マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクション恋愛小説ティーンズラブ小説

蜜月後宮〜皇太子は偽り公主を寵愛する〜

蜜月後宮〜皇太子は偽り公主を寵愛する〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫蜜月後宮〜皇太子は偽り公主を寵愛する〜
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆3
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


解説

快感から、逃げるな
偽りの出会いから始まる中華ロマンス

母の犯した罪により公主の身分を奪われ、罪人が過ごす幽庭で育った晶玉は、異母妹の身代わりとして隣国の皇太子・戦英に嫁ぐことを命じられる。彼を騙していることは絶対に知られてはならない──それなのに、夜ごと情熱的に蕩けるように愛され、心も身体も戦英に惹かれていく。彼が求めているのは、自分ではないことがわかっていながら……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「──晶玉」
「はっ……ふぁっ」
 返事をしかけた頬を急に捻られて妙な声が上がる。反対側の頬も軽く捻られて、一気に混乱に陥った。
「あ、あの、私、何か」
「いや、こうしたら面白そうだと思ったから」
「からかって……いらっしゃるのですか」
「お前は表情が変わらないからな。少しくらいは変わった方が面白い」
 戦英が何を考えているのかわからず、思わず眉をひそめてしまう。晶玉が表情を変えたのを見て、戦英は笑った。
「ほら、その方がいい。もう少し、思っていることを言葉に、言葉にできないなら表情に出せばいいんだ」
「そうおっしゃっても……」
 長い間、思うことを言葉にするのも、表情に出すのも抑えてきたから難しい。
「……まあいい。こっちに来い」
 腕を引かれて、寝台へと誘われる。並んで腰掛けて、改めて自分がいつになく戦英の側にいることに気がついた。
 今日までの間、戦英と顔を合わせる機会はあったけれど、それは朝と夕の挨拶のためだけだった。
 朝の挨拶を終えれば彼はすぐに朝議に行ってしまったし、夕方、宮に戻って顔を見せたあとも、大臣達との会合だの、兄弟達との食事だのと宮にとどまっていることの方が少なかった。
 まともに会話をしたのは、この国に到着したあの日だけ。
 戦英が晶玉を妃として大切に扱ってくれるであろうことは言葉や行動から薄々とわかるけれど、それ以上のことはわからない。
「……戦英様?」
 両手で頬を挟まれて、彼の方へと顔を上向けられる。
 真正面から見つめられて、顔に血が上ってきた。いたたまれなくなって目を閉じようとしたら、「そのまま」と低い声が命じる。
 視線を泳がせることもできず、彼の瞳に自分の顔が映っているのを眺めていた。
 ──なんて顔をしているのかしら。
 彼の瞳に映る自分の姿は、こんなにも醜い。醜く見えるのは──罪を抱えているから。
「……やはり、似ているな」
 ぽつりと彼のつぶやいた言葉に、そのままと命じられていたにもかかわらず瞳が揺れた。
「似ている、とは……何に似ているのでしょうか」
「いや、いい」
 それきり、彼は晶玉の両頬を包んでいた手を外してしまう。手を離されたところで、どうしていいのかもわからずまたとまどった。
 うつむこうとしたら、今度は顎に手がかけられる。小さく息を呑んだ瞬間、戦英は晶玉に口づけてきた。
「……はっ、ん」
 唇を重ねられ、かっと身体が熱くなったかと思うと、頭がくらりとする。思わず目の前にある身体にすがりついたら、抱きとめてくれた彼が笑った。
「あの、申し訳」
「謝るなと言っただろう──晶玉は俺の大切な妃だ。小さなことで怒ったりしない」
 俺の大切な妃。そう言われるだけで、胸がじんとした。本来、そう呼ばれるのは晶玉ではないとわかっているのに。
「……戦英様……私、一生懸命、お仕えいたします」
 晶玉にできるのは、精一杯の心を捧げるだけ。
 戦英が『明安公主』を望まなかったら、きっと一生幽庭から出ることはなかった。
 助けてくれたあの日の少年に再会できた。
 それだけで十分だと思っていたはずなのに──この国に来てまだ五日だというのに、もっと彼との繋がりが欲しいと貪欲になってしまっている。
「……お前は、素直なのがいいな」
 彼の手が背中に回って、抱きしめられた。
 これほど身近に異性を感じたことはない。彼の腕に包まれる感覚は、痺れるような幸福感となって、晶玉の身体を満たす。
 寝衣に焚きしめられている香の香りに、また頭がくらくらとした。
「戦英様……」
 彼の名を唇にのせるだけで、こんなにも幸せな気分になるなんて。
 自分が彼を裏切っているのはわかっている。わかっているからこそ──この時を永遠に止めておきたいと切望した。
 きっといつか、たくらみは暴かれる。
 その時が来たら、彼を謀った罪は喜んで受け入れるから──だから、せめてそれまでの間は、ここにいることを許してほしい。
「晶玉」
 名前を呼ばれて顔を上げれば、もう一度唇が重ねられる。それと同時に勢いよく寝台に押し倒された。
「んっ、んっ……」
 息苦しさを覚えて首を振ろうとすると、唇の隙間から強引に舌が入り込んでくる。ぬるりとしたその感触にまた違う感覚を刺激された。
 口内を逃げ回っていた舌が絡め取られる。左右に揺さ振られたら、視界に霞がかかったような気がした。
「ふっ……ん、あ……んっ、んっ」
 彼にとって、晶玉は政略で迎えた相手でしかないというのはわかっているのに、互いの呼吸が混ざり合う感覚がとても愛おしいもののように感じられる。
 舌が触れ合うたびに、身体全体に甘い疼きが広がる。とろりと蕩けていくような気がした。
「……あ、あぁ」

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。