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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

小さなエンジェル

小さなエンジェル


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 マリオン・レノックス(Marion Lennox)
 オーストラリアの農場で育ち、ロマンスを夢見る少女だった。医師との結婚後、病院を舞台にしたロマンス小説を書くことからスタート。現在はハーレクインの常連作家として、作品の舞台も多様になり、テンポのよい作風で多くの読者を得ている。トリシャ・デイヴィッド名義でも作品を発表していた。

解説

愛は人の心を壊すと彼が言うなら、壊れた心を癒すのが愛だと伝えたい。

病院で働くティナは、姉とその3人の幼子と暮らしている。姉は浮気性の夫に金品を持ち出されたうえに借金まで背負わされ、産後鬱を患っているので、ティナが支えなければならなかった。とはいえ、彼女自身も学費を返済中で生活に困窮しているため、子守りも雇えずやむなく生後5週間の姪を職場へ連れていった。すると、ハンサムで優秀と評判の産科医ジョックに見咎められ、未婚の母であることを隠して不正に職を得たといわれなき非難を浴びる。あまりに一方的な言葉に、怒りと悲しみに打ち震えたティナは、彼の頬に平手打ちをくらわせ、その場で仕事を辞めてしまうが……。

■苦労人と呼ぶにふさわしいヒロインと、不幸な生い立ちがもとで愛を信じないヒーローの切ない物語をお贈りします。悲喜こもごものエピソードのあとには、じんわりと心に染み入る感涙の結末が待ち受けていて……。かわいらしい子供たちにもぜひご注目ください!

抄録

 ジョックも待っていた。ティナがすべてを話してくれることを。
「両親は、わたしが十六、クリスティが十九のときに亡くなったの」ジョックの顔を見すえたまま、ティナはゆっくりと言った。「わたしは働きながら医大を卒業したけど、学費全部はまかなえなかった。クリスティが援助してくれたのよ。それもあって、今こんなに悔やんでいるの。姉が破産した責任の一端があるから。でも、ローンも借りなくちゃならなかったから、いまだに支払いが続いているわ。半年くらいクリスティと子供たちのそばにいたいけど、わたしにはその余裕がないの」
「ぼくに援助させてくれ」
 ティナは奇妙なまなざしをジョックに向けた。
「さらにお金を借りるの?」彼女はかぶりを振った。「ありがたいけど、結構よ」
「じゃあ、どうしたい? 金の問題じゃないなら」
「非現実的なことよ。いくらなんでも――」
「いいから言ってくれ」
 この人は……磁石みたいに人を引きつける強い個性を持っている。まるで彼が魔法の杖を振れば、何でもうまくいくような気がしてしまう。
「それは……もし好きなようにしていいなら、クリスティが回復して家に帰れるようになるまで、子供たちをシドニーに行かせたいわ。それで、わたしはこれまでどおりここで仕事を続けるの」
「ローズを職場に連れてきて? 人を雇ってここにいてもらう?」
「そのとおりよ」
「それはうまくいかないよ」
「わかっているわ。そんな費用はわたしには――」
「きみの金銭的余裕がどうあれ、もうローズを病院へ連れてきてはだめだ」ジョックはきっぱりと言った。「クリスティだってローズを黄色ブドウ球菌に触れさせたくないだろうし、ぼくも外との出入りを繰り返す子供に新生児室を汚染されたくない」
「わたしはそんな――」
「ティナ、こうなったのは、ぼくが雇った非常勤医のせいでもある」ジョックはティナをじっと見つめた。「きみはぼくを訴えることもできたんだ」
「そんなつもりは――」
「職務怠慢と倫理違反でヘンリーを訴えて、ぼくを追い込むこともできた。雇った者として、彼の行動に責任がある。だから、ここは示談にしよう」
「ドクター・ブラクストン、そんなつもりは――」
「示談にするのはお姉さんだ。きみじゃない」
「でも――」
「黙って、ティナ」ジョックはやさしく言った。「きみに経済的余裕はないが、ぼくにはある。医者になって長いし、独身だ。車には金を使うが、ほかはそうでもない。ここからそう遠くないところに住んでいる女性が仕事を探している。彼女は旧式の看護師資格を持っていて、先週、働き口がないかと病院に来たんだ。だが、資格を取り直さない限り、病院では働けない。だが、ここでなら働ける」
「ジョック、わたし――」
「黙って。きみのためじゃなく、お姉さんのためだ。きみにお姉さんの利益を拒む権利はない。ぼくはマリーを雇ってここで働かせる。フルタイムで、必要に応じて泊まり込みもする。マリーは喜んで引き受けると思う。子供たちも彼女を気に入るはずだ」
「でも――」
「子供たちとシドニーへ行って、クリスティを連れて帰ればいい。すべて落ち着いて、マリーともうまくやれるようになったら、仕事に戻ってきてくれ」
「わたしは休暇は取れないわ」
「きみは辞職したんだよ。証人も複数いる。だから、ぼくが戻れと言うまでは仕事に戻れない。みんなが落ち着くまで……クリスティとマリーで子供たちに対応できるようになるまではだめだ」
「あなたがわたしの仕事までこなすなんて無理よ」
「ほかの何人かと手分けするよ」ジョックは心の中で肩をすくめた。ぼく自身の代わりを見つける計画はあきらめるしかない。ティナの絶望のまなざしに希望の光が差すのを見てしまったら。「医療スタッフの不足は経験したから、それをもう一度やるだけだ。反論はなしだよ、ドクター・ラフター」
「ジョック、無理よ」
 ジョックは黙ってティナの手を握った。その単純なしぐさがティナの息を奪い、反論を封じ込めた。
「いや、大丈夫だ」ジョックはやさしく言った。「きみはお姉さんと子供たちのことを考えて」
「ジョック……」ティナはジョックの目をのぞき込んだ。どうしたらいいかわからない。三十分前までは彼を憎んでいたのに。その彼がわたしの手を握り、わたしの体はそれに奇妙な反応をしている。
 わたしが話し出すのをジョックが待っているのはわかっている。でも、口を開けるのが精いっぱいだ。それに、ただ話すのではなく、何か理にかなったことを話さなければならない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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