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億万長者の罪な嘘 ディ・シオーネの宝石たち 1

億万長者の罪な嘘 ディ・シオーネの宝石たち 1


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンスディ・シオーネの宝石たち
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

初めて身も心も夢中になった人は、笑顔の裏に企みを秘めていた。

夢を実現するための資金調達に四苦八苦するアビーの前に、突然、潤沢な資金を提供するという救世主が現れた。名門ディ・シオーネ家の御曹司で、投資会社社長のマッテオだ。プレイボーイだと噂される彼は、実際に会ってみると寛大で率直な魅力にあふれたすてきな男性で、過去の出来事から男性不信に陥っていたアビーの心さえ動かした。さっそく食事に誘われ、彼女は生まれて初めて胸をときめかす。だが、マッテオの狙いをこのときのアビーはまだ知らなかった。そう、愛が憎しみに変わるほどの残酷な真の目的を……。

■今作からスタートするミニシリーズ〈ディ・シオーネの宝石たち〉は、イタリアの名門一族ディ・シオーネ家に伝わる秘宝を捜す過程で巻き起こる恋愛模様を描いたシリーズです。豪華な人気作家たちの競演も見どころのひとつ。どうぞご期待ください!

抄録

「どうしてあの馬に乗ったの?」アビーはマッテオから視線を離して、見事な雄馬に目をやった。「乗馬はするの?」
「あんまり」
「“あんまり”って……?」
「ぜんぜんしない」
「死んだかもしれないわ」冗談ではない。あれは、熟練騎手でも限界を試されるような馬だ。「なぜそんな危ないことをするの?」
「ペドロが飛ばすときにもそんなことを言うのかい?」
「ペドロは訓練を受けた熟練ドライバーよ」アビーは反論した。「あなたは騎手になるには背が高すぎるわ」
 彼女の頬は興奮で愛らしいピンクに染まっている。それが日差しのせいでないことくらいマッテオにもわかっていた。
 こちらを向かせて耳元に唇を寄せ、僕がどんなにすてきな騎手か、甲高い声で言って聞かせて笑わせたい。そして、人前でいちゃつくなと叱られたい。
 それから……。
「行こう。ファッションショーが始まるよ。君は昔……」そこで口ごもった。アビーがファッションを学んだことは父親から聞いたはずだ。
「昔?」
「君がファッションを勉強していたと、どこかで読んだと思って」
「そうよ。どこで読んだの?」
「覚えていない」マッテオは肩をすくめた。「チームの調査をしたときかもしれない」つい嘘をついた。
 マッテオはアビーの隣に座って考えた。姉に嘘をついたのは姉を守るためだったが、今は自分を守るためだった。
 かまいやしない。彼は自分に言い聞かせた。
 僕とアビーはどうなるわけでもない。たとえベッドをともにしたとしても。二人の間に熱いものが通っているところから見て、そうなる可能性は高いが、長続きはしないだろう。
 マッテオはそのつもりだった。誰とも親密な関係にはならない。
 アビーはマッテオの沈黙に気づかなかった。レースから離れているのが心地よく、そんなふうに感じたのは初めてだと気づいた。レースは仕事であり趣味でもあるが、それから離れているのは爽快な気分だった。でもそれは、マッテオが一緒にいるからに違いない。
 二人はファッションショーを見物した。モデルがランウェイに出てくるたびに、マッテオは“君が着たらきっと似合う”と繰り返した。下着をつけたモデルが出てきたときは、何も言わなかった。これはなしだ。
 二人とも行儀よくふるまおうと精いっぱい努力していた。アビーにとっては、行儀よくしようと努力すること自体が新鮮な体験だった。
 ファッションショーが終わると、二人は帰ることにした。
「アレグラにさよならを言ってきたい……」
「どうぞ」
「ありがとう」マッテオはアビーの口うるさくないところが気に入った。
 彼女が気に入った。
 ホテルに戻る車の中で、マッテオはアビーに携帯電話を手渡した。ファッションショーを見ながら一緒に笑っている二人の写真がさっそくニュースにアップされていた。二人ともなんの心配事もないように見える。
“ビジネス、それともロマンス?”と見出しがつけられていた。
「まあ、いやね。どうしてそんなふうに早合点するのかしら?」アビーは嘆息した。
「心配ないよ」マッテオが肩をすくめた。
「でも、考えてほしいわ……」
「考えるだろうよ」
 車がホテルに着くと、アビーは思い悩んだ。マッテオはディナーに誘うだろうか? そうしたら受けるべきだろうか?
 だが、マッテオはいかにもマッテオらしく、オードブルもメインディッシュもデザートも飛ばした。こんなすばらしい日の締めくくりは決まっている。
「僕のホテルへ行ってもいいんだよ」
 セクシーな唇がとどめを刺すように近づいてきた。アビーを何より驚かせたのは、自分が誘いを受け入れ、目を閉じて喜びに身をゆだねたいと望んだことだった。だが、彼女はそうせずに頭をぐいと引いた。
「あなたのホテルのレストランって意味じゃなくて?」
「ああ、違う」
 マッテオにとって、セックスはそれほど単純明快なことだった。
「厳密にビジネスだけにするはずじゃなかったの?」
「両方ともうまくいくよ」
 一日じゅうくつろいだ笑みを浮かべていたアビーのグリーンの瞳は、今は冷ややかな光をたたえていた。
「レースの日に会いましょう」アビーの声は硬かった。憤りが感じられる。マッテオとしても無理強いする気はなく、体を引いた。「もちろん、まだ興味があればだけど」アビーは運転手がドアを開けてくれるのを待たずに車を降りると、ドアをたたきつけるように閉めた。
 ここへは女性を誘惑するために来たのではないと、マッテオは自分に言い聞かせた。運転手は、女性に拒否されることのめったにない客をホテルに連れて帰った。
 これまで一度も読み違えたことはない。今日、二人はドバイの太陽にも引けをとらないほどの熱気を発していたはずだ。
 だが、マッテオは車から降りて豪華な部屋へ向かいながら、これでよかったのだと思い直した。
 アビーに僕たちが出会った理由を告げなくてよかった。今はバウチャー・チームに本気で関心を抱いている。そして困ったことに、アビー自身にも本気で関心を抱いている。
 筋金入りの独身主義にとっては、実に厄介なことだ。
 さっき彼女が拒んでくれて本当によかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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