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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

秘密は罪、沈黙は愛

秘密は罪、沈黙は愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジョージー・メトカーフ(Josie Metcalfe)
 大家族のなかで育ち、子供のころから本が友だちだった。書くほうに回った現在も同様で、物語の終わりにさよならを言いたくなくなるという。コーンウォールで“我慢強い”夫とともに暮らしている。四人の子供がいる。

解説

この胸の奥にしまったはずの、秘密が、愛が、いま溢れ出す……。

フェイスは恋人クインと医学を志し、卒業後は結婚しようと誓っていた。だが大学進学を前に、彼女は理由も告げず、突然彼の前から姿を消した。あれから17年。亡き母の葬儀で帰郷したフェイスは、医師となって母の最期を看取ってくれたクインと再会を果たす。「フェイス?」以前より深みが増した彼の声を聞いた瞬間、なつかしさと、やるせない悲しみの涙が、彼女の頬を伝った。ああ、彼への想いは、あの頃と少しも変わっていない。でも……。一方、クインは彼女に寄り添っている若者に敵意を向けた。不穏な空気を察したフェイスは、いとまを告げてその場を後にした――付き添いの青年の、17年前のクインとよく似た声に促されながら。

■遠い昔、ヒロインが最愛のヒーローの人生から忽然といなくなった理由はいったい……? 秘密と真実が明かされる瞬間、涙が止まらなくなる“愛のドラマ”をお贈りします。編集者も太鼓判を押す、読まないともったいないほどの逸作です!

抄録

「フェイス、なぜなんだ?」問いかける声は寂しく空虚な静寂にのまれた。「まさか君が若い愛人に慰めを求めるようになるなんて夢にも思わなかった」彼は鼻を鳴らし、自分を嘲った。「本当は、自分が年を取ったと感じたんだろう、クイン? フェイスは二十歳にもならない若者と腕を組んでもお似合いに見えた。それに引き替え、おまえが最後に誰かと腕を組んだのはいったいいつだ? 今朝、八十七歳のミセス・コブルディックを椅子から立ち上がらせるときに腕を取ったのは数に入らないぞ」
 そう、確かに僕はひどく嫉妬していた。だがわざと彼女を泣かせるようなまねはしたことがないし、よりによって今日、するわけがない。今さらこんなことを言っても仕方がないけれど。たとえ謝罪の言葉を思いついても伝えるすべが……いや、待てよ。
 少しの間、彼は闇の中で記憶を探った。今しようとしていることはとんでもない愚行だ。考えているうちに脈が速まったが、それでも寝返りを打ってベッドサイドの明かりをつけ、電話に手を伸ばした。
 記憶を探るまでもなかった。昔と同じように、なぜかすらすらと番号を押せた。あとは無事つながるか、十七年の間に番号が変わったか、結果を待つだけだ。
「もしもし?」
 眠そうにかすれた彼女の声が聞こえたとたん、クインの息はとまりかけ、ホルモンが暴走しだした。寝起きのフェイスの声は誰よりもセクシーなのだ。しかし今の彼女はゆっくり休む必要がある。せっかくの眠りをさまたげてしまったのでは、とたちまち後悔が押し寄せた。「起こしてしまったかな?」
「クイン? あなたなの?」信じられないという口調だ。すっかり目が覚めたらしく、もうセクシーなかすれ声ではない。
「もう眠っていたかい? 起こしてしまったのなら申し訳ない」すぐに自分の声だとわかってもらえたうれしさを抑え、彼は重ねて尋ねた。
「電話で起こしたのは初めてじゃないでしょう」彼女はぼやいたが、意外にも、昔よく聞いた笑いを含んだ声だった。「どうしてこの番号がわかったの? 電話帳には載せていないのに」
「十七年前には載っていたよ」
 言ってから気づいた。今の言葉は、彼女の電話番号を十七年間覚えていたと告げたも同然だ。まったく、なんて哀れな情けない男なんだ! 電話をしたのは、どう考えてもまずかった。頭がまともに働かない今、さらに何を口走るかわかったものではない。それでもすぐに電話を切る気にはなれなかった。
 フェイスは何を考えているのだろう? いたたまれないほど長い沈黙が続いたあと、ようやく彼女が口を開いた。
「それで……なぜなの?」
「なぜって何が?」クインは話の道筋を見失っていた。もう何を話すつもりだったかもわからない。
「なぜ私を起こしたの?」
「わざと起こしたわけじゃないんだ。呼吸困難の赤ん坊を診察して帰ってきたところで、こんなに遅い時間とは思わずに、つい電話してしまって。ああ、赤ん坊は細気管支炎だった」きかれる前にクインはつけ加えた。「そのほうがよければ切るよ」
「切っちゃだめ!」すかさずフェイスが言った。「赤ちゃんの容態とか、あなたが電話してきた理由とか、いろいろ気になってもう眠れないに決まってるもの。今すぐ教えてくれなきゃだめよ」
 彼は低く笑った。「変わってないな。君は絶対に隠し事ができなかったし、隠し事をされるのも嫌いだった。覚えているかい? 何を買ったか言いたくなるからって、人にあげるプレゼントをいつもぎりぎりまで買わないでいたよね」
「昔の話だわ」ひどく悲しげな声で彼女はそっと言った。「誰でも変わらずにはいられないものよ」
 その言葉をきっかけにクインは知りたかったことをきこうとしたが、その前にフェイスが続けた。
「たとえば、あなたも変わったわ。腫瘍の専門医になるものと思っていたのに。家庭医になるなんて一度も言わなかったでしょう」
「でもどっちを選んだのも同じ理由だよ。母が癌で亡くなったからだ」
 フェイスがはっと息をのむ音を聞いて、クインは驚いた。どうやら彼女に話していなかったらしい。弱っていく母がじわじわと死に近づくのを見守った日々は、彼の人生に暗い影を落とす心の傷となった。実際、人に話せるようになるまで何年もかかった。だが、フェイスにはなんでも話したと思っていた。二人で過ごしたあの数カ月間は、過去も将来の夢もすべてを分かち合ったと。
「母が病気になるずっと前から、医者になりたいとは思っていたよ」父の恨みがましい愚痴にはあえて触れずに話し始めた。「君の言ったとおり、一時期は腫瘍の専門医か、癌の研究者を目指していた。理想主義のティーンエイジャーらしいお決まりの反応で、ほかの子どもたちが僕みたいに母親を失うのを防ぎたいという理由でね。でも、自分が医学のどの分野にいちばん惹かれるか真剣に考える時機が来たときには、僕も多少は理性的に考えられるようになっていた。それで、もし母のかかりつけの家庭医が時間に追われて診断ミスを犯さなければ、癌を克服できたかもしれないと気づいたんだ」
 今ならわかる。家庭医は、母をすぐに専門医のいる病院へ行かせるべきだった。今の自分が患者にしているように。ところが母はおざなりな処置でごまかされた。軽度の感染症と誤診され、次々にさまざまな抗生剤を処方されたのだ。忙しい家庭医にとって、それが深く考えずにすむ手っ取り早くて簡単な対処法だったから。
「お気の毒に」フェイスはささやいた。「こんな言葉ではとても足りないけれど、本当に残念だわ」

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