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孤独な公爵の花嫁探し

孤独な公爵の花嫁探し


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

華麗な舞踏会でただひとり踊れず座る、壁の花……。

おてんば娘のジェシカは少女の頃からジャックを兄のように慕っていた。夏の嵐のなか不運にも落馬して左足に大怪我をした彼女は、将来の希望を失った――足の悪い娘なんて誰からも望まれない、と。舞踏会でろくに踊れず壁の花となっていたジェシカに声をかけたのは、両親を早くに亡くし若くして公爵となったジャックだった。跡継ぎを望む祖母に結婚をするよううるさく言われ、とうとう開くことになったハウスパーティへ彼女を招待したいという。一瞬ジェシカの胸はときめいたが、すぐに自分は場違いだと考え直して泣く泣く辞退すると、ジャックは見下したように尊大に言い放った。「そばにいてほしい。君と正反対の女性を公爵夫人にしたくなるように」

■英国摂政期をこよなく愛する英国人ロマンス小説家、エリザベス・ビーコンの日本デビュー作をお贈りします。長年想いを寄せてきたジャックから投げつけられた辛辣な言葉に、ジェシカはショックを隠せず手を震わせ……。傲慢な公爵の“花嫁探し”の展開やいかに?

抄録

 ぼくはあの奔放な少女に何があったのか知りたいんだよ」彼にとってそれがほんとうに大問題のような言い方だった。
「その少女は死んだのよ」ジェシカは苦々しげに言った。
「ばかな。彼女は今、ぼくの目の前にいるじゃないか。少しばかりおとなしくなったかもしれないが、意地を張っているときはいつだって、海のような緑色の瞳の奥に、飼い慣らされることのないじゃじゃ馬が見える。ミス・ペンドルは堅苦しさと礼儀正しさを盾にして世間を遠ざけているが、ときおり大胆不敵な冒険心が顔をのぞかせる。きみが自分はオールドミスだと言い続けたら、彼女はどうなってしまうんだろう? あの奔放な女性は反乱を起こして表に飛び出してくるだろうか。それとも、きみは偽物のきみになりきってしまうのだろうか?」
「そんなことはあなたには関係ないでしょう」ジェシカはぴしゃりと言い、ドレスをつかんだジャックの大きくて筋肉質の手が緩んだ瞬間を見逃さず憤然と払った。
「いや、それが関係あるんだよ。じつに親密で切迫した関係がね」ジャックのつぶやきがあまりにもひそやかだったので、ジェシカは動揺した。テラスから走り去ろうとしていた足が思わず止まる。ジャックの言葉には思いがけない威嚇の響きがあり、暗いバリトンの声には柔らかでありながら確かな含みがあった。
「いいえ、わたしの希望も不安もあなたには関係ないわ。わたしたちにはなんの関係もないのよ、公爵。そして、これからもっと関係がなくなるの」ジェシカは大胆に言い放った。だれかに見られているかもしれないという不安はあった。このテラスは館の南側ならどこからでも見えるし、眼下の景色が遠くまでよく見えるように据えつけられていた。
「それは大きな間違いだよ。この二週間が終わるまでに、ぼくが証明してみせよう。きっとお互い満足できるはずだ」
「いいえ、わたしは間違っていないし、あなたのほうこそ今まででいちばんひどい勘違いをしているわ」
「きみは以前からそう言っているが、間違いだったとわかったはずだ」
「そんなことはないわ」
「いや、間違っていたんだよ」ジャックはそう言うと、さっとキスをした。ほんの一瞬だったけれど、そのよこしまな唇は思いがけず柔らかく、衝撃的だった。反抗心の炎がジェシカの全神経と鼓動する心臓を貫いた。
 頬が真っ赤になっているはずだ。こんなに熱いのだから。顔を上げたジャックがこちらを見て、爆発しそうだとでも言いたげな表情をしている。そうでしょうとも。わたしだって自分が爆発するのではないかと思っているのだから。冷静で抑制のきいたジェシカ・ペンドルを装おうとしても、唇が触れ合った刹那の熱と衝撃が消えない。手がひどく震えているのに気づき、あわてて握りしめた。でも、その拳で何かができるわけではなかった。
「あなたって人は……いまいましい公爵」なんとか息をつくと、ジェシカは声をつまらせながら言った。
「公爵の特権でしたことだと思っているのか? それなら、君がほかの公爵に出会わないように手を回しておこう」ジャックの深みのある声には笑いを含んだ響きがあった。ジェシカはそれを聞いて怒りの炎をぶつけたくなった。
 この数分のことをどうしたら冗談にできるの? ジャックを憎んでしまいそう。よりにもよって、こんな人目につくところでわたしをからかうなんて。足が悪くて行き遅れ寸前のミス・ペンドルが恥も外聞もなくデッティンガム公爵を誘惑していたと噂になるんだわ。
「今後は、わたしに手を触れようとする人がいたら、だれであろうと噛みついて殴ってやるわ」ジェシカは声を荒らげた。ジャックが一歩でも近づいてきたら、そうするつもりだった。
「ああ、それでこそ、ぼくらが愛する本物のジェシカ・ペンドルだ」ジャックが物憂げに言った。ジェシカは息を深く吸い込み、拳をほどいて、彼のからかうような視線を受け止めた。途方もない努力が必要だったけれど。
「そしてあなたは相変わらず傲慢な若者ね。わたしはもちろん愛していなかったけれど」ジェシカは無意識のうちに嘘をついていた。「あなたの昔ながらの曲に合わせて踊るのはごめんよ」
「これはぼくじゃなくて、ぼくらの曲だよ、ジェシカ」ジャックは謎めいた言葉を残して歩き去った。ジェシカは恐怖にも似た漠然とした不安を胃に感じていた。そしてもっと下のほうには強烈な熱があった。当然ながら、その熱がなんなのか解き明かすつもりはない。
「わたしはどの男性とも踊らないわ」ジェシカは、悠然と去っていくジャックの背中に向かって言い返した。彼の長い脚はどんどんと庭を横切っていく。叫んでいらだちをぶつけたい。心の片隅にそんな思いもあったが、ジェシカは絶対に認めるつもりはなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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