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夜だけの恋人【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】

夜だけの恋人【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
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著者プロフィール

 シャロン・サラ(Sharon Sala)
 強く気高い正義のヒーローを好んで描き、業界のみならず読者からも絶大な賞賛を得る実力派作家。息子と娘、それに孫が四人いる。“愛も含め、持つ者は与えねばならない。与えれば百倍になって返ってくる”が信条。ダイナ・マコール名義の著書も出版されている。

解説

地元での親友の結婚式に出席したデビーは、新婦の兄コール・ブラウンフィールドに会うなり、運命を感じた。幸いブラウンフィールド家に家政婦として雇われ、忙しい日々を送る敏腕刑事のコールをかいがいしく世話するものの、彼はデビーの思いを無視するような態度をとるばかりだ。ところがある夜、デビーが眠れずに庭のプールで泳いでいると事件現場から戻った、憔悴した様子のコールが近づいてきた。そして闇のなか、服を脱ぎ捨てるやいなや……。
*本書は、シルエット・ラブストリームから既に配信されている作品のハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「あいつはマナーがなってないばかりか、黴菌も気にならないたちでね」コールが笑う。「ウイルスと聞いてバディが慌てるのは、コンピュータウイルスだけだよ。コンピュータのプログラムに何重もの保護機能をつけているから、自分でさえアクセス不能になることがあるんだ」
 デビーは息をのんだ。コールのこんなにも屈託のない笑顔を見るのははじめてだった。いつもは真剣で重苦しい目つきの黒い瞳が、いまは楽しそうにいたずらっぽく輝いている。デビーはこのほうがずっと好きだった。コールが食卓に残っていた皿を集めてこちらに下げてくる。デビーはその顔を見てほほえんだ。バディがよく口のまわりにデザートをつけているが、ここにも似たようなのがひとりいる。
 デビーは片手を伸ばしてコールの頬を押さえた。彼はいぶかしげに彼女を見たが、触れてくるその手を止めようとはしなかった。デビーはコールの顔を自分のほうへ向け、指先で彼の口の端をぬぐった。
「なにか特別な理由で取ってあるの?」デビーは笑いながら、指先についたクリームを見せた。
「きみのために取っておいた」コールは衝動的にデビーの手をつかむと、その指を彼女の口もとへ持っていった。デビーが指をくわえてゆっくりと甘いクリームをなめる。それを見てコールは思った。なんだってぼくはこんなことをしたんだ?
「どうもありがとう」デビーが言う。
 ものうげに言われて、コールは突然体が熱くなったが、彼は賢明にもそのことを無視した。「どういたしまして」
 デビーはとまどいと情熱が見え隠れする彼の瞳を見つめ、われを忘れていた。コールはわたしを求めている。それだけはデビーにも確信があった。だが、彼はそのことを自分で認めようとしない。デビーにはそれもわかっていた。わたしは求められるだけではいや。ちゃんと愛されたい。さもなければ、いっそのことなにもいらなかった。
 コールは瞬きして一歩うしろに下がった。そうするしかなかったのだ。でなければどんどん前に進んで、デビーをその胸に抱いていただろう。
「まったく」コールは小声で言った。「きみのような女性が存在するのは許されるべきではないな」
 デビーは顔を上げると、彼の目をまっすぐ見つめて静かに言った。「そんなことより、あなたはどうするつもりなの、コール・ブラウンフィールド?」
 コールは大きく息を吸い込んだ。自分でも気づかないうちに体がこわばっていた。彼はこぶしを握った。この手でデビーの首を締め上げてやろうか、それともこの手を彼女の髪にもぐらせ、抱き寄せようか。コールは自分でも決めかねた。デビーに迫られてもここまではおとなしくかわしていたが、それもそろそろ限界だ。コールは前に踏み出した。
 ちょうどそのとき電話がけたたましく鳴りだした。コールはぎょっとして振り向くと、壁から乱暴に受話器を取った。
「はい?」
「電話のおかげで助かったわね」デビーはつぶやきながら、夕食の残り物を片づけた。
 電話は相棒の刑事からで、彼の報告が始まるとコールの目つきが鋭くなった。目下捜査中の事件に関するリック・ガーザの話を聞きながら、コールは頭の中でそれらをファイルしていった。それと一緒にデビーの姿も記憶する。テーブルと戸棚のあいだを行ったり来たりするショートパンツ姿のデビーのヒップ。そして、腕を伸ばして塩、こしょう、スパイスなどを上の棚にしまうときの胸のふくらみ。意識的にこちらを無視しているあの様子からすると、デビーは彼に見られていることをちゃんとわかっているらしい。
「迎えに来てくれるか?」コールがきいた。
 そのひとことで、デビーは急にこちらが気になりだしたようだ。彼女が不安そうに大きな目をして振り向いた。手から布巾をぶら下げたまま、深刻な顔つきのコールを見つめている。
「それじゃ、待ってる」コールは電話を切った。
 いまにもうろたえだしそうなデビーの目を彼はじっと見た。こういうことがあるから、結婚はしないと心に決めているのだ。刑事の妻になれば、こんな恐怖を毎日味わうことになる。だから今はまだ、それをだれかと分かち合う気にはなれなかった。
「帰りは遅くなると思う」コールは彼女に告げた。「かえってこれでよかったんだ。きみがなにを期待していたにしろ、結局それは起こらなかった。この先も起こらないんだから、そういう顔はもうやめたほうがいい」
「どんな顔?」デビーは反抗的につんと顔を上げた。
「まさにその顔だ」低くうなるような声で言われ、デビーの背筋にぞくぞくするような緊張感が走った。コールは彼女の肩をつかむと、ダイニングテーブルの横の壁にかかっている鏡の前に彼女を立たせた。
 鏡の中には背の高い黒髪の男と、その肩ほどの背丈しかない、小柄な巻き毛の小悪魔がいた。ふたりは無言で、鏡に映るたがいの姿をまじまじと見た。
「自分がどんな顔をしているかぐらい、わかっているわ」デビーは静かに言った。「あなたにはそんなこともわからないの?」
 彼女はその場を立ち去った。あとに残されたコールは鏡の中の自分を見た。だが、自分のほうに問題があることを、彼は決して認めようとしなかった。
 コールはそのまましばらくじっと鏡を見つめていた。すると震えが襲った。「違う! 違うぞ!」彼は自分の部屋へ戻った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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