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宰相閣下の淫らなたくらみ

宰相閣下の淫らなたくらみ


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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解説

貴女は私のそばにいれば、いいのです
ドS宰相が与えてくれる淫らな官能と甘美な罰

駆け落ちしてしまった婚約者の代わりに、彼の兄で国の宰相も務めるリュシアンと婚約することになったクリスティーナ。「かわいい啼き声を、もっと聞かせて」屋敷に連れてこられ、夜ごと甘く蕩ける悦びをリュシアンに教え込まれるクリスティーナは、弟の不始末の責任を取ってくれているだけの彼に惹かれていく。彼には別に愛する人がいるのに……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「お父上は何か大きな誤解をしておられるようです」
 静かに、それでいて憤りを滲ませた声で、リュシアンが口を開く。
「ごめんなさい……」
 父に代わってクリスティーナが頭を下げたが、リュシアンは構わず淡々と続けた。
「誤解されているというより、分かっておられないというべきでしょうか」
「何を、ですか……?」
 おずおずと尋ねると、リュシアンはまっすぐにクリスティーナの瞳を捉え、一言ずつ区切るようにはっきりと言った。
「貴女の魅力を、です」
 刹那、クリスティーナの鼓動が大きく跳ねた。
「お父上はあのようにおっしゃいましたが、私は、人が何をどう言おうが自分がこの目で見たことしか信じません。私が見る限り、貴女は心根の優しい、魅力的な女性ですよ。レオナルトとの話が破談になったと知れば、喜んで次の婚約者になりたがる男が後を絶たないでしょうね」
「そんなこと……」
 見え透いたお世辞を言われたのが情けなくて、クリスティーナは目を伏せた。
 そんなことがあろうはずがない。
 本人が一番よく分かっている。
 あの日、舞踏会で誰からも誘われず、惨めな思いをしたのは他ならぬ自分なのだから。
「それは貴女が中庭に逃げ出してしまったからでしょう」
 リュシアンが呆れたような笑みを浮かべた。
「なぜそれを──」
 クリスティーナは、それを彼が知っていたことに驚いた。
 舞踏会でリュシアンとは一瞬だけ目が合ったが、その後の彼は他国の使者をもてなしていたり、高官たちと肩を並べて談笑していたりで、同じ広間にいてもまるで別世界にいるかのようだった。そんなリュシアンからすれば、平凡な貴族の娘のクリスティーナなど視界にも入っていないと思っていた。
「貴女をダンスに誘いたがっている者はホールに溢れかえっていましたのに。貴女が庭に出てしまい、皆残念そうでしたよ。──そういう控えめで純粋なところも、大きな魅力なのですがね」
「もう、やめてください……」
 クリスティーナは虫の鳴くような声を絞り出す。
 あの日の情けない姿をすべて見られていたのだろうかと思うと恥ずかしくてたまらない。
 慰みごとを言われても、今は余計に惨めになるだけだ。
「なぜです。本当のことを言っているだけなのに」
 リュシアンは不思議そうに首をかしげると、その長くてしなやかな指で、俯いたクリスティーナの顎を掬う。
「だって──」
 クリスティーナは唇を噛み締めると、キッとリュシアンを睨みあげる。
「本当にそのようにお思いなら、レオナルト様に逃げられたことをお父様もあそこまで罵倒しないはずです。もう二度と私には縁談が来ないと知っているから、お父様も焦ったのではないでしょうか」
 あの日、舞踏会でレオナルトから目をそらされ、他の貴族から陰口を叩かれたことを思い出すと、クリスティーナの翡翠色の瞳が見る間に滲み、目の縁が涙で盛り上がる。
「もし本当にこんな私にもすぐに他のお相手が見つかるというのなら、何もリュシアン様が無理して婚約してくださらなくても、私、他の方のもとへ──っ!?」
 言い終わらぬうちに、クリスティーナは瞳を大きく見開いた。
 眼前には紺碧の双眸が挑むようにクリスティーナを見ている。
 瞬きをすると長いまつげが今にもリュシアンの鼻梁をかすめそうで、その距離の尋常でない近さにクリスティーナは戸惑ってしまう。
 ゆっくりと、唇を塞いでいた温もりが離れていく。
「な、な、な──っ」
 言葉が出ないほどに驚き、口をパクパクさせた。
「失礼。貴女があまりにもくだらないことを言うものですから、聞きたくなくてつい」
 そう言ってリュシアンは不快そうに眉をひそめた。
 くだらないとはどのことを指しているのか。
 それが今の行為とどのような関係があるのか。
 聞きたいことはいくつもあるが、言葉にならない。
「私が貴女を、他の男に渡すとお思いですか?」
「えっ──それはどういうこ──ん、んんっ……」
 再び、唇が重ねられた。
 咄嗟に身を引きかけたクリスティーナだが、そうさせまいとリュシアンはクリスティーナの後頭部に手を回し、より深く口付ける。
 しっとりと柔らかな唇で、撫でるように優しく何度も啄まれた。
「ん──ぅ……」
 クリスティーナが口を開いて声をあげたその隙に、唇を割って舌が侵入してくる。ヴェルヴェットのような舌はゆっくりと唇の裏をなぞり、口腔を丹念に舐め回した。
「──んっ、ふぅ、んっぁ……」
 甘い感覚が背筋を駆け上がり、クリスティーナの身体から力が抜けた。
 くたりと身体がかしぎそうになると、リュシアンはクリスティーナの細い腰に手を回してしっかりと支え、なお口づけを深める。
 口腔を執拗に舐めとられ、舌を絡められ、クリスティーナは頭の中に白い靄がかかったように何も考えられなくなる。
 リュシアンは角度を変えて何度も口づけを繰り返した。
 ちゅっと唇が音をたてて離れ、クリスティーナはとろんとした瞳でリュシアンを見あげる。しばらく言葉もなく見つめ合うと、リュシアンは思いつめた表情でまた唇を合わせた。

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