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隠秘の恋〜王女は騎士の甘い嘘に乱れる〜

隠秘の恋〜王女は騎士の甘い嘘に乱れる〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫隠秘の恋〜王女は騎士の甘い嘘に乱れる〜
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

【100号記念◇サンプル増量♪】

もう誰にも触れさせたくない
秘密の部屋で、騎士は王女を甘く乱す

母を亡くし天涯孤独となったエミーアは、母の遺言通り国王に会いに行く途中、騎士アドニスに出会い心奪われる。王になかなか会うことができず、アドニスの部屋に匿われるエミーア。「君は何も知らないんだな」初めての甘い快楽を与えられ、さらに彼への想いが募る。そんな時、実は自分が国王の娘と知りアドニスと結ばれない運命に苦しむが……?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 アドニスはエミーアの手を引いて、馬の前まで連れていくと、エミーアの細い腰を両手でつかみ、ひょいと抱え上げ馬の背に腰かけさせた。抵抗する間もなく、エミーアは馬上の人になった。
「落ちるなよ」
 そう言いながら、アドニスがエミーアの後ろにひらりとまたがった。
「きゃあ」
「おっと」
 バランスを崩しかけたエミーアをアドニスのたくましい腕が抱きとめる。
「馬に乗るのは初めてか?」
「あ……いえ……あの」
 言い淀むエミーアの顔をアドニスが覗きこむ。エミーアは目のやり場に困って視線を泳がせた。すらりと通ったアドニスの鼻がほおに触れるほどすぐ近くにある。
 エミーアの心臓は全力疾走したときよりも速く脈打っている。見られて恥ずかしいのに、アドニスから目が離せない。手も震えて呼吸も浅い。頭がぐるぐる回る。
(どうしてそんなにじっと見るのかしら)
「そんなに緊張しなくても大丈夫だ。この馬は乗っている人間を振り落としたりしない」
「……はい」
 エミーアは顔を真っ赤にしながらうなずいた。緊張しているのは馬のせいではなかった。エミーアの緊張はすべて、アドニスのせいだった。意識をしないようにつとめていても、頭の中がアドニスのことでいっぱいになる。
「震えているな」
「……そんなことありません。もう大丈夫です」
 平気であることを示すために、エミーアはアドニスの顔を見上げて微笑んだ。
 次の瞬間、エミーアのくちびるにやわらかいものが触れた。
 驚いて声も出ないエミーアに、アドニスはささやいた。
「馬から落ちないためのおまじないだ」
「……おまじない?」
「そうだ。知らないのか?」
 アドニスが不思議そうにエミーアを見ている。おまじないならエミーアもよくやっている。満ちた月を映した水を飲むと願いがかなう、とか。でも、こんなおまじないは聞いたことも、本で読んだこともなかった。
(乗馬をしたことがないのだから、知らなくても当然なのかもしれない)
「初めて知りました」
(でもこれって、本で読んだ恋人同士の儀式に似ている……)
 エミーアの頭に疑問がよぎったが、それを口に出す前に、エミーアのくちびるは再びふさがれていた。
「……んっ」
 くちびるとくちびるが触れ合うと、微かにしびれるような感覚がエミーアの背筋を駆け抜けた。
 もう一度触れる。それから、まるでクリームをなめとるようにアドニスのくちびるが軽く開いて、エミーアのくちびるをついばんでいく。
「……アドニス様……?」
 アドニスの手のひらがエミーアの豊かな髪をなでていく。その動作が優しくて、エミーアの胸の中は温かくなる。
「……アドニス様。どうしてそんなにわたしを見るの?」
「実は試すのは初めてなんだ。効果があるのかどうかエミーアを観察している。どうだ? 何か変化はあったか?」
 アドニスに問われてエミーアは考えた。
「……胸の奥がぎゅっとつかまれたみたいに痛んで息が止まりそうになりました」
「そう。それから?」
「心臓の鼓動が速くなって、頭がぼうっとしています。……このおまじない、逆効果かもしれません。馬から落ちてしまいそう」
「そうか。逆効果か……」
 アドニスが考えこむ。
「それは、やり方が悪いのかもしれないな」
 エミーアのほおにアドニスの指が触れた。手のひらで顔を包みこまれる。エミーアは動けなかった。手を振り払うことも顔を背けることもできたはずなのに、アドニスの青い目に逆らえない。
「もう一度、やろう」
 くちびるがゆっくりと近づいてくる。
「……んっ」
 触れたとたん、やっぱりしびれるような痛みがエミーアの全身を走り抜けた。それは微かな感覚なのに声を出してしまって、エミーアは恥ずかしかった。
「……エミーア」
 アドニスが吐息混じりにエミーアの名をつぶやいた。それからエミーアを抱き寄せて、強くくちびるを吸う。
 微かなしびれが次々とエミーアの華奢な体を走り抜ける。初めての感覚だった。
 戸惑いと驚きでエミーアはアドニスを見つめた。
「大丈夫だから。力を抜いて」
 温かくてやわらかいものがくちびるをなぞる。アドニスに言われなくてもエミーアの体から力がどんどん抜けていく。
「……はあっ」
 エミーアが熱い息を漏らしたそのときを狙って、アドニスの舌がくちびるを割って中に侵入した。
「……やっ」
 アドニスの腕の中でエミーアの体がビクンと跳ねた。さっきまでとは全然違う感覚だった。喉が締めつけられるような、もどかしいような気持ちだった。
「……なんだか体がおかしいわ……力が入らない……」
「効果が出始めて緊張が解けたんだ」
 確かに緊張は解けていた。でも、それだけではなかったが、なんだか恥ずかしくて言い出せなかった。
「……んんっ」
 口の中をかきまわされる。呼吸ができなくて溺れてしまう。アドニスの顔からは笑みが消えて真剣な顔つきになっていた。
「目をつむって」
 目を閉じると恥ずかしさが少し消えた。アドニスの腕と吐息がエミーアを包み、馬上にいることも忘れてしまう。日の光の暖かさ、木々のざわめき、緑の匂い。体の奥から幸せがこみ上げてくる。こんな気持ちを味わうのは初めてだった。
「……アドニス様」
 くちびるが離れたとき、エミーアはつぶやいていた。呼びかけたわけではない。思わず名がこぼれ出てしまった。
 またくちびるが奪われる。エミーアは言われたとおり目をつむったまま、それを受けた。さっきよりも激しく、くちびるを吸われる。体がしびれ、甘い気持ちが満ちてくる。
「……んっ」
(だめ。落ちちゃう……)
 思わずアドニスの服をぎゅっと握った。その手を温かくて大きな手が包みこんで顔が離れた。


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