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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

シンデレラ失格

シンデレラ失格


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 ミシェル・スマート(Michelle Smart)
 イギリス人作家。ぬいぐるみより本を抱いて寝るのが好きだったというほど、生まれながらにして本の虫だった。まだ少女のころ読んだおとぎばなしに、ロマンスの片鱗を感じていたという。「本はいつも胸をときめかせてくれます。まるで初恋のように」と語る彼女は、自分の書くロマンスが、読者の心にもそんなときめきを届けてくれることを願っている。

解説

彼が后に迎えるのは愛なき王族の娘。愛ある愛人の出る幕はない。

ヨーロッパの小国アゴンの王宮博物館の学芸員エイミーは、皇太子ヘリオスと惹かれ合い、秘密の関係を持つようになった。しかし、いずれ国王になる彼は王族から后を迎えねばならず、二人の関係は初めから彼の結婚が決まるまでと限定されていた。そんなとき、ヘリオスの后選びのための舞踏会の開催が決まった。思いがけない胸の痛みに、彼への愛を再認識したエイミーは、別れを告げられる前にみずから身を引き、アゴンを出ようとする。だがヘリオスは無情にも愛人を続けるよう迫ると、厳しく告げた。「逃げたいなら逃げればいい。僕がすぐに君を連れ戻す」

■期待の新星M・スマートが描くロイヤル・ロマンス。身分違いの愛人はシンデレラにはなれない……!?R−3207『無垢なカナリアと王子』、R−3223『カリアキスの秘密の跡継ぎ』関連作。

抄録

「僕を拒むことはできないと思ったから?」
 エイミーの頬が赤く染まると、ヘリオスは果てしない満足感を覚えた。美しく情熱的な僕のベッドのパートナーはやきもちを焼いていたのだ。
 すらりとした体、豊かなダークブロンドの髪、にじみ出る女らしさ――彫刻家なら、きっと彼女を愛と美の女神アフロディーテに重ね合わせるに違いない。ひと目見ただけで体じゅうの血がたぎる。たとえ今のように薄紫のブラウスとAラインの濃紺のスカートというセクシーとは無縁の格好をしていても。
 もっとも、今日のエイミーはどこか精彩を欠いている。ブラウンがかったグレーの瞳の下には濃い隈が見えるし、薔薇の蕾のような唇はかさかさで、顔色もいつになく青ざめている。
 それもこれも僕に会えなかったがゆえだろう。ヘリオスは歓喜に震えた。彼女は連絡を断つことで僕を懲らしめたつもりか知らないが、苦しんだのは彼女自身だったのだ。
 ドア口に置かれたあの箱を見て、僕が怒りにのまれたことを彼女が知る必要はない。
 それで思い出した……。
 ヘリオスは封筒を取り出し、彼女の前へとテーブルの上をすべらせた。踏みつぶした衝撃で香水の瓶は割れ、本はだめになったが、宝石類は無事だった。
 エイミーがいぶかしげに目を細め、おそるおそる手を伸ばして封を開けた。中身が見えると、その唇をきっと結び、封筒をテーブルに戻して立ちあがった。「いらないわ」
「君のものだ。贈ったものを返すとは、僕を侮辱している」
「あなたこそ、それを私に戻してよこすなんて、私を侮辱しているわ。これから別の女性の指に婚約指輪をはめようというのに」
 ヘリオスは立ちあがり、エイミーのもとへ向かった。エイミーが椅子に阻まれてあとずさりできないのをいいことに、彼女を腕の中に抱き寄せ、頭を自分の胸板に押しつける。ヘリオスの腕はあまりにたくましく、一方のエイミーの腕はあまりに細くて、いくらもがいても意味がないことはわかっていた。
 こうしているだけで熱が伝わる。彼女だって僕に抱かれたいのだ。
 エイミーが息を荒らげ、後ろにのけぞった。瞳の色が濃さを増し、ブラウンに変わる。そこに宿る激しい怒りがヘリオスをぞくぞくさせた。
「君がやきもちを焼くことはない。結婚しても、僕の君への気持ちは変わらない」
 エイミーの左目の下がぴくぴくと引きつった。見たこともない苦悩の表情だ。
「だとしても、私の気持ちは変わるわ」
「嘘だ。君はまだ僕を求めている」頬と頬を合わせ、耳元でささやいた。「つい三日前まで君は毎晩僕の名前を叫んでいた。僕の背中にはまだ君の爪跡が残っている」
「それはあなたが結婚すると知らなかったからよ。私はあなたの愛人にはならないわ」
「恥じることではない。歴代のアゴン王もみな愛人を囲っていた」祖父は例外だが、それは祖父が正妃と恋に落ちるという幸運にあずかったからにほかならない。
 一二〇三年から現在に至るまで、三十一代を数えるカリアキス王家の歴史の中で、正妃への愛を貫いた国王はほんのわずかだ。ヘリオスの父は国王になる前に命を落としたが、何十人という愛人がいて、妻の目もはばからずに平然と女遊びを繰り返していた。
「あなたのご先祖さまはつい何世代か前まで敵の手足を切り落としていたけど、その悪習は卒業したはずよ」
 エイミーの反論にヘリオスは声をあげて笑い、彼女の顎に指をすべらせた。化粧などしていなくても、十分に美しい。「僕たち王族の結婚は一般人の結婚とは違う。愛だの情だのは関係ない。王国の未来のための結婚だ。一種のビジネス契約と考えればいい。僕が抱きたいのは君だ。一緒にいたいのは君だ」
 母の不運の始まりは結婚する前から父を愛していたことだった。その愛が母を破滅させた。交通事故で父と一緒に命を落とすはるか前に。僕は誰にもあんな痛みを与えはしない。結婚は避けて通れないが、自分が求めるものがなんであるかは、初めから明言しておくつもりだ。カリアキス家の世継ぎを作るための結婚に感情などいらない。貞節を誓うつもりもない。義務を果たせればそれでいい。
 エイミーは長い間、ただじっとヘリオスを見つめていた。まるでそこに何かを見いだそうとするように。彼女が何を求めているのか、ヘリオスにはわからなかった。
 わずかに開いたその唇にキスをしようとしたが、触れるか触れないかのうちにエイミーがさっと身を引いた。
「私は本気よ、ヘリオス。私たちの関係はもう終わったの。私はあなたの愛人にはならないわ」かぼそい声だった。
「本当に?」
「ええ」
「だったら、どうして君はまだここにいる? なぜ君の熱い息が僕の顔にかかっている?」
 ヘリオスはエイミーの頬にそっと唇をすべらせ、ヒップをつかんで、欲望の高まりを押し当てた。彼女の口から小さなうめき声がもれた。
「ほらね」今度は敏感な耳に唇を這わせる。「君だって僕を求めているんだ。なのに、僕に罰を与えようとしている」
「違うわ。私は……」
「しーっ」ヘリオスはエイミーの唇を人さし指でふさいだ。「君もわかっているだろう。僕は今すぐにだって君を抱ける。そして、君は喜んで僕を迎え入れる」
 エイミーの瞳が熱を帯びたが、顎は反抗的に上がった。
「五秒あげよう。この部屋を出たければ、出ればいい。もし五秒たっても、まだここにいたら……」耳元でそっとささやく。「そのときには僕は君のスカートをめくりあげて、今この場で、このテーブルの上で君を抱く」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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