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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

イタリア富豪の孤独な妻

イタリア富豪の孤独な妻


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダニー・コリンズ(Dani Collins)
 カナダ出身の作家。高校生のころにロマンス小説と出会い、小説家という職業はなんてすばらしいのだろうと思ったという。以来、家族の反対や“普通の”仕事に追われながらも、さまざまなジャンルの執筆に挑戦し、ついに念願叶ってハーレクインからデビューすることになった。まるでロマンス小説さながらの、ハッピーエンドを生きている気分だと語る。

解説

夫が求めているのは跡継ぎだけ。愛されていると思ったのは、幻だった。

父の命令でイタリア人実業家アレッサンドロと結婚し、ナポリで幸せな暮らしを送っていたオクタヴィア。ところが妊娠がわかると夫は手のひらを返したように冷たくなり、安全だからという理由であっさり妻をロンドンに送り返した。私は子どもを産むための道具だったのね――孤独と不信のなか、やがて男児を出産したオクタヴィアだったが、我が子を抱いたときに妙な違和感を覚えた。私の子ではないわ!取り違えを訴えるも誰も取り合わず、すがるように夫を見ると、彼もまたうんざりしたとばかりに冷たく妻を見返して……。

■2015年デビューのダニー・コリンズが、生後間もないベビーを軸にした“夫婦元さや”の物語を描きました。ドラマティックな筋立てに丁寧な心理描写を織り交ぜた、読み応えある一作です。

抄録

「信じられない、きみがそんな疑いを――」
 アレッサンドロの憤った口調に、オクタヴィアが身をかたくした。
 彼は言葉を切り、なんとか自分を抑えた。妻が味わった分娩中の恐怖を想像し、さらにその責任は自分にあると責められるのは拷問に近かった。
「あなたがナポリで何をしているかなんて、わたしにわかるはずがないでしょう」
 ここ数カ月でオクタヴィアは変わった。温和な表情を見せるのはロレンツォに対してだけで、夫を見つめる瞳の奥には非難と拒絶の色がくっきり浮かんでいる。
 妻の非難に、アレッサンドロは自分でも思ってもみなかったほど激しく動揺した。結局のところ、プリモのねらいどおりになったということか。
 オクタヴィアはすんなりと自分のものになった。初心で従順ながらベッドのなかでは情熱的な理想の妻だが、努力して勝ちとったわけではなかった。
 気がつかないうちに彼女は自分にとって空気のような存在になっていたのかもしれない。たしかに自分は傲慢だった。今回のことで妻との関係がいかにはかないものか、はっきり思い知らされた気がする。ふたりを結びつけているのは、たった一枚の紙にすぎないのだ。
 そう思うと、落ち着かない気持ちになった。恋愛結婚ではないのだから、当然といえば当然だ。感情のもつれを避けたくて、穏やかでおとなしい女性を妻に選んだはずだ。
 いずれにしても、ここでオクタヴィアと争っては、まさにプリモの思う壺だ。
「これまでそんな不名誉なとがめを受けたことはない」アレッサンドロはつぶやいた。「だが、ひとつだけ、きみに謝らなくてはいけない、オクタヴィア。プリモを信用したのは間違いだった」
 オクタヴィアが唇をゆがめた。「プリモの言っていることは嘘だと思おうとしたわ。でも……」ためらいがちに彼の瞳を探る。
 空気が重たくなり、アレッサンドロはさらに悪い話が続くことを直感した。
「あなたがわたしを妊娠させたのは、父がボーナスを約束したからだって……ロレンツォさえ生まれれば、わたしのことはもうどうでもいいんだって……プリモはそう言ったの」
「|まったく《ポルコ・カーネ》」思わず悪態が口をついてでた。
 アレッサンドロは髪をかきむしった。今は、プリモが五メートル以内に接近したらボディガードたちが即座に取り押さえることになっている。でなければ、殺人罪で刑務所送りにしてやるところだ。
「ぼくはきみとおなかの子が心配でならなかった」
 妻が緊急手術になったと連絡を受けてから、ロンドンに到着して無事出産が終わったと聞くまでの数時間を思い出すと、今も喉が締めつけられるようだ。
「彼はぼくに部分的な情報しか与えず、わざと気をもませたんだ。悪夢だったよ」
 オクタヴィアがこちらの表情を探っている。信じてもらえないだろうか? そばにはいられなかったが、ずっときみのことを考えていたのだ、と。
「プリモはぼくたちの仲を引き裂こうとした。だが、そうさせるわけにはいかない。彼に勝たせるわけにはいかないんだ」
 彼女が唾をのみ、内心の動揺を隠すかのようにうつむいた。そしてティッシュペーパーを取り、こぼれる涙をぬぐった。
 アレッサンドロはオクタヴィアに寄り添い、慰めてやりたかった。ずっと前にそうするべきだったのだ。ソファに座って彼女を膝に抱き、“|いとしい人《ミオ・デイーオ》”とささやき、思いきりキスをして……。
 だが抱き寄せると、オクタヴィアは身をこわばらせた。だから額にキスするだけにしておいた。淡い香りをかぎ、柔らかな肌を味わう。彼女は震えながらアレッサンドロのシャツをつかみ、首に顔をあててきた。頬が濡れているのが感じられる。
 次の瞬間、オクタヴィアは小さく身震いし、声を殺して泣きはじめた。
 アレッサンドロは彼女をしっかりと抱き寄せた。自分の鼓動がオクタヴィアに届くように、この気持ちが届くようにと願いながら。
 離れて暮らしていた数カ月間、夫婦の営みはなかった。その前から流産を恐れてベッドをともにするのをやめており、アレッサンドロはドラッグ依存症患者がドラッグを求めるように彼女を求めながら、ありあまる精力を仕事に注ぎこんでいた。
 だが、決めたからには貫くしかない。ナポリにいたほうが気が楽だった。ひょっとすると、自分の忍耐力を試したかっただけかもしれない。要はただのエゴということか? プリモの皮肉な言葉が聞こえてきそうだった。“彼女を抱っこするために、わざわざ自家用機を操縦してきたのかい?”
 そのとおりだ。だが、オクタヴィアは抱擁は受け入れたものの、膝の上で身をこわばらせている。
 アレッサンドロは彼女の背中を手でそっとさすった。なだめるように、励ますように。思いが伝わるように。
「怖かったの」オクタヴィアがささやいた。
「今はぼくがいる」アレッサンドロは言った。自分の存在を焼きつけるかのように、彼女に体を押しつける。
 オクタヴィアがはなをすすり、手を上に滑らせて彼の首に腕をまわした。豊かな胸が押しつけられ、丸みを帯びた腰が下半身を刺激する。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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