

悲劇を経て恋人達は再び巡り合う。もう二度と離れないために。S・サラの〈ハート〉3部作、早くもクライマックス!

メリッサは故郷の町に帰ってきた。高校を卒業したての頃、初恋の人マックの子を身籠り二人は結婚を誓ったが、彼は流産を中絶と誤解して憤り、無慈悲にも彼女を捨て去った。懐かしい町で思い出がよみがえるだけで辛いのに、彼との再会は思いもよらない最悪の形で訪れた。メリッサが車の修理を頼んだマックの父親が、その車の下敷きになり無残な圧死状態で発見されたのだ。10年前マックは赤ちゃんを失い、今度は父親を失った。すべてわたしのせいで。自責の念に打ちのめされる彼女の前に、ある夜マックが現れ衝撃の事実を告げる。

抄録

 マックはメリッサを訪ねるのは気が重かったが、まさか泣いているとは夢にも考えていなかった。とっさに、誰に泣かされたんだと訊きたくなった。
「悪いときに来たようだね。電話すればよかった」
 メリッサは無言で玄関に向かった。彼がついてこようが、帰ろうが、どうだっていい。
 返事もしてくれないのにはまいったが、マックは急いであとを追った。鍵を開けるのに手間取っているのを見て、彼女の震える手から鍵を受け取ってドアを開ける。
 メリッサはさっさと中に入って荷物を置くと、ようやく顔を向けた。
「何か用?」
「話があるんだ」
 今は彼と話す気にはなれなかった。
「そんな気になれないの。わかっていると思うけど」
 マックは傷ついたが、油圧リフトのことだけは教えておこうと思った。中に入ってドアを閉めた。
「あら、失礼しました」メリッサが皮肉な口調で言った。「どうぞ、お入りください」
 今は腹を立てている場合ではない。マックはすぐ切り出した。
「時間は取らせない。父は事故死ではなかったと知らせに来ただけだ。油圧リフトに異常はなかった。父は何者かに殺されたんだ。トレイはディック・フィリップスの事件と関連があるとみている。君には早く教えておきたかった、これ以上自分を責めないように」
 メリッサは呆然とした。じわじわと安堵が湧き上がってきた。だが、マックのやつれた顔を見ると、急に後ろめたくなった。
「わざわざそのことを……マック、あの……」息をついて頬の涙をぬぐった。「失礼な態度をとってごめんなさい。ちょっとほっとした。でも、あなたの悲しみがやわらぐわけじゃないんですものね」
「君が責任を感じることはないと、それだけ知らせておこうと思って」
「ありがとう。少し気が楽になった」
 目の下に隈ができている。ストーカーのせいで眠れないのも無理はないが、なぜ泣いているのだろう? マックは訊かずにいられなかった。「ちょっと訊いてもいいかい?」
「言ってみて」
 答えるとはかぎらないと予防線を張っているのだろう。
「なぜ泣いてるの?」
 メリッサはため息をついた。私はすぐ気持ちが顔に出てしまうんだから「たいしたことじゃないの」観念して打ち明けることにした。
「ジェシカ・ヨークにばったり会ったのよ。ハイスクール時代にさんざんいやな思いをさせられたから、つい悔しくなって、あんな人、無視すればいいのに、私も大人になりきれないのね」
「ジェシカ・ヨークって?」
「旧姓ジェシカ・シェーンよ。サバンナの人と結婚してジョージア州に住んでいたけど、離婚して戻ってきたの。私の母が亡くなる一カ月ほど前に」
 首の後ろがむずむずしてきた。ジェシカが整備工場のトイレで友達と話しているのを立ち聞きして、メリッサが中絶したのを知ったのだった。どう言っていいかわからなかった。メリッサは話し続けていたが、なかなか頭に入ってこない。
「あんな人の言うことなんか気にしなくていいのに私も馬鹿ね。何年経ってもちっとも変わってないわ。相変わらずでたらめな噂ばっかりまきちらして。ハイスクール時代に私が中絶したと触れ回ったのよ、あの人。たまたま彼女のお母さんとクリニックでいっしょになったから、私が流産したのを知っているくせに」
 頭がガンガンして、気を失いそうだ。メリッサの唇が動いているのが見えるが、声は聞こえない。吐き気がしてきた。
 なんてことをしてしまったのだろう。
 あのとき彼女の話をちゃんと聞けばよかった。
 ふらふらと椅子に近づいて、崩れるように腰をおろした。
 そんなマックの様子を見て、メリッサは父が殺害されたショックのせいだと思った。こんなときに彼の気持ちも考えないで、自分のことばかり話すなんて。慰めの言葉をかけようと近づくと、マックがぎゅっと手を握った。そのまま膝に引き寄せ、うなじに顔を埋める。
 強引なやり方に驚くと同時に腹が立った。そのとき、彼が泣いているのに気づいた。
「どうしたの?」
「許してほしい」そう言うと、メリッサを抱きしめた。
 悲しみで胸がはりさけそうなのだろう。たったひとりの家族を殺されたのだから、無理もない。
「謝ることなんかないわ」メリッサは慰めた。「家族を失ったら、誰だって普通ではいられないもの」
 マックは大きく息をついて顔を上げた。取り返しのつかないことをしてしまった。メリッサにきちんと説明しなければ。
「そういうことではないんだ」
「どういうこと?」
「君が流産したと知らなかった」
 言われたとたんに心の古傷がうずき始めた。「知ってたはずよ。ちゃんと言ったもの、私の家に来て赤ちゃんのことを訊かれたとき。あなたは血相を変えて出ていって、それきりになったけれど」
 マックは喉に込み上げてきた固い塊を呑みこんだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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