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月の秘密

月の秘密

著: 剛しいら
発行: フロンティアワークス
レーベル: ダリア文庫e シリーズ: 月の秘密シリーズ
価格:578円(税込)
10ポイント還元
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
みんなの評価 ★★★★★4
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著者プロフィール

 剛 しいら(ごう しいら)
 6月9日生まれ東京都出身。魚座・A型。趣味は映画・舞台・格闘技・F1鑑賞。プラチナ文庫、ルビー文庫、アズ・ノベルズなどで作品を多数発表。

解説

 知られたくない秘密が、誰にだってある……。吸血鬼であることを隠し、都会で生きている巴尭弘はある晩、街でからまれていた男、山神太地を助ける。純粋なのに野性的な太地に惹かれた尭弘は、一夜限りのつもりで身体を重ねたが、もっとそばにいて欲しくなる。しかし普段は温和な太地は夜空に月が輝いた途端、性格が豹変して……。孤独を癒すラブストーリー!

目次

月の秘密
月の夜
あとがき

抄録

「……カーテン、閉めろ」
 巴の告白を無視して、太地は苛立った声を上げた。
「カーテン? どうして。綺麗な月夜だよ。もう欠けてるんだな。満月だったのはいつだっただろう。ついこの間だって思ったのに」
「出ていけっ! 早くっ、出ていかないとっ」
 あまりにも激しい太地の怒りを感じて、巴は少し意地悪な気分になっていた。
「そんな言い方ってないだろう。失礼じゃないか。せめて話相手をしてくれるくらいの、思いやりはあってもいいと思うぞ」
「頼むからっ、そんなに俺に懐くんじゃねぇよっ」
「ひどい……こんなあからさまな拒絶は初めてだ。別に君の貞操を奪うつもりなんかない。ただ一晩、その体の温もりを味わわせてくれればいいだけだったのに」
 巴は心底落ち込み、がっかりしてしまって、ベッドから立ちあがる気力もなくなっていた。
 自分自身が一番よくわかっていた筈だ。若くていい男には、健康な女が似合うのだろう。どんなに華やかな美貌に磨きをかけても、すべての男が自分を愛してくれる訳ではない。
 たとえうまくいった相手がたまたまいても、永遠の約束なんて出来ない自分としては、こんな不毛な恋を何度しても無駄だとそろそろ悟る必要があるのだろうか。
「何で出ていかないんだよっ。そんなに……そんなに襲われたいのか」
 太地はクロゼットから出てきて、じっと巴を睨み付ける。瞳が赤く怪しい光を発しているようで、巴も太地から目が離せなくなっていた。
「素敵だ……。君が襲ってくれるなんて……まるで夢のような展開だな」
「知らねぇぞ、その体がどうなっても」
「……どうなるかはもう知ってるよ。自分の体だからね」
 巴は冗談のように答えてみせたが、内心はどきどきし始めていた。
 この男に襲われる。いや、襲わせるだろうか。
 そんな展開を思うと、滅多にないことだが、全身が熱くなるような気がする。
 太地もやっとその気になったということだろうか。巴にしてみれば願ってもない展開だったが、いざそうなるとやはり脅えは僅かだがある。
「いいんだよ。無理しなくても。やはり女性の方がいいんだろ?」
「ああっ、もう、ああっ、くそっ、見ないふりも出来ねぇっ」
 太地はすでに息を荒げていた。その視線は食い入るように、巴の全身を舐め回している。
「男性相手は? 経験、ないんだろ」
「……ううっ、ううっ、おおっ」
 突然太地は巴に襲いかかり、ベッドに押し倒して荒々しくパジャマに手をかけていた。その眼は怪しい赤に変わっている。
「……これはまた……乱暴だな」
 巴は驚きの余り硬直してしまった。
 確かにしたいとは思ってこの部屋に来たが、やはりものには順番がある。せめて甘い囁きの一つもかわしてから、ベッドにゆっくりと横たわるのがルールだろう。
 こんなにワイルドな男は初めてだ。荒々しいプレイが好きなのか、それとも照れを誤魔化すために、わざと荒々しく振る舞っているのだろうか。
「落ち着いて……私は君に……抱かれたくて来たんだから……。そんなに焦らなくても」
 パジャマのボタンが吹っ飛ぶ。続けてズボンが勢いよく引き下ろされた。
「待って……そんな急がなくても……せめてキスとか」
「んっ」
 期待に応えるつもりか、いきなり唇が被さる。重ねるなんてものではない。被さったのだ。
「んんっ……もう少し……優しくして……」
「んっ。んっ、んーっ」
 犬に懐かれているかのようだ。激しく動く舌が、唇と言わず顎と言わず、ともかく手当たり次第に押しつけられる。
「あっ!」
 さらに顎に歯が当たっていた。先が少し尖っているのか、かするだけでかなり痛い。
「頼むから、落ち着いて……私は逃げないんだから」
 どうにか太地を落ち着かせようと、その首筋を触って囁こうとした。けれど太地は巴の手を振り払い、俯せにしてしまった。
 太地の体は重い。俯せにされてしまっては、それをはねのける力まで巴にはない。
「んんっ、ぐふっ、ううっ」
 低いうなり声を上げながら、太地は巴を完全に支配して満足そうだ。
 この男のどこが純情な若者なのだ。
 太地は巴のその部分に鼻先を寄せたと思ったら、べろべろと舐め回し始めた。とても何も知らない若者のやり方ではない。飢えた牡の獣のようだ。
「あっ、そこまでしてくれるのなら、もう少し丁寧に……優しくしてくれ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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