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始まりは愛人【ハーレクインSP文庫版】

始まりは愛人【ハーレクインSP文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクインSP文庫
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ヘレン・ビアンチン(Helen Bianchin)
 ニュージーランド生まれ。想像力が豊かで、読書を愛する子供だった。十代の初めのころに初めて物語を書く。学校を卒業して、法律事務所で秘書をしたのち、二十一歳のときに友人とともにワーキングホリデー制度を使ってオーストラリアにわたる。メルボルンで数カ月働き、北クイーンズランドのたばこ農園を手伝っていたときにイタリア人男性と知り合い結婚した。その後三人の子供に恵まれ、子供たちや友人にたばこ農園の話を聞かせているうちに小説を書くことを思いついたという。イタリア人男性をヒーローにした最初の小説は、一年をかけて完成され、その後イギリスのハーレクイン社から出版された。もっとも尊敬する作家はノーラ・ロバーツと語るが、プライベートな時間に“座り心地のいい椅子に丸くなって”する読書は、ミステリーからロマンスまで幅広い。これまでに訪れたいちばんロマンティックな場所はハワイのホノルルだという。

解説

高校教師のミケイラは横領の罪で訴えられている父にかわり、大実業家ラファエル・アグイレラに返済をつづけている。生死の境をさまよう妻を救いたいと思うあまり罪を犯した父――自らも病を患い余命わずかな今、せめて尊厳は守ってあげたい。その一心で彼女は週末も休まず夜を日に継いで働いたが、返さなければならない金額は莫大で、もはや限界だった。わたしにはもう、たったひとつの道しか残されていない……。覚悟をきめたミケイラは震える足でラファエルのもとへ向かった。いけにえとして愛人になり、すべてを白紙に戻してもらうために。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のカバー替え版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「教職を選んだ理由を聞かせてくれ」身を乗りだし、グラスをとってワインを飲む。
「人に影響を与えることがしたかったのよ」ミケイラは彼の官能的な唇に見とれた。彼女の唇に触れたときの感触を思い出し、思わずワイングラスに手を伸ばす。
「で、うまくいってるのかい?」
 ミケイラはまっすぐに彼を見つめた。「そう願いたいわ。努力してるもの」
 ラファエルはグラスをゆっくりまわしてひと口飲んだ。「学校は自分で選んだの、それとも向こうのほうが?」
「席がひとつあいていたのよ」ミケイラは軽く肩をすくめた。「わたしは幸運だった」
「志願者はどれくらい?」
「ほんの数人」評判の悪い学校で教えたがる者はほとんどいない。
「品行の悪い子供たちに教えるのを楽しんでる?」
「本当に関心があるの、それとも世間話をしているだけ?」
「どっちでもいいだろう」ラファエルはワインを飲みほし、ナプキンをたたんだ。その手がどんなふうに肌を愛撫し、感じやすい場所を探しあて、官能を呼び覚ましたか、ミケイラはまざまざと思い出した。
 今夜のことを思うと胃がひっくり返り、体の奥がわきたってくる。じっとしていられないほど全身を熱いものが駆けめぐる。
「テーブルを片づけるわ」行動に移そうと彼女はワインを飲みほし、立ちあがった。ラファエルもキッチンについてきた。
 グリルを洗い、食器をすすいで皿洗い機に並べ、長年の習慣で流しを磨くまで、大して時間はかからなかった。
「この家のことを知っておいたほうがいいな」ラファエルは彼女を玄関ホールへうながした。「正式な応接間とダイニングルーム、居間にキッチン、そして玄関のこちら側に洗濯室がある。向こう側は書斎を兼ねた図書室にコンピュータ室とゲーム室、それから車庫だ」
 どこも広々として、すばらしい調度品で飾られていた。大理石模様のタイルと東洋の大きな絨毯が快適な空間をつくりだし、ブラインドが日差しをやわらげている。大胆な色使いは壁紙のプリントや絵画だけだ。
「地階にはジムと倉庫がある」
 下にも部屋があるの? そういえば建物は斜面に立っていた。
 ミケイラは上の階も全部見てまわった。寝室が六つあり、それぞれにバスルームと居間がついている。
 ひとりで住むには広すぎる家だ。
「掃除と庭の手入れのために人を雇っている」
「あなたが週末に掃除や芝刈りや庭いじりをする姿なんて想像できないわね」ミケイラは冗談まじりに言った。
「ぼくの柄じゃない?」
 階段を下りていたミケイラの足が止まった。「たぶん」
 ラファエルは片方の眉をぴくりとさせ、階段を下りつづけた。
「あなたには見た目では判断できないところがあるわ」ミケイラは考え深げに言い、彼のあとから一階に下りた。
「ぼくは仮面をいくつもかぶってる?」
 そう、彼には、数少ない選ばれた人間にも必要な仮面しか見せない強い警戒心がある。
 あら、いったいラファエルのなにを知っているというの? ほとんど知らないくせに。彼の成功話なら世間に知られているし、彼はいかにも自然に富という衣装を身にまとっている。けれど、ずっとそうだったのだろうか?
 仮面の下には原始的ななにかが隠されている気がしてならない。肉体の強靱さ以上のもの、本物の力が。でも、彼女を当惑させる冷徹さもひそんでいる。肌に震えが走った。彼はすばらしい味方になってくれる反面、手ごわい敵にもなるのだと本能が告げていた。
「明日の九時半に抜糸の予約を入れておいた」居間に入っていきながらラファエルが言った。彼はテレビをつけ、DVDのコレクションを見せた。「見たいものがあったら選んでくれ」
 ミケイラはキャビネットに歩み寄り、DVDの題名を目で追った。「自分で病院に行けるわ」
「その話は終わったはずだ」
 ミケイラは彼に向き直った。「だったら、また始めてもいいでしょう」
「ぼくの外科医ならせいぜい五分で手当てがすむというのに、公立病院の待合室で二時間待つのか」
 確かに反論するのは利口ではない。父親の見舞いがあるし、サミーのところへも行かなくてはならない。おまけにラファエルの言っていた買い物もある。
 ミケイラはディスクを選び、DVDデッキのそばに立っているラファエルに渡した。「わかったわ」
 彼は題名を見てからデッキに挿入した。「とりあえずは降伏ということだね?」
「ええ」ミケイラは座り心地のいいひとり掛けの椅子に身を沈めた。スニーカーを脱ぎ、椅子の上で品よく脚を折り曲げる。
 予告編に続いて本編が始まった。映画は水質汚染による被害をこうむった住民のために、社会や司法制度と闘って多額の和解金を勝ちとった勇敢な女性についての、事実にもとづいた物語だった。
 この前映画を見たのはいつだったかしら。そういえば一年近く見ていない。
 俳優の演技がすぐれている映画だった。ミケイラは一時間あまり集中していたが、しだいにまぶたが重くなり、睡魔と闘うのに苦労した。
 心身ともに疲労の極みにあったようだ。いつのまにか頭が椅子の背もたれにのっていた。
 ラファエルは画面から注意をそらし、彼女のほっそりした体を見守った。いや、もろそうなのは見かけだけだ。ゆうべはあんなに……。
 ミケイラのしなやかな体に侵入したときの感触を思い出したせいで、彼自身が熱くなってきた。彼女が初めてだったことを知ったときのショック。そのあと彼女の苦痛をやわらげ、めくるめく陶酔へといざない、彼自身もかつて味わったことのない快感を得た。
 ラファエルはDVDを最後まで流してからテレビを消し、ミケイラを抱きあげた。明かりを消し、警報装置をつけて寝室に上がる。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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