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傷心旅行

傷心旅行


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

恋に破れ、傷ついた心を抱えて、デボラはベニスを訪れた。夕闇迫る街を歩き回っているうちに彼女は道に迷い、ふと気づくと不審な男たちに囲まれていた。そのときだった、黒髪のハンサムな男性が颯爽と現れたのは。彼はマシューと名乗り、不審者を蹴散らすと、怯えるデボラを救いだしてくれた。とても裕福そうに見えるけれど、いったい何者なのかしら?だが、その答えは意外な形でもたらされる。ふたりが一緒にいる写真がいきなり新聞の一面を飾ったのだ。彼は巨大製薬会社の社長。そして私は……彼の婚約者ですって!?

■今作の原題は『ILLUSION』ですが、邦題に採用されたのは『傷心旅行』。クラシックな香りが漂う物語にぴったりなタイトルだと思いませんか?1984年に刊行された超人気作です。

抄録

 ドアを開けたマシューは、驚いた様子でデボラを見つめた。
「朝までこれを預かってくださらない? これがあると眠れないのよ、盗まれやしないかと思って」
 マシューは乱れた髪をかき上げ、いら立ちを隠そうともしなかった。「まったく、女ってやつは、何もわかっちゃいないんだから!」
「何千ポンドもするコートを自分の部屋に置いておけないと思うのが、どうしていけないの? 盗まれたら私には弁償のしようがないもの」
「盗まれても君の責任じゃないよ」
「でも、危ないことはしたくないの」
「じゃあ、こっちへよこして」彼がデボラの手から乱暴にコートを取った。
 誰かが息を切らしながら近づいてくる気配がした。デボラが振り返ると、重い足取りで階段をのぼってくる人の頭が見えた。
 マシューは小声で毒づくと、いきなりデボラを部屋へ引きいれ、ドアを閉めた。
「これ以上面倒なことになると困る」マシューは通りすぎる足音に耳を澄ました。
 デボラは部屋を見回した。マシューはまだ床についていなかったらしい。白い電話が電話帳と一緒にベッドの上に置いてある。あの写真が新聞に載るのを防ごうと、あちこち電話していたに違いない。
 マシューがコートを椅子にほうり投げたので、デボラは眉をひそめた。「乱暴にしないで! 悪いと思わないの?」
「まあね」彼の青い目に疲れが出ていた。目のまわりのしわも深くなっている。「君をさらし者にせずにすむ方法を探しているんだが、君を守ろうとすればするほど、禿鷹どもにあやしまれる」
「私を守ってくれるなんて、男らしいのね!」デボラはなぜだか皮肉を隠し切れなかった。マシューもそれを感じ取って、彼女を冷たくにらんだ。
「僕は騒がれるのに慣れてるが、君は違う。あまり愉快なものじゃないよ」
 彼がほんとうに自分のことを心配してくれているのかどうか、デボラにはわからなかったが、一応善意に解釈してほほえんだ。
「心配してくださってありがとう」
 そんなあらたまった言い方をすべきでなかった。彼はますます誤解して、激しく眉根を寄せた。
「けっこうだよ、信じなくたって」マシューはそっぽを向いて、丈の短いバスローブのひもをぎゅっとしめた。デボラは今、初めて気がついた。彼はバスローブの下に何も着ていないのだ。長い足はむきだしで、茶色い足の毛が少し濡れている。デボラがドアをノックした時、彼はシャワーを浴びていたらしい。
 それに気がついて、デボラはあわてた。少しずつドアのほうへさがろうとしていると、振り返ったマシューがそれに気づき、ますます険しい顔になった。
「今度はどうしたんだ?」
「人目につかないうちにここを出たほうがいいと思うの」デボラは彼と目を合わせずに言った。
 彼が近づいてきたので、デボラは思わずあとずさりした。マシューは足を止め、デボラをじっと見ながら腹立たしげに言った。「襲ったりしないよ」
「わかってるわ!」デボラは顔を赤らめ、まともに彼を見ることができなかった。
「いいや、わかっちゃいない。そんなにびくびくするなよ。でないと、かっとなって何をするかわからないぞ」
「それはもう懲りたはずよ」デボラは憤慨して彼をにらみつけた。「あんなこと、もうたくさん!」
「君は失敗も勉強のうちと思わないのか?」
「思わないわ」デボラはロバートを思い浮かべた。
「じゃあ、今からでもそう思うんだな」
 知らないうちに声が高くなっていた。それに気づいて二人は急に黙り、見つめ合った。
「前もこんなことになったような気がする」マシューは苦笑した。
「|変わらないわね《デジヤ・ヴー》」デボラもあっさり認めた。「ごめんなさい」
「僕が君を襲うつもりがないと納得してくれたら、こういうくだらないけんかは避けられるんだ」
 デボラは顔を赤らめて笑った。「わかったわ」
「いい子だ」マシューは表情を和らげて楽しそうに言った。「それじゃあ、僕が先に行って、パパラツィがうろついていないかどうか確かめるから、僕が君のそばを通っても、驚いて騒いだりしないでくれよ」
「私、それほどばかじゃないわ」デボラは笑った。
「ああ、ばかじゃない。でも、女だ」
「また女性をばかにして!」
 マシューがドアを開けて外をのぞいた。「大丈夫だ」振り返ってデボラに言った。
 デボラはほっとした。ネグリジェにガウンをはおっただけの姿で、裸同然のマシューと部屋に閉じこもっていることに耐えられなくなっていた。マシューの横をすり抜けると、デボラは小声で言った。「今度こそ、おやすみなさい」
 マシューは声をひそめて笑った。その瞳にまた例のからかいの色が浮かんだ。しかし、デボラがそれに気づくか気づかないかのうちに、彼が顔を近づけてきて、デボラの唇にキスした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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