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誘惑の代償【ハーレクインSP文庫版】

誘惑の代償【ハーレクインSP文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクインSP文庫
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

母と姉が男性に裏切られて不幸の一途をたどったため、ベス・ヘイリーは男を毛嫌いしていた。とはいえ、子供だけはどうしても欲しい――思い悩んだベスは、あるパーティに紛れて誰かを誘惑するという大胆な計画を立て、大人の雰囲気を漂わせたアレックスなる人物に近づく。妊娠するためだけの一夜は意外なまでに燃えあがるが、ベスは素性を隠したまま、寝ている彼を残して姿を消した。まさかアレックスが、ギリシアに名を馳せる財閥の跡取りで、その権力を使って自分の行方を捜し回るとは夢にも思わずに。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のカバー替え版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 部屋の中はしだいに暖まってきた。見回すと、最初に思ったほどひどい住まいではなさそうだ。スタンドの柔らかな明かりでなら、すり切れたカーペットもさほど気にならない。暖炉の上に飾られた東洋の女性を描いたよくわからない絵さえ、ぼうっと光を放っているように見える。
 アレックスは革のジャンパーを脱いでソファの背にかけ、クッションに深く体を沈めた。実際、気持がよくなってきた。ゆったりと脚を伸ばし、ピザが焼けるにおいをかぎながら美人と話をしているなんてすてきじゃないか。リラックスして、ウイスキーを舌の上で転がす。いったい何を警戒していたのだろう。
 どうしても目が彼女に吸い寄せられてしまう。彼女を見ていたい。彼女の身のこなしが好きだ。
 無邪気さと聡明さが奇妙に混じり合ったエリザベスの魅力に引き込まれ、アレックスの警戒心はしだいに薄れていった。
 スコッチをぐっとあおり、ほかのことを考えろと心に命じる。彼女を見たい気持を抑えつけようとするが、頭の中で血がどくどくと音をたてていた。
「もう少しいかが」エリザベスが優しく言う。彼女はいつの間にかソファのそばに立っていた。アレックスは素早くグラスを引っ込めた。
「僕を酔いつぶす気かい?」彼女は何をもくろんでいるんだ? なぜ僕をアパートメントに連れ込んだ?
 エリザベスは微笑し、ボトルを置くと体をすり寄せるようにして隣に座った。アレックスの全神経は焦げてしまいそうなほど熱くなった。
「もしそうなら、いや?」
 アレックスは面食らい、エリザベスのぬれた唇に目を落とした。「君がなぜそうしたいのかによるな。僕の体が目当てとは思えない。君のような美人なら、なにも男を酔いつぶさなくても……僕の言おうとしていることはわかるだろう?」
「さあ、どうかしら?」彼女はきれいな長い指を一本、自分の唇に当てた。「言ってみて。あなたが何を考えているか知りたいの。あなたは私のことを好き?」
 アレックスは唾をのみ込んだ。「君はどうかしている!」
「なぜ?」彼女は唇から指を離し、アレックスの頬にすべらせた。「あなたにどう思われているか知りたいだけなのに」彼女は無邪気に目を見開く。「私にキスしたい?」
 アレックスの頭は爆発しそうになった。頭ばかりではなく、ジーンズのジッパーの下が硬くなり、じわじわと熱くなってくる。
「いや」アレックスはそっけなく言った。彼女がすぐに離れてくれないと誘惑に負けそうだ!
「そう」彼女はさらに体を寄せてくる。豊かな胸がアレックスの腕に押しつけられる。「その意味は、本当はしたいってことだと思うわ。だったら、なぜしないの?」
 アレックスは息をつめた。「音がした。電子レンジが止まったんじゃないかな。ピザを見てきたら?」
「私、あなたを見ていたいの」彼女は柔らかなてのひらをアレックスの頬に当てた。「ちくちくするわ。あなたはきっと一日に二度ひげをそるのね」
「エリザベス……」
「リズと呼んで」
「それなら……リズ」彼女のもう一方の手がアレックスのひざを軽く握る。「君は物事を急ぎすぎていないかい?」
 彼女の瞳が暗くなる。「私が嫌いなの?」
「むろん、君は好きだが……」
「それなら……」彼女がじっと見つめる。「私たち、お互い同じ気持ということだわ」彼女の指が腿の上で輪を描く。「もう一杯飲みましょう」
「いや」アレックスはやっとの思いで言った。すでに飲みすぎている。彼女の手を腿の上から払いのけるべきだ。だが、脳が指令を発しない。
「あなたは私を見ていたわね」彼女がささやく。「パーティで。私、入ってすぐあなたに気づいたわ。あなたはとても……人目を引く人ですもの。大柄で……肌が浅黒くて……セクシーで」
 アレックスは笑おうとした。「誰が? 不細工なこの僕がか? 君はとんだ見込み違いをしたんだ」
「いいえ。あなたはちっとも不細工じゃないわ。自分でもわかっているはずよ。あなたはきっとたくさんの女性を知っているんだわ」
「たぶん、君が思うほどじゃない」
「結婚しているの?」
 もう、二度としたくない。「いや」
「よかった」
 エリザベスはほっとしたような顔をした。なぜそんなことを問題にするんだ? 既婚だったとしても、彼女はそれを気にするような女性ではないだろうに。もし彼女が、僕が思っているような女性だとすればだが。
「キスしてもいい?」
 アレックスは女の子と初めてデートをした時のような気分になった。いい年をしていったいどうしたというんだ? 彼女がどういうつもりか知らないが、拒むのは愚かというものだ。それに僕はそんな臆病者でもない。
 エリザベスはアレックスの唇に軽く唇を触れた。香水と体臭が混じり合ったにおい。女性のにおいに欲望をかき立てられるなんて久しぶりだ。アレックスの頭はくらくらした。
「すてき」唇を離して彼女がささやく。アレックスは我慢できなくなった。グラスを床に置き、彼女の肩をつかむ。押しのけるつもりだったのに、気がつくと彼女を抱き寄せ、むさぼるように唇を求めていた。
 熱く甘い唇。彼女はすぐに唇を開き、積極的に応えた。炎のようなキス。これほどすばらしいキスは初めてだった。アレックスはいっそう熱くなった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

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