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公爵と星明かりの乙女

公爵と星明かりの乙女


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

汚れなき乙女を守るのは、危険な隻眼の公爵。ヒストリカル・ロマンスの新星が紡ぐ、珠玉の歴史絵巻。

両親に命じられた結婚を拒んだせいで縁を切られ、“伯爵家令嬢”からその日暮らしの身へと堕ちたマーガレット。困っている人を見ると放っておけない性格も災いし、ドレス一着買えない慎ましい毎日を過ごしている。そんななか貧困地区へ人助けに向かったマーガレットは暴漢に襲われてしまう。間一髪のところを助けてくれたのは隻眼のレイシャム公爵。傲岸不遜で誰にも心を開かず、ロンドン社交界で最も恐れられる異端児だ。だがマーガレットは公爵を知るにつれ、厳めしい外見の奥に驚くべき真実の姿が隠されていることに気づき……。

抄録

 ぐいと引き寄せられたとき、マーガレットは驚きのあまり、どうしたらいいのかわからなかった。もしも自分の小説に登場するヒロインだったなら、どんな状況にも用意ができていて、きっとすぐさま――。あいにくマーガレットの本のなかでは、こういうことをする人物は悪党と決まっているので、ヒロインはすぐさま悲鳴をあげて、信頼できるヒーローに助けを求めているだろう。興味深さではこの男性の足元にも及ばないヒーローに。
 けれど続いて彼の口が、きりりとして魅惑的で男らしいあの口が、マーガレットの唇に重なったときは、どうしたらいいのかはっきりとわかった。
 両腕を彼の首に巻きつけて、きつく抱きしめた。なにしろ彼がキスをしているのなら、しゃべっていないということになり、これまでのところ、彼の会話は外見と比べると魅力に欠けているからだ。
 けれどキスは、得も言われぬほどすばらしかった。唇はちょうどいい具合に押し当てられて、たくましい腕はいったいどうやっているのか、マーガレットが貴重でありながら強い女性であるかのように抱きしめている。なめらかでやわらかい唇と、その上の無精ひげの感触は対照的で、体に回された腕はいともたくましく……。ああ、まだ気絶していないのが不思議なくらいだ。
 気絶することもできるけれど、いまはむしろキスをしていたい。
 彼の髪に指をもぐりこませて、絹のような感触を味わった。これもまた、大きくて力強い肉体とは対照的だ。そして体の下のほうには、興味深いかたちで反応しはじめている箇所があった。
 これについては考えてみなくてはならないが、やはりキスをしているいまはだめだ。
 そのとき彼がさっと身を引いた。まるでマーガレットがドラゴンさながら火を吹きかけたかのように。彼の両目は、いや、片目は驚きに見開かれ、その態度は、たったいま自分でも信じられない行為をした人のそれだった。
 つまり、お互いさまということ。とはいえマーガレットのほうは、できれば早急にもう一度、その行為をしたいと思っていた。
「すまない、わたしとしたことが……」公爵が言葉を止めて、片手で顔と胸をなでおろした。
 魅惑的なそれらの部分をなでおろすのはマーガレットの役目にしてほしかったが、それはいま持ちだすべき話ではないだろう。
「わたしが誘発したのね」マーガレットはそう言って、肩をすくめた。公爵から離れてソファに歩み寄り、腰をおろす。「そういうこともあるわ」
 公爵の表情が硬くなった。「つまり、前にもこうなったことがあるのか? というより、よくこうなるのか?」
 ええ、と答えたかった。こんなことはしょっちゅうで、男性はすぐにわたしに飛びついてきてキスをするの、と。そうしたら公爵はいったいどんな反応を示すだろう? もしもそれで彼がキスを再開する気になるのなら、ぜひともそう答えたい。マーガレットは片手で口を覆って笑みを隠した。
「きみがたまらなく魅力的だから、男性はきみのそばに行くと自分を抑えられなくなるというのか?」公爵が近づいてきた。見ると、あごはこわばり、首筋の脈は激しく打っている。
 あんな答えを返したら、公爵はますますしゃべるだけかもしれない。それはマーガレットがまったく望んでいないことだ。そこで手を振りながら、こう答えた。
「いいえ、もちろんよくあることじゃないわ。少なくとも、こういう反応は初めてよ」眉をひそめて考える。「たしかにわたしは人を怒らせがちだけど、たいていの人は、そのせいでわたしにキスをしたりしないもの」
 公爵のあごがぴくりと動いた。いずれそのうち、閣下はひどい癇癪持ちですねと言ってしまいそうだ。けれどいまはやめておこう。そこまで生意気な女性ではない。というより、自分ではそう思っている。
「キスをするつもりはなかった」公爵が硬い口調で言った。もはやマーガレットを見ておらず、いまはドアを観察しているらしい。もしやマーガレットが早急にそのドアを使うよう願っているのだろうか。
「じゃあ成り行きで……‘こうなった’の?」先ほどの公爵の真似をして最後の一語を使った。
 これには公爵もマーガレットのほうを向いた。ようやく少し落ちついたようで、とりあえず、いますぐ人も殺しかねない凶暴な行動には出そうにない。人を殺さないていどの行動には出るかもしれないが、その行動に殺人はまず含まれないだろう。
「そんなふうに言われるのも当然だ」公爵がごく低い声で言った。「わたしは――」言いかけて首を振る。「なにを言っても取りつくろいようがないな」そしてまた視線をマーガレットに向けると、唇の端をほんの少しあげて、笑みのようなものを浮かべた。「きみがわたしと結婚したくないというのは、共通の理解だったな。自分のしたことに対してわたしが提示できる唯一の方法がそれなのだが」しばし言葉を止める。「きみは……その、わたしと結婚したくないのだろう?」
 あまりにも不安そうな声だったので、マーガレットは笑いをこらえきれなかった。「ええ、もちろんです。だけどお申し出にはお礼を言うわ」ふと、公爵の求婚を断ったと知ったら両親がまた縁を切るかもしれない、と思った。絶縁が一度しかできないものでよかった。


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