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密使【MIRA文庫版】

密使【MIRA文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エリカ・スピンドラー(Erica Spindler)
 ルイジアナ州ニューオーリンズ在住。美術の修士号を取り、ビジュアル・アーツの世界で活躍したのちに、1988年作家デビュー。アーティストの感性を生かしたみずみずしい描写と、ドラマティックなストーリーで、人気作家の地位を確立した。1995年に刊行した『レッド』はベストセラーとなり、日本ではコミック化、テレビドラマ化もされた。近年はサスペンス色の強い作品を積極的に著している。

解説

その死は怒れる“天使”の涙か、それとも――天性の作家エリカ・スピンドラーの名作、ここに復刻!

小さな町の警察官メラニー。といっても普段はご近所トラブルや駐車違反に対処する程度で、町で初めて殺人事件が起きたときも現場で嘔吐し、居合わせたFBI捜査官コナーに馬鹿にされる始末だ。そんなある日、メラニーは最近起きたいくつかの“死亡事故”の共通点に気がつく。被害者は皆、妻や恋人を虐待する暴力男だったのだ。これは過失や事故じゃない――神さま気取りの殺人犯は“闇の天使”と名づけられ、メラニーはコナーとタッグを組んで捜査に乗り出す。やがて思いもよらぬ衝撃の事実が明らかに……。怒濤のロマサス傑作!
*本書は、MIRA文庫から既に配信されている作品のカバー替え版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 彼がチャイムを鳴らす前に、ドアが開いた。十時過ぎだというのに、メラニーはシャワーを浴びて着替えたばかりのように見えた。はき古したジーンズに無地の白いTシャツ。髪は濡れているし、靴も履いていない。その姿は四歳の子供を持つママさん警官というより女子学生のようだった。
「コナー」彼女は明らかに驚いた様子だった。「いったいどうしたの?」
「やあ」コナーは片足からもう一方の足に重心を移した。三十八歳の大人の男から頼りない十代の少年に戻った気分だ。「ボビーから君はうちだと聞いたもんだから。迷惑だったかな?」
「大丈夫。ケイシーも今は眠っているし」メラニーは微笑した。「用件は何?」
 コナーには容疑者と渡り合ってもびくともしない自信があった。しかし、メラニーを前にすると、その自信は跡形もなく崩れ去った。彼は視線を泳がせ、咳払いをした。「今朝、アッシュヴィル市警とコロンビア市警からファックスが届いた。両方とも、闇の天使に殺された可能性がある男の情報だ。それで、君の意見を聞きたいと思って」
「いいわよ」メラニーは彼が入れるように後ずさり、恥ずかしそうな表情で唇に指を当てた。「ただし、声は小さめにね。ケイシーは眠りが浅いタイプなの」そう言うと、彼女はついてくるように身振りで示した。
 日当たりのいい小さなキッチンに入ると、彼女はドアを閉めた。
「座って。今、コーヒーをいれるから」
「いや、いい」コナーはスツールに腰かけ、目の前のカウンターに封筒を置いた。「気を遣わないでくれ」
「いいのよ、ついでだから。昨夜はほとんど寝られなくて。今朝、残り物のコーヒーを飲んだんだけど」メラニーは顔をしかめた。「温め直したコーヒーって最低よね」
「そうだな。じゃあ、ご馳走になるよ」
 メラニーは前日の残りを流しに捨て、容器に新しい水を注いだ。「ボビーのとこの子供たちはどんなに騒々しくても寝てられるんですって。でも、うちの子はだめ。赤ん坊の頃、私が音をたてないように気を遣いすぎたせいかしら。あの子がよく眠れるようにという親心だったんだけど、結果的には、よほど静かでないと眠れない癖をつけてしまったみたい」彼女は肩をすくめた。「ほんと、子育てって大変」
 コナーは拳に顎をのせ、彼女の軽やかな動きを目で追った。「ケイシーの具合は? 病気だって聞いたけど」
「中耳炎よ」メラニーはコーヒーメーカーのスイッチを入れた。「赤ん坊の頃からの持病なの。そろそろ卒業したかと思っていたんだけど……」
 彼女の言葉は途中で切れた。しかし、コナーにはその先がわかった。メラニーがポットに顔を近づけ、コーヒーの香りを胸いっぱいに吸い込む。彼はその仕草に自然なセクシーさを感じた。実のところ、彼にとってはメラニーのすべてがセクシーだった。
「それで、どんな感じ?」
 コナーは目をしばたたいた。「なんだって?」
「今朝届いた情報のことよ」
「ああ……そのこと」彼は封筒を開け、ファクシミリの用紙を取り出した。そこには迷宮入りした二つの死亡事件に関する情報が要約されていた。「さっきも言ったが、この二件はそれぞれ別の警察本部から届いたものだ。どっちも死因が疑問視されながら、確かな証拠がないために、殺人事件として捜査を続けることができなかった。俺たちの天使の手口にぴったり合致してるとは言えないが、どっちの男にも配偶者を虐待した過去があった。それで君の意見を聞きたいと思ったわけだ」
 コーヒーメーカーが咳き込むような音をたて、最後の数滴をフィルターから吐き出した。できあがったコーヒーをメラニーは二つのマグカップに注いだ。クリームと砂糖の好みを尋ねてから、カップを彼のほうへ滑らせた。「亡くなった男たちのことを聞かせて」
「一人目はバイク・マニアで、山道を走っていたところを弾き出されて墜落死した。目撃者はいなかった」
「どうして弾き出されたとわかるの?」
「タイヤの跡で。バイクの残骸にも不自然な損傷があった」
「かなり危険な賭ね。誰が見ているかわからないのに。でも、それだったら明らかに殺人事件じゃないの?」
「殺意があったとは限らない。山道ってのは幅が狭いだろう。後続車が追い越そうとして接触したとも考えられる。当時は雨が降ってて、スリップしやすい状態だったし」メラニーはカウンターを回り込み、コナーの肩ごしに報告書をのぞき込んだ。彼女の髪がコナーの頬をかすめた。シルクのような感触。フルーティなシャンプーの匂い。この髪をとらえて、指を絡ませてみたい。コナーは衝動を抑え、なんとか会話に集中しようとした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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