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愛を宿した個人秘書

愛を宿した個人秘書


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダニー・コリンズ(Dani Collins)
 カナダ出身の作家。高校生のころにロマンス小説と出会い、小説家という職業はなんてすばらしいのだろうと思ったという。以来、家族の反対や“普通の”仕事に追われながらも、さまざまなジャンルの執筆に挑戦し、ついに念願叶ってハーレクインからデビューすることになった。まるでロマンス小説さながらの、ハッピーエンドを生きている気分だと語る。

解説

ふたりの絆の記憶は消えてしまった。そして彼は、別の女性と結婚してしまう――。

社長のセサル・モンテロが交通事故に遭ったというのに、ソーチャは入院中の彼と面会すら許されずにいた。セサルの個人秘書として働きだしてからずっと、魅力的な彼に対する想いを心の奥に隠してきた。だが3週間前、その想いがとうとう実を結んだのだ。ところが不運にもセサルは事故直前の記憶を失い、その隙に彼の親は、ある女性と息子との婚約話を進めていた。セサルの愛は一夜の幻だったの?絶望したソーチャは姿を消した──おなかに彼の子を宿して。

■R−3230『イタリア富豪の孤独な妻』の関連作をお届けします。2015年の日本デビュー以来、着実にファンを増やし続けているD・コリンズ渾身のドラマチックなシークレットベビー物です。

抄録

 セックスのことを考えているのかもしれない。
 それも、ソーチャとの。
 興奮で下腹部がざわざわした。感覚が研ぎ澄まされてうずいている。ソーチャは無意識に髪の毛をいじっていた。
 セサルがかすかにほほえんだ。彼はわかっているのだ。経験豊富なセサルには、ソーチャの反応が読めている。
 セサルが背筋を伸ばしてグラスをテーブルに置き、肘を膝にのせて息を吐いた。「ディエガをベッドに誘えと、自分に言い聞かせてきたんだ。うまくいくかどうか知っておくべきだとね。でも、どうでもいいことだ。どちらにしても結婚することになるんだから」
「したくないのに、結婚するの?」ソーチャも体を乗りだしてグラスを置いた。ふたりの腿が触れそうなくらいに近づく。「あなたはもう大人なのよ」
「責任を背負った大人だよ、ソーチャ」そう言ってセサルがソーチャのほうに顔を向けた。責任の重さのせいか、背中が丸くなっている。
「ディエガと結婚しなかったら、この会社は本当にだめになってしまうの?」美しく豪華な内装が施されたオフィスを見まわした。セサルはここで毎週のように、莫大な予算が絡んだ契約をまとめている。
「僕の家族が築こうとしているのは巨大企業だ。そして僕には果たすべき役割があって、そのための条件に合意している」
「だったら仕方がないわね。自分の心に逆らって、結果を甘んじて受け入れるしかないわ」ソーチャは投げやりな口調で言った。
「僕にそんな口をきく厚かましさはどこからきたんだ? どうしてこんなことを言わせたままにしているんだろう」セサルはつぶやいたが、怒ってはいなかった。自己嫌悪に陥っているのかもしれない。「僕が直観的に決断をくだすときは、必ず理由がある。すべては論理で決まるんだ。ディエガと結婚したほうがいいと考える、確たる理由はいくらでもある」
「自分の幸せは、別の道を選ぶ理由にならないの? 結婚を拒んだらどうなるの? 今のあなたの立場なら、いくらでもなんとかなるでしょう? お父様が相続権を取りあげるとでも? それほどひどい事態にはならないでしょう?」
 セサルはしばらくのあいだ厳しい顔をしていたが、グラスを手に取ってウイスキーを胃に流しこんだ。「そうだな。母はもう僕に優しくしてくれなくなるかもしれないが、そもそも愛されてなどいないんだ」音をたててグラスをガラステーブルに置いた。「でも、経営権の大半が弟の手に渡る可能性はある」
「本当に? これだけ優れた経営手腕を発揮しているのに? そんなわけないわ」
「外部の人間にはたいした問題には思えないさ」セサルはソーチャに視線を向けた。声がわずかに低くなり、親密さを帯びる。「ディエガとの結婚を取りやめたら秘書をやめないでいてくれるか?」
「私が退職願を取りさげたら結婚をやめてくれるの?」ソーチャは思いきって言った。けれど、彼にとって自分がそこまで大切な存在でないことはわかっていた。彼が背負っているものを思えば、秘書と寝るためだけに結婚を取りやめるなどありえない。
「きみが手に入るならそうしてもいい。そのためならどんな犠牲も払う」セサルの視線がソーチャの唇に注がれていた。
 ソーチャの鼓動が激しくなった。
「セサル……」
「きみのキスの味が知りたい」セサルの手がソーチャの顔に触れた。親指が顎の輪郭を優しくなぞり、唇で止まる。
 息をして、ソーチャ。そう自分に言い聞かせたが、セサルの熱に包まれてどうしたらいいかわからなかった。セサルが頭を傾けて顔を近づけてきたので、ソーチャは唇を開いて彼を受け入れた。
 リードできる男性が必要だというのはこういうことなのね。母子家庭で四人姉妹の長女だったソーチャは、子供のころから妹たちの面倒を見てきて、その後は家計のために働いた。家族のためなら苦労もいとわず、自分の喜びを犠牲にしてきた。そんなソーチャの望みを、セサルがすべてかなえてくれようとしている。
 彼のキスにはためらいがなく、支配的だった。決して強引ではなかったが、仕事をするときと同じ力強さがあった。
 極上のキスにソーチャは恍惚とした。無精髭が肌に心地よい。唇を重ねあわせながら手を彼の腕から肩へと這わせた。ふたりはソファで体を寄せあい、静かに互いを味わった。
 セサルはソーチャをすばやく抱き寄せて膝にのせた。力強く迷いのない動きが彼の決意を物語っている。彼のかたさがソーチャにも感じられた。
 唇を離して見つめあう。面接での約束を口にするなら今しかない。セサルは本気でディエガとの婚約を破棄する気なのだろうか。
“きみが手に入るならそうしてもいい。そのためならどんな犠牲も払う”
 うなじにまわしたてのひらから彼の熱が伝わってくる。ソーチャの腿を這う彼の指先がソーチャの下腹部のうずきをかきたて欲望に火をつけた。彼と愛を交わすことを夢に描いて眠れぬ夜を何度過ごしたことか。
 セサルは今夜、ソーチャのものだった。やっと彼に触れてもらえる。自分だけを見つめてもらえる。ソーチャは寂しい日々を送ってきた。例の画家とはベッドにさえたどり着かずに終わっている。ソーチャは刺激的な交わりが欲しくてたまらなかった。
 彼が欲しい。今よりももっと近くに感じたい。愛を交わしたい。
 そばにいたい。
 ソーチャは片手をセサルの頭の後ろにまわすと、唇を開いて彼のキスにこたえた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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