マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

かなわぬ恋【ハーレクイン文庫版】

かなわぬ恋【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

母の恋人にレイプされかかり、階段から突き落とされた挙げ句、母親には、「お前が誘惑したんだろう」と責めたてられた――。少女期のトラウマを引きずったまま大人になり、極度に男性を恐れるようになったキャリーにとって、寡黙で優しい義兄マイカは、初めて愛した男性だった。誰にも知られてはいけない、密かなる想い……。だが、彼への初恋は無残にも打ち砕かれる。義兄と母親がキスしている場面を目撃してしまったあの日、キャリーの心の一部は死んだ。

*本書は、ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 胸の傷を圧迫されて、キャリーはあえいだ。
「ごめん! 忘れていた」マイカはごく自然なしぐさで彼女の胸に手を置いた。「痛かったかい?」
 キャリーは真っ赤になった。もちろん、ふたりの様子はほかの誰からも見えないだろう。でも、マイカにこんなふうにふれられるのは、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。
 キャリーは彼を見上げた。彼女の息づかいは乱れ、唇が自然にうっすらと開いた。
 マイカの親指が傷の上のあたりをそっとなぞった。「マイアミに着いたら、友だちの医者のところへつれていくよ。バハマへ向かう前に、きみのけがを診てもらおう」
 キャリーは唇の上に彼のあたたかな息を感じた。
 マイカはキャリーの胸を包んでいた手を離し、丸みを帯びた彼女の顎をそっと持ち上げた。「やわらかな肌だ」マイカは低くささやいた。「それに、きみはやさしい。唇も……」
 つぶやきとともに、マイカはキャリーに唇を押しつけた。彼はキャリーの上唇をとらえ、舌で味わった。やがて、彼は顔を上げ、キャリーの驚きに満ちた瞳の奥をさぐった。
「きみは僕を憎むべきなんだ」マイカはささやいた。「僕はきみを傷つけた。きみは悪いことなんか何ひとつしていないのに」
 マイカが義父の家で暮らしていたころのことを思い出して、キャリーはひるんだ。「あなたの気持ちは理解できたわ。あなたは腹を立てていたんでしょう。母とわたしは侵入者だったんですもの」
「きみの母親はそうだったかもしれない。だが、きみはちがう」マイカの表情からは、彼の本当の気持ちをうかがい知ることはできなかった。「これまできけなかったんだ。もしかしたら本当は知りたくないのかもしれない。ロペスにつかまったとき、きみは……」彼は柄にもなく言いよどんだ。「きみはレイプされたのか?」
「いいえ」キャリーは静かにこたえた。「でも、危ないところだったわ。わたし、ずっと考えていたの。あのクリスマスの日にあなたと最後まで……」自分が何を言おうとしているかに気づいて、キャリーはぎょっとして口をつぐんだ。
「わかっている」マイカは言った。「僕も同じことを考えていた。ロペスの手下どもから受ける暴行が、きみのはじめての体験になるなんてたまらなかった。あのとき、僕がきわめつけのばかみたいにふるまっていなかったら!」
 キャリーの顔を包むマイカの指に力がこもった。
「痛いわ」キャリーはささやいて彼の指にふれた。
 マイカはすぐに力をゆるめた。「ごめん。まだ神経がぴりぴりしているんだ。ここ数日の出来事は悪夢みたいだった」
「ええ、そうね」
 マイカの親指がふっくらとしたキャリーの唇をなぞった。「二度ときみをロペスにはわたさない」
 彼が手を離すと、キャリーは唇を噛んだ。「ロペスはまたわたしを追ってくるかしら?」
「やつはきっとまたきみを狙うと思う」マイカは率直にこたえた。
 キャリーは身震いした。「自分がどれほど無力だったか、思い出すとたまらないわ」
「僕にも経験があるよ。一度、ある任務で敵につかまったことがあるんだ。僕はしばり上げられて拷問され、やがては処刑されるはずだった。だから、きみの気持ちはよくわかる」
 キャリーは恐怖に目を見ひらいた。「あなた、どうやって逃げたの?」
「ボヨたちが僕を救出に来てくれたんだ」マイカはほほえんだ。彼がキャリーにこんな心からの笑顔を見せるのははじめてだった。「連中、僕の雷が恋しかったんじゃないかな」
 キャリーもためらいがちにほほえみを返した。とげのある皮肉に身がまえることなく、こんなふうにマイカと話ができるなんて、少し前までは考えられなかったことだ。
 マイカはふたたび真剣な表情で彼女の顔にふれた。「あんなやつらにさらわれるなんて、恐ろしかっただろうね。きみは暴力なんかとは無縁の人だ」
 キャリーは黙っていたが、実は彼女も暴力がどんなものか身をもって知っていた。キャリーは彼から目をそらした。「助けが来るなんて、まったく予想していなかったの。ロペスの目的が身の代金だったとしても、あなたが支払いに応じるかどうか確信が持てなかったわ」
 マイカは眉根を寄せた。「なぜだい?」
「あなた、わたしなんて好きじゃないでしょう」キャリーはあっさりと言った。
 マイカの目に狼狽の色が浮かんだ。「それほど単純な話じゃないんだ、キャリー」
「いずれにしろ、助けてくれて感謝しているわ。あなたは命がけでわたしをあそこからつれ出してくれたんですもの」
「僕はもう何年も危険と背中あわせの生活を送っているんだ」彼はキャリーの顔をつぶさに眺めながら、ぼんやりとつぶやいた。彼女の顔には疲労がにじんでいる。「眠ったらどうだい? 目的地に着くまで、かなり時間がかかるよ」
 マイカはこれ以上話をしたくないのだ。だが、キャリーは気にしなかった。彼女は疲れきっていた。「そうするわ」キャリーはほほえんでうなずいた。
 マイカは自分の座席に座り直した。キャリーも背もたれにもたれてまぶたを閉じた。するとそのとたん、この二日間の疲労がどっと押し寄せてきた。キャリーはほとんど目をつぶるのと同時に眠りに落ちた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。