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プリンセスの愁い 三つのティアラ III【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】

プリンセスの愁い 三つのティアラ III【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊三つのティアラ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ルーシー・モンロー(Lucy Monroe)
 アメリカ、オレゴン州出身。姉の影響でハーレクインのロマンス小説を読み始めた。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚し、子供が生まれてからは母親としての道を選んだ。十八歳の夏に家族で旅行に行ったヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。

解説

テレーザは心と体の痛みに耐えていた――皇太子妃として。王位継承者に嫁いだ以上、愛よりも義務が優先するのは仕方のないこと。けれど、テレーザは夫に愛されたかった。おまけに子宮の病を発症した今、襲いくる痛みとともに、王家の跡継ぎを産めない可能性もが彼女を苦しめた。夫のプリンス・クラウディオには内緒にしているため、最近ふたりの気持ちは、何かとすれちがう。体の痛みから愛の行為に消極的な妻テレーザに対して、愛人ができたのでは、とクラウディオが疑いを持つほどに!

■架空の国のプリンスをめぐって繰り広げられるロマンチックな3部作〈三つのティアラ〉もいよいよ最終話です。今作のヒーローは長兄。王位継承者だけあって彼の苦悩は深く……。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「プリンセスって、アルカトラズ刑務所の囚人みたいに自由を束縛されるのね」テレーザはつぶやき、大好きな緑色のドレスのファスナーを上げた。スコルソリーニ宮殿で今夜も開かれる公式晩餐会のために支度をしている最中だった。
 彼女が不機嫌なのは、ビンセント国王や来訪中の要人との晩餐会が原因ではない。苦行にも等しい大変な一日を過ごしたためだ。“王家の島々”を意味するこの国、イゾレ・デイ・レの王、ビンセント・スコルソリーニのことは愛しているし、実の父親より親しみをおぼえている。
 それでもテレーザは、首都ロ・パラディソにある宮殿の一角ではなく、自分たちだけの家に夫のクラウディオと住めたらと願っていた。どんなに壮麗な建物でも、宮殿のスイートルームにプライバシーはほとんどなく、たいていの食事は正式なダイニングルームでとらなければならない。プリンセスとしての務めがあり、自分の時間はかなり制限される。それに加えて、今夜の彼女がとりわけ神経質になっている理由があった。
 マイアミにいるかかりつけの医師の診断結果を夫に伝える必要があるのだ。極秘にしなければならないので、テレーザは検査を受けるためにアメリカまで行ったのだった。
 今では、それほど慎重に行動しないほうがむしろよかったと後悔していた。マスコミが話をかぎつけてくれたら、自分の口からクラウディオに伝えなくてすむ。
 それは臆病な考え方だし、テレーザは意気地なしではない。
 だが、外交官の娘として厳しく育てられた彼女でも、結婚生活の終焉を落ち着いて迎えることはできなかった。両親と違って、テレーザは人生を政治や社交上の駆け引きの連続とは思っていない。彼女にとって現実は……つらいものだ。
 クラウディオはカフスボタンをつけ、両袖をきちんと引っ張った。この夫の見慣れたしぐさともお別れかと思うと、胸が痛む。
 唇をゆがめたせいで、クラウディオの整った顔が皮肉っぽくなった。「たしかにそうだな。お母さんに伝えるといい」
「だめよ」
 テレーザの母親が上流階級に仲間入りしたがっていることをクラウディオは面白がっている。しかしテレーザはそんな気分ではなかった。結局、自分は上昇志向の母親の踏み台にすぎなかったのだ。
「母からお説教されるなんて願いさげだわ。プリンセスになれてどんなに幸運かとか、私の人生がどれほど恵まれているかとか」全世界の理想的な結婚相手のなかからクラウディオがテレーザを選んだのが驚きだという話は、言うまでもない。
「きみが運命に幻滅していることは、僕よりお母さんのほうがわかってくれるだろう」クラウディオの声ににじむとげは、冗談でもないことをうかがわせた。暗い目は真剣で、探るようだ。
「運命に幻滅なんかしてないわ」打ちのめされただけよ。でも彼にそう告げるのは、別の機会にしたほうがいい。
 それにテレーザは、自分の人生が呪われている気がしていた。おとぎばなしの世界に入ったというのに、片思いはつらく苦しいと悟っただけだ。末長く幸せに暮らしました、という筋書きは物語のプリンセスだけに当てはまる……または愛されている女性に。スコルソリーニ家のほかのプリンスたちと結婚したふたりの女性のように。
「だったら、どうして僕の妻の立場を幽閉された囚人にたとえるんだ?」身長百九十三センチのクラウディオの体が目の前にそびえている。
 彼の香りに包まれたテレーザは、別れたあと彼が恋しくてたまらないだろうと思った。
 クラウディオは女性なら誰でも夢見るタイプの男性だ。黒髪に濃い褐色の瞳、褐色の肌はシチリア人の先祖の影響を受けている。プロのスポーツ選手なみの長身。筋肉質の体には無駄な肉がなく、顔立ちは古典的なタイプの映画俳優と言っても通りそうだ。ただのハンサムとは違う粗削りな顔つきと先の割れた顎は、テレーザが心から頼りにしている強い性格を物語っている。
「あなたの妻の立場をそんなふうに言ったわけじゃないわ」
「同じことだ、僕と結婚しなければプリンセスにはならなかったんだから」
「そうね」テレーザはため息をついた。「でも、あなたを怒らせるつもりじゃなかったのよ」
 クラウディオの手で頬を包まれ、彼女はぞくっとした。ベッド以外の場所で触れられることはめったにないので、どうしたらいいかわからない。
「怒ってるんじゃない。心配しているだけだ」
 彼の声に気づかいを感じとり、テレーザは罪悪感にかられた。
 彼は間違っていない……プリンセスにふさわしくない女性を選んだこと以外は。「大変な一日だったというだけよ」
 クラウディオはもう一方の手も彼女の顔に添えて上を向かせた。「どうして?」
 テレーザは舌で唇を湿らせ、晩餐会に出なくてもすめばいいのに、とまた思った。下腹部のうずきが生理前の腹痛にすぎないのならいいとも願う。子供をつくるために避妊用ピルの服用をやめたときも、痛みは生理が原因だと思ったのだ。
「午前中いっぱい、この国最大の女性団体の代表たちと、保育所や幼稚園の必要性について話しあっていたから」
 妻の悩みがわからないというように、クラウディオは眉根を寄せた。そんな会議なら彼女は何度も出席したし、うまくやってきたはずだ。「それはトマソの妻が指揮をとっていたと思うが」
「マギーはこの島へ来るヘリに乗ったためにつわりがひどくなったのに、会議を延期しようとしなかったから、私にまかせてとマギーを説得したの。今思えば、代表たちのほうをディアマンテ島へ行かせて、マギーに会ってもらえばよかったわ」
 クラウディオが顔から手を離したとたん、テレーザは寒けに襲われた。彼には何げないしぐさなのだろうが。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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