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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

愛されない妻

愛されない妻


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 カレン・ヴァン・デア・ゼー(Karen van der Zee)
 子供時代をオランダで過ごす。小説を書いて旅をするのが夢だったが、幸運にも、その夢はかなえられた。作家となり、アメリカ人の夫が開発事業に携わっているため、さまざまな国に赴く必要があるからだ。ケニアで結婚し、長女をガーナで、次女をアメリカで出産。その後二年をインドネシアで送り、息子が新たに家族に加わった。今後も世界各地に移り住む生活は続きそうだ。

解説

いつから心まで離れてしまったの?ずっとあなたのそばにいたかったのに。

父の住む異国で開かれたパーティで、ニッキーは思わぬ人物と再会した。女性たちの目を引きつけてやまないその男性とは、かつて彼女が熱い恋に落ちて結婚したものの、4年前に別れたブレイク。仕事で世界中を飛びまわる彼との生活はすれ違いの連続で、愛されていないと感じた彼女は悲痛な思いで離婚を申し出た。心の中では、“お願いだから、止めて”と叫びながら。しかし必死の祈りもむなしく、彼はあっさりと承諾したのだった。とうに葬ったはずの悲しみに襲われ、その夜、ニッキーは枕を濡らした。だが衝撃はそれにとどまらず、翌日、何者かに誘拐された彼女は、背後から囁かれる声に凍りついた――それは、冷たい元夫の声だった。

■相手を深く愛しているからこそ、自分も愛されたかった――そんな若妻の心の叫びを知ってか知らずか、決して愛の言葉を口にしなかった年上の夫。はらはらどきどきの展開の中、ときに冷たく、ときに激しく火花を散らすふたりの再会ロマンスをお楽しみください。

抄録

 ニッキーはいつの間にか寝返りを打ってブレイクの側にいて、彼の裸の体に擦り寄っていた。ごまかしようがないほど親密に。「私……あなたが起こしたのね」体を離し、ぼんやりとつぶやく。
「君が僕を起こしたのさ」ブレイクは皮肉っぽく言った。「残念だな。せっかく楽しんでいたのに」
「悪夢を見ていたんだわ」屈辱的な思いで言い返した。「あなたが私のベッドにいる悪夢を」
 ブレイクは笑った。「悪夢なのかい? 君はずいぶん情熱的にキスしたり触れたりしていたけど」
「ほかの誰かの夢を見ていたのよ」
「僕がベッドにいる悪夢を見ていたと言っただろう? 僕の頭を混乱させようとしているのかい?」
 ニッキーはシーツをぎゅっと握り締めた。「覚えてないわ。眠っていたんだから。そして、あなたに起こされたのよ」
 ブレイクは横向きになり、マットレスに片肘をついて頭を支えた。腹立たしいほど平然とニッキーを眺めている。「そうだな。謝るよ。君の……夢を途中で邪魔すべきではなかった」
「楽しんでいたのなら、どうしてそのままほうっておかなかったの?」
 ブレイクの口元に笑みが浮かんだ。「僕は動物的な本能を自制できるからね」
「前は自制したことなんてなかったじゃないの」
「その必要がなかったからだ」
「それなら今はどうして自制したの?」
 ブレイクは肩をすくめた。「事情が違うからさ」
「何が違うの? ちょっとしたフリーセックスを楽しめばよかったじゃない」口から辛辣で皮肉っぽい言葉が飛び出した。こんな言い方はしたくないのに。
「前は、夢うつつの君を抱いても、いやがらないとわかっていた。君は僕の愛する妻で、いつでもどこでも僕を求めてくれたからね」
 恥ずかしさと屈辱に、ニッキーは思わずかっとなった。「私を色情症みたいに言わないで! あなたは何週間も家を空けていたんだから、帰ってきたときにあなたを求めるのは当然でしょう」
 ブレイクは皮肉な笑みを浮かべた。「求めてくれなければ、確かにひどくがっかりしただろうね」
 からかっているんだわ。いやな人。どうしてこんなに平然としていられるの? いつもそうだった。それが耐えられないのよ。彼はいつも冷静で自信に満ちている。かっとなることもないし、腹を立てることさえめったにない。決して不平を言わない。
“不平を言うのは弱い証拠だ”と彼はいつか言っていた。“もし何かがいやだったり、受け入れられなかったりしたら、まずは行動を起こすことだ。不平を言って時間を無駄にしてはいけないよ”
 その賢明な忠告を心に刻み、妻として不平を言わないようにしようと誓ったが、それはいい結果をもたらさなかった。不幸な考え方だったのだ。
 ニッキーはベッドの端まで移動し、腰までめくれ上がったTシャツを引き下ろしながら立ち上がった。ベッド脇のデジタル時計は四時十三分を表示している。とにかくブレイクから逃げたくてバスルームに入り、グラス一杯の水を飲んだ。鏡を見ると、青白い顔の中で暗い目がぎょろりと見開いている。
 なぜあんな夢を見たの? 離婚して何年もたつのに、どうしてまだあんなふうに彼を感じてしまうの? どうにもならないとわかっているのに。私が本当に欲しいものを彼は決して与えてくれないと。
 目を閉じると、まぶたの裏が涙で熱くなり、ブレイクの顔が浮かんだ。笑みをたたえた彼の目が。彼の自制がきかなくなればよかったのに。あのまま彼に抱かれていれば、少なくとも自制がきかないのは私だけではなかったとほっとできただろうから。
 ニッキーは低くうめいた。何を考えているの?
 ドアをノックする音がした。「ニッキー?」
「あっちへ行って」ドアに鍵をかけていないことを思い出し、しゃがれ声で言った。「一人にして」
 ブレイクがドアを開けた。腰にカラフルなストライプの|腰布《サロン》を巻いている。「ベッドに戻るんだ」
 ニッキーはまばたきで涙を払った。「入ってこないで!」
「君がバスタブで眠ろうとしていないか確かめただけさ」ブレイクは軽い口調で言った。「ベッドで寝てくれ。僕は仕事をする。どのみち早起きなんだ」
 それは知っている。ニッキーは冷たい洗面台の縁をつかむ両手を見下ろしながら平静を取り戻し、顔を上げて彼を見た。「わかったわ。ありがとう」レディのような口調で言えた自分をほめたいくらいだ。
 それ以上言葉を交わすこともなく、ニッキーはベッドに戻り、ブレイクは机に向かってノートパソコンのキーを打ち始めた。感情も欲望も関係ない無機質で軽快な音が妙に耳に心地よかった。
 降り注ぐ明るい陽光でニッキーは目覚めた。まぶしさに枕に顔を埋めたが、すぐに意識がはっきりしてきて、今の状況を思い出した。目を開けると、ルームサービスのワゴンがあり、ブレイクがコーヒーをついでいた。ぐっすり眠っていて、運ばれてきたのにも気づかなかった。
 ブレイクはすでに髭を剃って服に着替え、腰にカラフルなサロンを巻いた姿ではなかった。ああ、よかった。あのたくましく日に焼けた胸を見て、あられもないことを想像してしまうのはごめんだもの。彼は砂色のチノパンと紺のポロシャツを着て、シンプルで気取りのない服装をしている。もちろん、ブレイクのような男性に気取りなど必要ない。彼の男らしさは高級な服や洗練された物腰の助けを借りなくても、もともと持っている芯の強靭さからおのずと発散されている。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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