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炎とシャンパン

炎とシャンパン


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・モーティマー(Carole Mortimer)
 ハーレクイン・シリーズでもっとも愛され、人気のある作家の一人。1978年にイギリスでデビューして以来、これまでに刊行された作品は実に百冊を超える。十四歳のころからロマンス小説に傾倒し、アン・メイザーの作品に感銘を受けて作家になることを決意した。キャロルは三人兄妹の末っ子としてイギリスはベッドフォードシャー州の小村で育った。一時は看護師を志したが、転倒した際に痛めた背中が治りきらず断念。その後、某有名文房具メーカーのコンピューター部門に勤め、そこで働く間に時間を見つけて小説を書くようになった。物語を書くときに一番楽しいのは、ヒロインとヒーローの性格を考えるとき。書いているうちに徐々に主導権がヒロインとヒーローに移り、いつのまにか彼らが物語を語りはじめるのだという。現在キャロルは“イギリスで最も美しい場所”マン島に、夫と子供たちと住む。

解説

ロンドンの社交界で最も注目を集めている画家ですって?大学生のソフィーは、継母が自宅に招いた男性を訝しげに見た。ソフィーよりもかなり年上のルーク・ビットリオは、美しくも傲慢そうな笑みを浮かべて彼女を見返した。ソフィーの父の頼みで、ルークが彼女の肖像画を描くことになったと聞かされ、ソフィーは身震いした。なぜ、こんなに胸騒ぎがするのかしら?案の上、アトリエでふたりきりになったとたん、彼女はルークに唇を奪われ、陶然としてしまう。だが数日後、継母が彼と密会しているのを偶然目撃して……。

■人気作家キャロル・モーティマーが描く、1987年刊行のクラシックな魅力に溢れたロマンスをお楽しみください。謎めいた年上の画家に魅了された19歳ヒロインの揺れ動く心情に注目です。

抄録

 ソフィーは何も言えなかった。ルークのかすかなアフターシェイブクリームの香りや、肩に残るてのひらの感触が奇妙な熱さを体の奥に運びこんでいた。
「もう少し右に体を傾けて、ソフィー」指示する声と見つめる目は芸術家のそれだ。「顔も右に、そう、それでいい」
 だがルークは一度決まったポーズをその後も何度か直し、ようやく気に入ったポーズを見つけたのはそれから十分もたってからだった。片脚を体の下に折り曲げ、もう一方の脚をソファに投げ出し、顔を右側に傾けて窓の外を眺めているポーズだ。
「長くかかるのかしら?」ソフィーは体を硬くさせたまま尋ねた。ほんの少しそうしていただけだが、すでに首の後ろにかすかな痛みがある。
 ルークは肩をすくめた。「きみの協力次第だ。少し体の線が硬すぎる」
「仕方ないわ。楽な姿勢じゃないのよ」
「誰も楽な姿勢だなんて言ってやしないさ」カンバスに木炭を走らせながら、ルークが答える。「気持を楽にしてポーズをとっていることを忘れるんだ。必要ならばぼくに話しかけてもかまわない」
「何を話せばいいの?」
「なんでも。話さなくてもいいし、きみの勝手だ」
 ソフィーの視界の隅のルークは自信たっぷりにカンバスに向かっていた。少しずつ、だが確実に制作に没頭していくのがわかる。不意にソフィーはその集中力と自信を揺さぶってみたい衝動に駆られた。
「私のママとよく会うの?」思い切ってソフィーはきいた。
「時々だ」だが、ルークの声にはいささかも動じた気配はない。
「時々って、どのくらい? 一週間に一度? 二度? それとももっと?」
「数えて記録しているわけではない」
「今日、ママはここへ来たかったんでしょうね?」
「そうかな?」
「知っているくせに! 来るようにって言ったんでしょう?」
「ぼくが、か?」
 思わずソフィーはポーズを解いてルークのほうを見た。「知っているくせに!」
 ルークはいらいらした表情でため息をついた。「じっとできないのか? 動いたら描きようがない」
 再びポーズをとってソフィーが言った。「私の質問をはぐらかす気ね」
 怒ったような動作でルークがソフィーに近寄った。いきなり片手を伸ばしてソフィーの顎をつかみ、自分のほうに向けさせる。射るような視線がソフィーの瞳に注がれた。「ポーズをとりに来たのか? それとも質問しに来たのか? そんなに気になるなら答えてやろう! 週に二度、いやそれ以上だ。どうだ、これで気がすんだか?」
「そうだと思ったわ!」ソフィーは顎をつかまれたまま声をふりしぼった。「放してよ。痛いじゃないの!」
「大事なモデルだ、傷つけるつもりはないさ」
「何を話してもかまわないと言ったくせに! なんでそんなにいらいらしているのかわからないわ」
「きみが……あの時のように見えないからだ」思いもかけない言葉だった。「何かが……何かが欠けている……そうか、わかったぞ!」
「何が……わかったと言うの?」危険なほど魅惑的にきらめく褐色の瞳から、ソフィーは目をそらすことができない。
「情熱だよ!」ソフィーの前にひざまずいて、ルークが言った。
「情熱?」
「きみの家で別れぎわにぼくが言った言葉を覚えているか? きみの瞳に秘められた情熱だよ。今日はそれが見られないんだ。わざと自制しているのか、きみは?」
「ばかなことを言わないで! なんの話かわからないわ」
「いや、わかっているはずだ」てのひらを顎から喉元に移し、親指で肌をなぞりながらルークがつぶやく。「今のきみの瞳の色はただの紫だ」
 ソフィーはかすかなあえぎをもらした。ルークの指が肌を通して不思議な感覚を送りこんでくるように思えた。
「そう、紫だ。なぜなんだ?」
「私……わからないわ、そんなこと」
「ぼくにはわかっている」言い終わると同時に、ルークの唇がソフィーの唇に重ねられ、生き物のようにソフィーの唇を割り、長い指が体の曲線をなぞる。まるで呪縛をかけられたように身動き一つできず、ソフィーは灼熱の感覚に耐えていた。肌に感じる男の体の感触、息苦しいほどのキス……ソフィーにとっては何もかも初めての経験だった。そしていつしか彼女は夢中で両手をルークの首に巻きつけていた。
 長い口づけの後で外されたルークの唇が喉元に移った時、ソフィーはあえぐように声を出した。だがそれはあらがいの言葉でも非難の言葉でもなかった。
「どうして……どうして紫なの、ルーク?」
「ぼくが話した情熱のせいさ。内に秘めた情熱があるとないとで瞳の色が変わるんだ」
「嘘……嘘よ、そんな!」
「嘘じゃないんだ、ソフィー」顔を上げてルークはソフィーの目を見た。「恥じる必要はない。いや、それどころか喜ぶべきだよ。数少ない、選ばれた女の証なんだ」
「あなたの女性遍歴がそう教えるのね?」体に残るわずかな冷静さをかき集めてソフィーは言った。
「そう思うならそれでいい」突き放すように言うと、ルークは立った。瞳には冷ややかな色が宿っていた。イーゼルに戻り、乱れたシャツのすそをスラックスの中にたくしこむ。その動作は、今演じられたばかりの狂おしい光景をソフィーに思い出させた。
「さあ、続きを始めよう」
「続きを……」ソフィーはふるえる指で髪をかき上げる。


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