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なりゆきで誘拐したら、溺愛されました〜王子様と甘い恋の攻防戦〜

なりゆきで誘拐したら、溺愛されました〜王子様と甘い恋の攻防戦〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

そんな顔をするな。興奮するじゃないか
誘拐(!?)した王子様に、毎晩襲われてます――

男爵家末娘のアリシアは、見るからに高貴で美しい男・ライナスの顔に傷を付けてしまい自分の屋敷で手当てすることに。「俺はお前に誘拐されたんだ」脅迫まがいの仮病で居座るライナスに振り回される日々。気付けば初心な身体に淫らな愛撫を与えられ、初めての快感を……。戸惑うアリシアだが、実はライナスの正体が本国の王子だと知ってしまい……!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「変な眼で見ないでください……!」
「変とは心外だな。男が女に興味をなくせば、あっという間に人という種は滅びるぞ。だから、これは当然の反応だ。しかもこんな時間、そんな薄着で飛びこんできたのはお前の方だと忘れていないか」
 至極尤もな反論に、言い返す言葉は見つからない。沸騰しそうな頭は回らず、アリシアは無意味に空気を食んだ。
「こ、これはニナの悪戯……そう、悪ふざけなのです。巻き込んで申し訳ありませんライナス様。私はこれで失礼いたします」
 もう逃げるしかない。すっくと立ちあがり、アリシアとしては滑らかにドアノブを掴んだ。──実際にはギクシャクとした動きだったが。
 だが、無情にも扉は開かず、ガチャガチャと不快な音を立てる。どうやら外から鍵がかかっているらしい。
「ニナ、いい加減にして!」
「……なるほど、そういうことか」
 何をどう解釈したのか、ライナスは口角をあげた。それは、まるで面白い玩具を手に入れた悪人の笑みそのものだ。ゾッと粟立ったアリシアの背に、冷たい汗が流れていく。
「心配するな、アリシア。以前にも言っただろう? 俺は女に恥をかかせるつもりはないと」
「恥なんてかいておりません。ライナス様、もうお休みになられるところだったのでしょう? お邪魔して申し訳ありませんでした」
 後退って逃げようにも、アリシアが立っているのは既に扉の前だ。すぐに行き止まって、背中に硬い感触を感じる。
「そうだな……だが一晩眠らないくらいでは、特に健康への影響はない。俺はまだ若いから」
「ひ……!」
 大きな掌に、頬を撫でられた。ただそれだけなのに、奇妙な疼きがアリシアの中を駆け抜けてゆく。細く骨ばった指先が、こめかみから目蓋、涙袋を辿って耳殻へ至る。耳の穴を意味深に擽られ、その後唇をなぞられた。優しい触れ方は、ときに擽ったく、ときにもどかしい。視線は一度も逸らされることがなく、ずっとアリシアを搦め捕っていた。その間、指一本動かせずにアリシアはライナスを凝視していた。
 恥ずかしいのに、気持ちがいい。そう感じていることを知られたくなくて、余計に頭は混乱する。乱れた呼吸が彼の指にかかってしまうのが心配で、碌に息も吐き出せなかった。ただ黙って、ライナスの手を受け入れる。彼の中指が口内に侵入しても、震える顎は拒絶を示さなかった。
「ふ……っ」
「顔が真っ赤だな。ちゃんと呼吸はした方がいいぞ」
「ん、ふぁ……ひゃいらふ、はま……」
 舌を押さえられては、まともに名前を発音もできない。子供のような舌足らずの言葉に、ライナスは妖艶な笑みを浮かべた。
「お前はそういう涙ぐんだ表情が一番そそるな。もっと泣かせてみたくなる」
 ──やっぱりこの方、リディオットお兄様と同じ匂いがするわ……!
 他人の泣き顔に興奮するなんて、普通の人間の神経ではない。やや危ない性癖を抱えた者の発想だ。あまりの恐ろしさにゾクゾクと肌が粟立つ。
 叫んで逃げ出したいのにそれも許されず、アリシアはひたすら必死に彼を見上げて許しを請うた。が、それこそが変態──もとい、ライナスの性癖を刺激するらしい。ますますうっとりと眼を細めた彼は、屈みこみながら顔を近づけてくる。
「唇がまるで熟れたベリーだな……甘くて美味そうだ」
「わひゃ……っ、おいひふないふぇすよ……!」
 私なんて美味しくないですよという主張は、空しく虚空に消えていった。銀糸を引きながら抜き出されたライナスの指の行き先を確認する間もなく塞がれた唇。夜会以降二度目のキスは、啄むように幾度も交わされた。
 ちゅ、ちゅとくっついては離れてゆく唇。息を吸い込む機会は何度もあるのに、アリシアにはそのタイミングが計れなかった。簡単に翻弄されて、身体中の力が抜けていってしまう。今や背中を扉に預け、ライナスの腕に支えられることでどうにか立っていた。
「ああ……やっぱり美味いな」
「ふ、ぁ……」
 頭がクラクラする。涙で滲んだ視界に映るのは、凄絶な色香を放つ一人の男。黄金の髪が妖しく煌めき、前髪の隙間から覗く青い焔を宿した瞳にチリチリと肌が炙られる。このままでは焼き尽くされる──そう感じた。
「この屋敷の使用人は、本当に主人思いだ。暴走しがちだが、その思いには報いてやらねば」
「……使用人? ……!」
 ライナスの言葉にアリシアの消えかかっていた理性は呼び覚まされた。そうだ。こんなことをしている場合じゃない。危うく流され、取り返しのつかない事態になるところだった。
「ライナス様、色々行き違いがあるようなのです。一緒にニナたちへ説明してください」
「ああ、いいとも。明日の朝二人でしよう」
「それでは遅いのです。むしろ状況が悪化してしまいます!」
 明日の朝、二人揃って部屋から出てくれば、事実はどうあれ既成事実の作成完了となり、もうどんな弁明も意味を成さない。そんな未来を想像して、アリシアの意識は遠くなりかけた。
「ふざけている場合ではないのですよ。これはライナス様にとっても一大事なんですから!」
「お前は小動物のように警戒心を張り巡らせているかと思えば、こと男女のことに関しては本当に無知で鈍感だな……だがそこが面白い」
 楽しげに宣いながらも、次第にライナスは覆い被さってくる。流石のアリシアも不穏なものを感じ始めたころには、彼の膝が自分の脚の間に入り、壁と両腕で作られた檻にすっかり閉じ込められていた。
「ち、近いです……ライナス様」
「そうだな」
 一向に離れる気配のない彼は、再び唇を寄せてきた。


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