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黄金の鳥籠、二本の鍵

黄金の鳥籠、二本の鍵


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

お前のためなら俺たちは世界だってひっくり返してやる
義兄弟の執愛に囚われた、無垢な乙女

蔑まれながら育った王女セリアは、7年振りに再会した義兄セドによって執拗に快楽を教え込まれるが、なぜか自分を嫌っていたはずの義弟アリルにも激しく求められ、抗えない。交互に、時には二人同時に愛され、身も心も甘く乱される。セリアが淫らに花開く陰で王位をかけた義兄弟の争いは苛烈していた。二人に愛され、セリアが選んだ結論は……?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 そう、セドが去ってしまったあの時から全てが変わってしまったのだ。その時からセリアは独りぼっちになり、誰にも相手にされず、城に居候するただの娘になってしまったのだ。貴族も、アリルも、皆彼女を無視した。
 だが、お義兄様が帰ってきたのだから、もう誰も自分を無視しなくなる。お義兄様が黙っているはずがないのだから。
「大人になったな」
 セドが親指で彼女の頬をなぞり、いつの間にか濡れていた目元をそっと拭った。彼女は手を伸ばし彼の頬の傷痕に触れた。
「なぜ……」
「大したことない。剣術の練習中に怪我したんだ」
 セドがセリアの手をとって下ろした。なぜか距離を置かれたような気がして、寂しくなったセリアはうつむいた。次の瞬間、彼が彼女の体をおもちゃのようにくるりと反対に向けると、幼い頃のように背を自分の胸に引き寄せ抱きすくめた。彼の胸に頭をもたせかけ、セリアは思わず満面の笑みを浮かべた。
 アリルはまだ扉の前に立っていた。彼は妙な表情を浮かべていた。セドは手をセリアの肩から腕にかけて優しく滑らせ、また上へと撫で上げた。
「アリルは外してくれ。俺はセリアと話がある。お前たちも皆下がっていい」
 下がってもいいと言ったが、実際は下がれという命令である。王太子の言葉は絶対だった。衛兵と侍従、侍女が次々と外に出て行く中、なぜかアリルはその場に佇んで、顔を紅潮させ青い目を光らせていた。
「二人っきりで話を? 同じ兄弟なのに僕は抜きで?」
「お前とは後で話すさ。順番に」
 セドが落ち着きながらも威厳のある声で言った。アリルの顎の筋肉がぴくりと動く。
 彼がセドに競争心を感じるのも当然のことだった。王国に二人しかいない男の継承者、しかもターシャ王妃は数年前に他界し、現王妃であるアリルの母ロオナが城を牛耳っている状況だからだ。いくらセドが賢く聡明なうえ、長男という確固たる地位を占めているとはいえ、貴族の心というものは手のひらを返すように変わりやすい。そのうえ、アリルとセドは歳もさほど離れていないため、どちらが権力を手にするかはまだわからなかった。
 しかしセリアは、お義兄様であると信じていた。誰がなんと言おうと、お義兄様が次の王になられるだろう。彼女はアリルに向かってべーっと舌を出して見せた。
 アリルの目が光り、拳を握り締めて震えているのが見えた。しばらくは近づかないほうがよさそうだと思いながら、セリアはアリルがやっと扉のほうを向いて出て行く姿を見ると、ほっと安堵の息を漏らした。
 二人きりになると、セドが椅子を引いて座った。しかし、セリアを離す代わりに彼女の小さな体を自分の膝の上に座らせた。彼の太ももの横に両足を下ろし、セリアは彼を見つめながら恥ずかしそうに笑った。
「お義兄様が帰ってきてすごく嬉しいです。本当に」
「俺も戻ってこれて嬉しいよ」
 セドが彼女の頬を再び撫でた。セリアは彼の方に体をひねりながら言った。
「も、もうあんなに長くどこかへ行ったりはしないんでしょう? ねえ?」
 彼がいなくなると、この城でセリアはまた一人ぼっちだ。王はターシャ王妃が他界した後、彼女にはこれっぽっちも関心を持たず、現王妃ロオナは彼女を忌々しいといわんばかりに監視した。嫌な日々だった。怖くて、寂しくて、恐ろしかった。お義兄様が帰ってきたのだから、もうそんなことはないわよね? お義兄様がきっと守ってくれる。
「今まで大変だったのか? 何か悪いことをされたんじゃないだろうな?」
 セリアの目に急に涙が溢れた。王妃の権勢を盾に、アリルが彼女をどれほど追い詰めたか、お義兄様にいちいち説明できないくらいだった。お義兄様もそのような愚痴など聞きたくないだろう。でも、悔しくて腹立たしかった。ロオナ王妃が、彼女を養女として引き取り可愛がってくれたターシャ王妃に対し、生前不貞を働き産んだセリアを姪と偽って引き取っただの、母子ともに卑しい血が流れているだのという噂を広めただけでも憤りを感じるのに、アリルまでもが彼女が通るたびに辱めるような言葉を口にした。
 セドは全てわかっているといわんばかりに、顔を近づけセリアの額に自分の額をくっつけた。
「もう俺が帰ってきたから大丈夫。お前は俺が守る。セリア、お前は俺のものだから」
 安堵と幸せが混じったため息が漏れる。セリアは目を閉じて彼の温もりを感じていた。
 セドの手がうなじへ滑ると首と肩を撫でた。柔らかい唇と少しチクチクする顎が彼女の頬に擦れたかと思うと、唇と唇が触れた。セリアは唇を開いてお義兄様の舌が入ってくるのを待った。
 そう、この感じだった。昔からお義兄様がこうやってキスしてくれると、温かくて痺れるようで幸せだった。彼女が知っている唯一の母ターシャ王妃の他界後、怖くて心細くなるたびにお義兄様が彼女の部屋に忍び込み、抱きしめてはこうやって慰めてくれた。
 もちろん、あの時とは違うこともあった。昔はセドも彼女と同じようにも顎も柔らかかった。だが今は、髭のせいか少しチクチクしている。頬と口元を引っ掻くような感触がくすぐったくて、ドレスの中で体がびくりと震えた。胸が妙に膨らむような感じもした。

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形式

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