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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

知られざる愛の使者

知られざる愛の使者


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

たとえ私を愛してくれなくても、血を分けたこの子だけでも……。

サラは生後半年の息子を母に預け、大病院の救急科に復職したが、初日、そこにはなんと1年半前に別れた恋人ジェイミーがいた。彼女が結婚を夢見るようになったとたんに異国へ逃げた彼は、その9カ月後に我が子が生まれたことをまだ知らない。ジェイミーは最初から結婚も子供も望まないと宣言していたから、捨てられて傷心していたサラは、独りで産み育てる決意をしたのだ。彼の優秀な仕事ぶりに再びうずく恋心を必死に戒める彼女だったが、そんなとき運悪く、サラの母が孫息子を連れて二人の前に現れた。赤ん坊の月齢、瞳の色……にわかに自分の子と悟ったジェイミーは、サラの母に冷たく言った。「少しサラと二人にしてもらえませんか?」

■大人気作家スカーレット・ウィルソンと並び、命の現場を多く描きファンを魅了するアン・フレイザーのデビュー作をお贈りします。独身主義の冷淡なヒーローにさいなまれるヒロインですが、じつは彼には大きな秘密が……。世にも切ないシークレットベビー物語!

抄録

「あなたに話があるのは確かだけど、今はそのときではないわ」首に巻きつく息子の手をほどきながら、サラは言った。「ママ、お願い、カラムを連れて家に帰ってくれる?」
 ジーンがカラムを抱き取ろうとしたが、大人たちの緊張を感じ取った赤ん坊はサラの首にしがみついて離れなかった。
「だったら、わたしだけ外に出るわ」ジーンはそう言って、そそくさと部屋を出ていった。
「きみはいったいどんな権利があってこんなことをしたんだ?」
 ジェイミーの目は怒りのせいで暗く陰っている。だが、そこにあるのは怒りだけではなかった。恐怖だろうかと、サラは思った。父親になるのが怖いのかしら。だとしたら、心配いらないわ。彼がいなくても、カラムと二人、ちゃんとやっていけるから。でも、それはただの強がり? ジェイミーを思い、子供を育てる喜びを彼と分かち合いたかったと、一人ベッドで悶々とした日々の記憶がよみがえってきた。
「これはあなたには関係ないことよ。だって、あなたは最初から、結婚の意思も子供を持つ気もないと宣言していたのだから」サラは感情を押し殺して言った。ジェイミーが去ったあとの救いようのない苦しみを知られたくはなかった。
「きみは一生、ぼくに黙っているつもりだったのかい?」
「黙っているって?」
「ぼくがその子の父親だということをだよ」
「本当にあなたの子だと思うの?」意地悪く言い返したものの、サラは即座に後悔した。もちろん、彼にはわかっている。それに、たとえ子供はいらないと宣言していたとしても、自分の子が生まれたという事実は知る権利があるはずだ。
「ぼくの子じゃないのか?」一瞬、ダークブラウンの瞳に安堵の色が浮かび、サラの胸は締めつけられた。
 ジェイミーはサラに近づき、赤ん坊をくるんだブランケットをそっとわきに押しやった。そのときふいに小さな手が伸びてきて彼の指を握り、口まで持っていってくわえた。心臓が早鐘を打ち、ジェイミーは気分が悪くなった。
「ああ、サラ、きみはなんてことをしてくれたんだ?」そこには絶望的な響きがあった。
 サラはこれまでこの瞬間を何度となく頭の中で思い描いてきた。一人で担うには重すぎる責任に押しつぶされそうになりながら、想像をめぐらせた。きっとジェイミーは戻ってくる。わたしはともかく、子供だけは愛してくれる。経済的な援助などいらない。でも、この子には父親が必要なのだ。一緒にサッカーをしたり、釣りに出かけたり、父親なら誰もがすることをしてくれる人が。
「ジェイミー、相手がいなければ子供はできないのよ。それくらい、あなたも知っているでしょう」サラは皮肉で応じた。
 ジェイミーはまるで逃げるかのようにスタッフルームの奥へ行き、冷たい目でサラを見た。「きみはピルをのんでいると言った。そうでなければ、ぼくは……」
「ぼくは、なんなの? わたしとベッドをともにしなかったと言いたいの? 最後に訪ねてきたとき、ベッドへ連れていく時間さえ惜しんだのは誰だったかしら?」
 そのときのことを思い出し、サラは顔を赤らめた。あのとき、小さな居間に立っていたジェイミーは怖いほど魅力的だった。二人は夢中で体を重ねた。翌朝早く、サラが目を覚ますと、ジェイミーがじっと見おろしていた。彼に向かって、サラは両手を伸ばした。“わたしも一緒に行ってもいいのよ”
 だがジェイミーは、首に巻きついたサラの手をそっとほどいた。
“S・J、きみは今、成功への階段をのぼっている。きみがめざしてきたものはすぐ目の前だ。だが、ぼくにはきみが求めているものを与えられない。ことに……”彼は言いよどんだ。“結婚は”それから名残惜しげにキスをして、サラのもとを去っていった……。
「ええ、ピルはのんでいたわ」サラは断言した。「あなたからわたしたちの関係は終わったと言われるまではね。だから、最後の夜のことは予想外だったのよ」そこでまたもや頬を染めた。
「妊娠がわかったとき、どうして言ってくれなかった?」ジェイミーの吐き出すような口調に、サラは思わず顔をしかめた。「ぼくにも知る権利があるとは考えなかったのか?」彼は腕組みをして、サラをにらみつけた。まるで取り返しのつかない失敗をしでかした研修医を叱りつけるような態度だ。
 サラはかっとなって言い返した。「もし言ったら、あなたはどうしていたの? あわててプロポーズした? いいえ、ジェイミー。結婚はしない、子供は持たないという点で、あなたが譲歩することはありえなかったはずよ」
「だが、ほかにも方法はあったはずだ」
 ジェイミーの残酷な言葉に、サラはみぞおちを拳で殴られたような衝撃を覚えた。
「わたしがその方法を考えなかったとでも思うの? 母親になる準備なんてできていなかったし、ましてやシングルマザーになる気なんてなかった。でも、いざとなると、どうしてもできなかったの」サラはカラムをぎゅっと抱きしめた。今になってみれば、この子のいない生活など想像もできない。「それがあなたの望みだったのね。自分の息子の前で、よくもそんなことが言えるものだわ。ジェイミー、あのとき産むと決めたのは、わたしの人生で最もすばらしい判断だった。どうやら、あなたに妊娠を知らせなかったのは正解だったようね」


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