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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

靴のないシンデレラ

靴のないシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

純潔を捧げた億万長者に、結婚の条件を突きつけられて……。

「助けて!雇い主に私たちの赤ちゃんを奪われそうなの!」大聖堂に駆け込んだスカーレットは2000人の列席者の背後から叫んだ。祭壇に立つ花婿はイタリア出身の辣腕経営者ヴィン・ボルジア――8カ月前、バーで出会った彼の魅力に抗う術もなく純潔を捧げた翌朝、彼の身分を知ったスカーレットは名前も告げずに姿を消したのだった。突然の珍客に驚きながらもヴィンは彼女を追ってきた雇い主を追い払い、政略結婚を取りやめて、スカーレットに父親鑑定と婚前契約を要求した。屈辱的でがんじがらめの条件のもとに、愛なき結婚をするなんて……。傲慢でセクシーな黒い瞳に見据えられ、彼女の心は千々に乱れた。

■ハーレクイン・ロマンスで1番人気の作家ジェニー・ルーカスならではの、セクシーでゴージャスなラブストーリー。愛を恐れる謎めいたラテンヒーローのドラマチックな遠回り愛をご堪能ください!

抄録

「私に信じろと言うのね……いつかあなたが私を愛するようになるかもしれない、と?」彼女は無情な笑い声をあげた。「その手は食わないわ。私をそんな間抜けだと?」
「チャンスがほしい。僕たちの関係がどう発展するか見定める機会がほしい」
「どうやって?」
 ヴィンは必死に考え、そして気づいた。
 彼は鋭い目で彼女を射抜いた。「婚前契約書を交わさずに、君と結婚する」
「えっ?」彼女は息を吐き出し、信じられないとばかりに首を横に振った。「あなたが言ったように、財産の半分を失うリスクが発生するわ! 誓いを交わした瞬間から!」
 ヴィンは慎重に彼女を観察したあと、その青ざめた愛らしい顔に、相反する感情が浮かんでいることに気づいた。「リスクを冒すだけの価値があるかもしれない」
 そうとも。リスクを取って、彼女をすぐさま僕に夢中にさせられるか賭けるのだ。惚れてさえしまえば、彼女は僕の言いなりになる。そして、結婚証明書のインクが乾く前に、婚前契約書と同内容の婚姻契約書に喜んでサインをするだろう。そうなれば、リスクなどないも同然だ。
 面白いことになりそうだ。ヴィンの心は奇妙にも沸き立ってきた。
「どう?」優しく言って彼は近づいた。「もし、僕が君との賭けに出たら、君も一か八か僕に賭けてみるかい?」
 目を上げて彼の瞳をのぞきこんだとき、彼女は震えているように見えた。その表情は頼りなげで当惑気味だ。「でもなぜ? どうして結婚にそれほどこだわるの?」
 ヴィンは答えたくなかった。だが、彼が今新たに演じている男は、大っぴらに愛をささやける隙だらけの男だ。そこで彼は、少なくともある部分は正直でいようと努めた。「僕は父親なしで育つ状況がどういうものか知っている。僕の息子には、僕よりましな子供時代を送らせたい。息子は自分の両親が誰なのか知っているべきだ」
 彼女は戸惑っているように見えた。
「子供に知らせないわけはないでしょう?」
 ヴィンは話題を変えた。「家族は、同じ名字を名乗り、同じ家に住むことから始まる。僕たちの子供はそれで安心感や愛されていることを感じるだろう。自分がどこに属しているかわかることは重要だ」ヴィンは彼女を見た。「結婚してくれ、スカーレット。今すぐに」
 彼女が唇を噛んだ。震えているのは一目瞭然だ。彼はもうひと押しした。
「プライベートジェットを待機させている。ラスベガスに――」
「いやよ!」突然の激しい口調に、彼は驚いた。スカーレットは唇をなめた。「ほら、ドクター・シャウスは産気づく可能性もあるとおっしゃっていたし――」
「今のところ、その兆候はないとも言っていた」彼は彼女の青ざめた顔を見てなだめるように言った。「場合によっては、ドクターに同行してもらってもいい」
「諦めて」彼女は喉をごくりとさせた。「どんな飛行機にも乗るつもりはないわ」
「なぜ?」
 スカーレットのまつげに涙がにじんだ。「父は飛行機事故で亡くなったし……二週間前に私が乗った飛行機は、墜落しそうになったの」ヴィンは思い出した。ロンドン行きの便がアイルランドに緊急着陸したと、どこかで読んだ記憶がある。「自分の直観を無視して死ぬところだった! 二度と飛行機には乗りたくない――絶対に!」
「でも、スカーレット」彼は穏やかに言った。「平均して、毎日十万便も飛行機は飛んでいる。そのほとんどが、何事もなく離陸して着陸する。統計的に――」
「やめて! 統計を引き合いに出すのは!」
 彼女の声は、ヒステリックに近かった。無理強いすれば、ようやく作り上げたかすかな信頼の絆さえ失いかねない。ヴィンはそんな気がした。そこで、策略を変えた。「僕は航空会社を所有し、自分専用のプライベートジェットを二機持っている。だから、君の安全は僕が全面的に保証する」
 スカーレットは涙まじりの笑い声をあげた。「では、私はもう二度と飛行機には乗らないと全面的に保証するわ!」
 ヴィンは彼女を説得する方法を考えようとした。だが、美しい瞳に浮かぶ苦悩の色や、頬を流れ落ちる涙を見るうちに、突然、言い争うのがいやになった。
 彼は何も言わずに、スカーレットを抱き寄せた。彼女は抵抗したが、そのまま自分のコートにくるみ、その髪や背中を撫でてやった。そして、彼女がすすり泣きをやめて震えなくなるまで、優しい言葉をかけた。
「わかった。飛行機に乗らなくてもいいよ。君のいやがることは決してしない。君の面倒は僕が見るよ、スカーレット。ずっと」
 彼の黒いロングコートにくるまれ、白いシャツに顔をうずめていたスカーレットは、頭を上げて切れ切れに息を吐き出した。日光に照らされた彼女はとても美しかった。涙で潤んだ瞳はエメラルドのように輝いている。
 彼女がひどく傷つきやすそうに見える今こそ、彼がもうひと押しするべき瞬間だった。
 だが、ヴィンは胸の奥に痛みを覚えた。そのため彼はスカーレットの弱みにつけこむ代わりに、ニューヨークの大聖堂で再会して以来ずっとしたかったことを実行に移した。
 両手で彼女の頬を挟むと、ゆっくり顔を近づけて、その唇にキスをしたのだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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