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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

絆のエンジェル

絆のエンジェル


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

彼には言えない――天国の子のこと。そして、彼の子を身ごもったこと。

7年前、キャットは赤ん坊を早産のすえに2日で亡くし、婚約者とも破局して、悲しみをかき消すように仕事一筋に生きてきた。ある日、出張先のバルセロナで同じ医師のドミニクと出会い、美しい彼に惹かれるまま情熱的な一夜を過ごす。一夜限りとわかっているけれど、もっと一緒にいたい……。けれど、何か秘密を抱えているようすの彼を信じきれず、けっきょくは後味の悪い別れを迎えたのだった。やがて思いがけぬ妊娠が発覚し、脳裏に7年前の恐怖がよみがえったが、キャットはドミニクには知らせず、一人で産む決心をする。だが産休中の代診医として現れたのは、ほかでもないドミニクだった!

■名作家キャロル・マリネッリが描く、せつないシークレットベビー物語をお贈りします。ともに、言葉では言い尽くせないほど悲しい過去を背負ったキャットとドミニク。そんなふたりがゆっくりと心を結び合わせていく、奥深くて情感豊かな愛と絆のストーリーです。

抄録

 二人は過去も未来も意識の外に追いやり、二人きりの世界で、今この瞬間を――すばらしい料理と、店内に満ちる音楽とを堪能した。
 仕事の話は少ししかしなかった。キャットは自分が救急外来でただ一人の女医なので、婦人科の患者がすべて自分にまわされると話した。ドミニクは二年前までロンドンに住んでいたことを話した。
 やがて話題は、ドミニクがエディンバラの建築物が好きで、今はスペインに夢中であることに移った。
 キャットのほうは、自宅のリフォームへの情熱や、壁紙へのこだわりについて語った。どれほど長い間、壁紙のサンプル帳を眺めても飽きず、それでいて実際に壁に貼ってみないことには仕上がりがわからないことを話した。
 たいていは、ここまで詳しくは話さない。聞き手の目が退屈のあまり曇ってくるからだ。
 今、ドミニクの目は欲望で曇っていた。
 これは間違ったことなのかしら? ギターに合わせて踊りながらキャットは考えた。
 トマスの誕生日にこんなに楽しい気分で踊っているなんて。
 でも、今夜はこれでいいと思えてきた。
 激しくかき鳴らされていたギターのリズムがゆっくりになり、ドミニクに抱き寄せられたとき、キャットの頬は罪の予感にかっと熱くなった。
 むき出しの背中をドミニクの指に優しくなでられると、天にも昇る心地だった。
「十四時間前に、こうしていたかった」ドミニクが耳元でささやいた。
「待っていてくれてよかったわ」十四時間前に誘われていたら、冷たく断っていただろう。
 音楽が終わってテーブルに戻ると、勘定書きが来て、キャットはいつものようにクレジットカードを出した。
「割り勘にしましょう」そう言うキャットに、ドミニクはカードを返してよこした。
「やめてくれ、キャット。せっかくの完璧な夜が台なしになる」
 もし彼が将来のパートナー候補だったら、キャットは自分の分は払うと言い張っていただろう。
 でもドミニクは今夜限りのパートナーだ。店を出たキャットは、温かい夜気の中で、期待と不安にぞくりと身を震わせた。
 もう夜の十一時をまわっていたが、満月で明るいビーチを二人は歩いた。
「ここから遠くないところにすばらしいビーチがいくつもある。君はビーチにも行かずに帰るのか?」
「ええ。いつか休暇を取って、必ずまた来るわ。あなたもバルセロナにはよく来るの?」
「けっこうね。ここには家族が住んでいるんだ」
「そうだったの」
 ドミニクのことがもっと知りたくてたまらなかった。なのに、あれこれ話をしたはずなのに、彼の個人的なことはほとんどわからないままだった。
 キャットにわかっているのは、二人が互いに惹かれ合っていることだけだった。
「だから、今年の学会がバルセロナで開かれると聞いて、家族の顔を見がてら参加しようと思ったんだ。やっぱり来てよかったよ」ドミニクは立ち止まり、キャットの顔をのぞき込んだ。キャットは、何を考えているのかわからないグレイの瞳を見つめ返した。「君が木曜日に来たのならよかったのに」
「どうして?」ドミニクの唇がすぐそばにあると思うだけで、頭がちゃんと働かなかった。仕事にばかり意識が集中していたせいで、すばらしい講演か、革新的な発見についての発表を聞きそびれたに違いないと思った。ところが、ドミニクの答えはもっとはるかに基本的なことだった。
「君とひと晩ではなく、三晩一緒に過ごせた」
 そう言いながらも、キャットの期待を裏切るように、ドミニクは唇を重ねてはこず、月明かりの中で、美しい悪魔のようにほほえんでいる。そして二人はまた歩きだした。
 ホテルのロビーに戻ったとき、キャットは期待で息も絶え絶えだった。フロントの前を通ると、バーからゴードンたちが談笑する声が聞こえてきた。
「バーに行きたいか?」ドミニクが尋ねた。
「ええ」
「また嘘をついた」
 キャットはほほえんだ。「そうね」
 エレベーターに乗ると、ドミニクは黙って自分のフロアのボタンを押した。
 エレベーターで昇る間、二人は身を離し、向かい合った壁にもたれて、ほかの客が乗っては降りていくのをやりすごした。
 その間じゅう、ドミニクの目はキャットから離れなかった。
 あと三フロアで到着するというところで、ようやく二人きりになったが、それでもドミニクは彼女を抱き寄せなかった。
 待つのよ。キャットは自分に言い聞かせた。
 チャイムの音とともにドアが開いた。
 キャットはドミニクのあとについて、ゆっくりと廊下を進んだ。
 ドミニクが無駄のない手の動きでカードキーを操作する。そしてドアが開いた。
 彼は何か飲もうと誘うだろうか? そんなことを考えながらキャットは部屋を見まわした。
 間取りや調度類はキャットの部屋と同じだった。ただドミニクのコロンが香り、床にスーツケースがある点だけが違っていた。
 それ以上、観察している暇はなかった。いきなりドミニクがキャットを抱き寄せて、今までお預けだったキスをしてくれたからだ。荒々しいキスは天国の味がした。ドミニクの舌が、唇が、手が、燃えさかる欲望を伝えてくる。キャットはもう何も考えられなかった。こんなキスは何年ぶり――いいえ、初めてだった。ドミニクの舌が巧みにキャットをじらし、すっかり準備の整った下腹部のこわばりが押しつけられてくる。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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