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花嫁泥棒【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

花嫁泥棒【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
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著者プロフィール

 スーザン・スペンサー・ポール(Susan Spencer Paul)
 第一子出産を機に勤めていた会社を辞めたのが、ロマンス小説を書きはじめたきっかけ。本作のようにイギリス中世を舞台にした作品以外に、十九世紀を描いたロマンスも執筆している。ほかにメアリー・スペンサーのペンネームを持つ。夫と三人の娘とともにアメリカは南カリフォルニアに在住。

解説

美しく礼儀正しき貴公子の正体は、手並み鮮やかな“花嫁泥棒”――

4年前、父が命を奪われた日を境に、イザベルの運命は一変した。母があとを追うように亡くなると伯父に引き取られたが、美しくも性悪な従姉にいじめられ、召使いのようにこき使われていた。ある日から、従姉のもとに求婚者ジャスティンが日参するようになる。聞くところによると、彼はひと月以内に婚礼の儀をあげなければ、いま治めている領地も城も没収されてしまうのだという。好条件を引き出そうと返事をもったいぶる狡猾な従姉のかたわらで、イザベルはこの礼儀正しい貴公子に淡い恋心を抱くようになっていった。だが残り2日に迫った夜、とんでもない事態に巻き込まれる――粗末な小部屋で眠るイザベルを、ジャスティンが強引に連れ去ったのだ!

■くる日もくる日も疲れ果てるまで働かされているイザベルに狙いを転じたジャスティン。よそで奴隷のように扱われている彼女の弟も引き取ると約束して、結婚を申し込みます。彼の大胆な実力行使に呆然としつつも、イザベルは弟のために一世一代の決断をし……。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「それでは今のうちに打ち合わせをしておこう。わたしは嘘はいやだが、君に無理強いするのはもっといやだ。しかし、伯父上はきっと結婚が成就した証を自分の目で確かめたいとおっしゃるだろう」
「ええ」
「だから、今はとりあえずうわべだけでも取り繕っておかなければならない。これは二人だけの秘密だよ」
 ジャスティンはそう言うと一歩下がってチュニックの袖を二の腕が見えるまでまくり上げ、ベッドに近づいていった。掛け布団をめくると真っ白なシーツが現れる。
 イザベルはわけがわからないまま、ジャスティンを見た。彼はベルトに下げた鞘から小さな短剣を引き抜いた。
「いったい……」
「夫婦の契りを今ここで結ばないとすれば、これしか方法がないのだ」
 ジャスティンは腕の内側に短剣の刃をすっと当てた。みるみる鮮血がにじんでいく。彼はその腕をシーツの上に持っていって、血を二、三滴、真っ白なシーツの上に垂らした。さらにそれを指でこすって本物らしく見せかける。やがて彼は一歩下がって血痕をしげしげと見入った。
「初めての女性というのは経験したことがないんだ。本物らしく見えるといいが。これで伯父上や、この結婚に異議を唱える者たちを納得させられるといいが――」
 イザベルは部屋を見回してようやく麻布を見つけると、それを彼の腕にあてがった。「大丈夫ですか? わたしが縛ります。すぐに治るといいけれど」
「大丈夫さ」包帯代わりに麻布を腕に巻きはじめたイザベルに、ジャスティンは微笑んだ。「早速かいがいしく世話してくれるとは、すっかりいい妻になっているね。イザベル?」ジャスティンは彼女の顎にもう一方の手をかけた。「夫として、キスをしてもいいかな?」
 彼はイザベルの返事も待たずにそっと彼女の唇に優しく情愛のこもったキスをした。ほんの軽いキスだったが、唇を離したジャスティンは、イザベルが夢見心地の表情になっているのに気づいた。
「どうだった?」
 イザベルが無言でうなずき、再び目を閉じる。ジャスティンは喜んでそれに応えた。できるだけ優しく唇を重ねたつもりなのに、いつの間にか体が熱くなってくる。
「ここでやめておこう。さもないと、今ここで本当に夫婦の契りを交わしてしまいそうだ」ジャスティンは唇を押し当てながらつぶやくと、未練たっぷりに体を引き、掛け布団をもとに戻した。「さぞ疲れているだろうね。ここで眠るといい。明日の朝、まだ伯父上がここに乗り込んできていなかったら、シエルに出発するよ」
「シエルへ?」イザベルはベッドに身を横たえながらきき返した。
「ああ」ジャスティンは麻布の上からチュニックの袖を引き下ろした。「君を兄のシエル伯に引き合わせ、土地と財産の無事を確認したいんだ」
 イザベルは身を起こした。「あなたのお兄さまがもし、わたしの父のことをお知りになったら……」
「兄に口出しはさせないよ」ジャスティンはきっぱりした口調で言うと、ベッドの端に腰かけ、イザベルをベッドに押し戻した。「イザベル、君はもうわたしの妻だ。君をけっして手放したりはしない。君の伯父上であろうと、わたしの兄であろうと、グロスター公であろうと、絶対に君は誰にも渡さない。辛抱強く待つから、いつかわたしを信頼してほしい。君に望むのはそれだけだ」ジャスティンは指先で彼女の眉から髪をなぞった。「今夜は大変だったね。できるだけ眠るようにするといい。あとはきっとうまくいく」
「でも、あなたは? あなただってお疲れのはずよ」
「ああ、確かに疲れている。暖炉のそばで一休みするつもりだ」
「もし伯父が乗り込んできたら、セネットのことを伝えてくださるかしら?」
「もちろんだとも。それに、伯父上の家から持ってきてほしいものはないかな? 君が大切にしている持ち物とか」
 イザベルの表情が悲しみに曇る。ジャスティンは額をなぞっていた手を止めて尋ねた。
「何かな?」
「いいえ、無理ですわ。両親の財産は国王によって没収されてしまいました。返還してもらえるとしても、伯父が所有権を主張するでしょう」
「さあ、やってみなければわからないよ」ジャスティンは再び額をなぞりはじめた。
 イザベルは不意に疲れを感じて目を閉じ、あくびをもらした。「あなたにご迷惑をかけたくありません。伯父から逃れられたことだけで十分ですわ」
「迷惑など、とんでもない。君にはご両親の財産を返してもらう権利がある。何カ月先になるかわからないが、いつか必ず手元に返ってくるよう取り計らおう。約束するよ」
 しかしその約束はイザベルの耳には届かなかったらしい。すでに彼女は規則正しい寝息をたてて眠ってしまっていた。ジャスティンは長い間そこに腰かけたまま、娶ったばかりの妻をじっと見つめていた。なんと艶のある髪だろう。絹糸のように滑らかな黒髪は長くてはっとするほど美しい。その黒髪が美しいブルーの目を際立たせている。初めてイザベルに会ったとき、思わず見とれてしまったほどだった。彼女と結婚できたのは、思ってもみない幸運だった。決められた相手よりずっといい相手に巡り合えた。兄のヒューもアレクサンダーも結婚相手が誰かを知ったら激怒するだろう。さらにこの結婚に手を貸してくれた兄ヒューゴーにも怒りが及ぶはずだ。ヒューゴーには申し訳ない気もするが、内心、それほど気にしてはいない。今や望んだ相手と結婚できたのだ。人も羨むいい妻だ。たとえ兄たちがなんと言おうと、これからはイザベルと生涯を共にするのだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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