マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル

公爵と裸足のシンデレラ

公爵と裸足のシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 アニー・バロウズ(Annie Burrows)
 つねに本を読んでいるか、頭の中で物語を創作しているような子供だった。大学では英文学と哲学を専攻し、卒業後の進路は決めかねていたところ、数学専攻のハンサムな男性と出会い、結婚する決心をしたという。長年、2人の子供の子育てを優先してきたが、彼女の頭の中にある物語に興味を持ってくれる人がいるかもしれないと思い、小説を書きはじめた。

解説

見えない監獄のような暮らしの果てに、裸足のまま放り出されたシンデレラ。

母亡き後、父に捨てられ、冷たく無情なおばと暮らすプルーデンス。良縁を探してくれると言うおば夫婦に連れられ旅をしていたとき、プルーデンスは一人部屋に泊まることになっていたはずが、翌朝目覚めると、見知らぬ男性の部屋に横たわっていた。姪が汚されたと叫ぶおばの声が、宿じゅうに響き渡る。まるで身に覚えがないし、体も痛んでいないけれど……いったい、何が?状況もわからず自室へ戻ると、彼女の荷物はおば夫婦と共に消えていた。文字どおり着の身着のままで放り出されたプルーデンスは、見かねて手をさしのべてきた例の見知らぬ男性を頼るほかなかった――まさか彼が、旅人に身をやつした、第7代ハルステッド公爵とも知らず。

■高貴な身分ながら訳あって人知れず巷を旅する公爵と、勝手のわからない土地で無一文になってしまった娘。おたがい一つのベッドにいた理由が謎のまま、気まずい思いをしつつも行動を共にして……。大人気作家A・バロウズが贈る、至福のリージェンシー・ロマンス!

抄録

「誰かの顔を見てこんなに嬉しかったことはないわ」彼女はしゃくり上げた。「いなくなったのかと思った! わたしを置き去りにして!」
「まさか、そんなことはしない」グレゴリーは抱きつかれても立ち尽くしたまま、ぴしりと言った。ひどく戸惑っているようだ。
「ああ、ごめんなさい」プルーデンスは彼の首に回した腕をほどき、あわてて下がった。
「まあ、いい」グレゴリーはぶっきらぼうに言うと、おじがするように彼女の肩をぽんとたたいた。「きみは怖い目に遭ったんだから。ほら」帽子を傾けて小銭を彼女の両手にこぼす。「きみの稼ぎだ」
 そして頭に戻した帽子を傾けた。それが、抑えてもすでににじみ出ているオーラを強める。
 これ以上ないくらい女らしい感情がプルーデンスの全身を駆け抜けた。困惑するほど不愉快だとグレゴリーがはっきり態度に示すほどの感情。プルーデンスはほおが赤くなるのを隠そうと顔を伏せ、稼いだお金を数えるふりをした。
 四ペンスと三ファージング。それほど裕福には見えない聴衆だったことを思えば、まあまあの額だ。
「で?」
 皮肉でそっけない口調が、歌での稼ぎをささやかながら喜んでいた気持ちをプルーデンスから奪う。すでにグレゴリーのせいで気まずい思いをし、自分が何もできない間抜けで……まぎれもなく“女”なのだと思い知らされたのに。
「“で?”って、どういうこと?」
「さっきの朝食代を払えるだけの金はあるか?」
「ないのは、あなたもわかってるはずよ」
「じゃあ、結局はぼくの腕時計を質屋に突っ込むしかないのか」グレゴリーの表情が歪む。「こんな下品な言葉を使ったなんて。ヒューゴから移ったに違いない。やつはいつも、何かを質屋に“突っ込まなくてはならん”とか、“はした金でも手にする権利は離さない”とか言うんだ」
「必ずしもそうとは限らないわ」
「どういう意味だ?」
「だって、これがあるもの」プルーデンスは小銭をじゃらじゃら鳴らした。
「何を言ってるんだ。きみがたいして稼げなかったのははっきりしたじゃないか」
「パンとチーズを買うには充分だわ。今日のところはなんとかなる。宿屋の主人に借りている分を払うのは一週間後よ。それまでに、どうにかしてお金を工面すればいいわ」
「たしかに」グレゴリーは安堵したように見えた。
「それでもだめだったり、ほかに面倒が起きたときのために、あなたの時計は取っておきましょう」
「きみのことだからきっと、もっと面倒なことにぶち当たるんだろうな」
「それはどういう意味かしら?」
「きみは、次から次へと災難に巻き込まれる傾向にあると言っているだけだ」
「あなたに会うまで災難には遭わなかったわ」
「うそだ。そもそも、きみが首までどっぷり厄介事に浸かっていなかったら、ぼくたちが出会うことはなかった。それからというもの、ぼくはあの馬番からきみを救い、金がないのを助けてやったというのに、きみはぼくから逃げようとばかげたことをやらかし、今度は色目を使うしゃれ男に絡まれた」
 グレゴリーに指摘されて、プルーデンスは一瞬、言葉を失ったが、すぐ立ち直った。
「でも、そうしてくれと頼んだ覚えはないわ!」
「なのに、ぼくはそうしてやった。そして、これからもそうするつもりでいる」グレゴリーは言い淀み、自分の口からこぼれた言葉の不器用さに顔をしかめた。「言い直すと、きみの身が安全だとわかるまできみのそばにいるってことだ」
「まあいいわ。どこでもいいから、あなたのおばさんとかいう恐ろしい女性が住むところに着いて引き渡されるまで……権利を留保させていただくわ」
「意地悪いことを言って、感謝しない権利か?」
「感謝の念がないわけじゃないわ」それどころか、さっきグレゴリーが現れてあの気持ち悪い男たちを追い払ったとき、感謝のあまり飛びついて彼を恥ずかしがらせてしまった。わたし自身も恥ずかしかった。実のところ、ふいにまた彼に対して腹を立てているのは、自分がめそめそしがみついているように見えるのが情けないからじゃないかしら。彼に頼りきるつもりはないと誓ったばかりなのに。「もちろん、してもらったことにはすべて感謝しているわ。でも、だからといって……頭ごなしに命令する権利はあなたにもないわよ」
「ぼくが頭ごなしに命令しているって? むしろ――」グレゴリーは尊大に言った。「きみがさらなる厄介事にはまらないよう、いろいろ決断しているだけだ」
「えっ、本当に?」
 ふいにグレゴリーの態度が変わった。
「いや、やっぱり違う」片手でうなじをさする。「まったくきみの言うとおりだ。ぼくは尊大だった」
「なんですって?」
「ふむ、きみの出端をくじいたようだな」グレゴリーは本物の笑顔で言った。「でも、わかるだろう? ぼくは周囲が自分の言葉に従うのに慣れている。正面から食ってかかってこられたのは久しぶりだ」
「それは、あなたにとってもすごくいいことでしょうね」プルーデンスは言い返した。
「そう言うと思った」グレゴリーは愛想よく答えた。「でも、ぼくと一緒にいるだけで、きみにとってもいい体験になっているはずだ。だってきみは」長くしなやかな指でプルーデンスのあごをついと持ち上げる。「どんな思いつきも実現してもらうのに慣れているようだから」
「そんなことないわ」プルーデンスは反論しながら後ずさった。あごに触れる彼の指があまりに親密だったから。そして、ひどく心地よかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。