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奪われた唇【ハーレクイン文庫版】

奪われた唇【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・モーティマー(Carole Mortimer)
 ハーレクイン・シリーズでもっとも愛され、人気のある作家の一人。1978年にイギリスでデビューして以来、これまでに刊行された作品は実に百冊を超える。十四歳のころからロマンス小説に傾倒し、アン・メイザーの作品に感銘を受けて作家になることを決意した。キャロルは三人兄妹の末っ子としてイギリスはベッドフォードシャー州の小村で育った。一時は看護師を志したが、転倒した際に痛めた背中が治りきらず断念。その後、某有名文房具メーカーのコンピューター部門に勤め、そこで働く間に時間を見つけて小説を書くようになった。物語を書くときに一番楽しいのは、ヒロインとヒーローの性格を考えるとき。書いているうちに徐々に主導権がヒロインとヒーローに移り、いつのまにか彼らが物語を語りはじめるのだという。現在キャロルは“イギリスで最も美しい場所”マン島に、夫と子供たちと住む。

解説

ある日、サビーナはブライスと名乗る富豪と出会う。その威圧的な態度に怯えつつも、男らしい魅力を放つ彼にサビーナはまたたくまに惹かれていき、ブライスと過ごしたひとときのあとにはもう、離れがたく感じていた。そして別れ際、彼のまなざしに射抜かれると、落ち着かない気持ちにさせられるのだった。そんな目で見られても、私はあなたを愛せない――そう、サビーナには、ある危険から身を守るために、権力者と婚約しているという“秘密”があって……。
*本書は、ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「こういったことを、これから何度もする運びになるの?」一時間もたつと、サビーナはきかずにはいられなかった。すてきな暖炉だけれど、一時間も見ていれば、想像をめぐらすにも限界がある。
 顔をしかめたブライスが彼女を見上げた。まだ頭はスケッチのことでいっぱい、という表情だ。「こういったことって?」
「こんなふうにモデルとして立っていること。座る場合もあるでしょうけれど。これからも、ずいぶんしなければならないの?」
 ブライスはそばのテーブルにスケッチブックを置いて、凝った肩をほぐした。
 本当にハンサムな人だ。サビーナはひそかに感嘆した。思慮深さを感じさせる浅黒い顔は、詩人のバイロンというところかしら。長すぎる黒い髪は、ロマを思わせる。でも、ロマンを追い求めたバイロンは、女性を値踏みするようなこんな目はしていなかった。深い緑色のその目が、いまもわたしのうわべを通り越して、心をのぞこうとしている。
「それがどうかしたのかい?」ようやくブライスは口を開いた。
「前にも言ったけれど、わたしは――」
「忙しい、か。確かに聞いたよ。何度もね」ブライスはあざけるような調子で遮った。カップを取り、冷めたコーヒーを飲み干す。「どうしてそんなに忙しいのか不思議だよ。きみは世界でも指折りのトップモデルだ。世界一ではないとしてもね。もう七年間も。なぜそこまで忙しく働きつづける必要がある?」
 働いていれば、考えずにすむ、思い出さずにすむからよ。くたくたに疲れていれば、夜だって何も考えず眠りに落ちるだけだもの!
 サビーナの心の叫びは、その冷静な表情には表れなかった。「世界のトップモデルでありつづけるためよ」淡々と答える。
 ブライスは唇を引き結んだ。「それがそんなに大切なことかい?」
 ばかにした響きを聞き取って、サビーナはかっと頬を染めた。「あなたには、世界で指折りの芸術家でいることが重要じゃないとでも?」辛辣にやり返す。
 確かにモデルになるには知性などたいして必要ないかもしれない。美しい容貌とある程度の運に恵まれていれば。でも、それだけではトップモデルでいつづけることはできない。サビーナは厳しい仕事をこなし、いつも最大限の努力をしている。だから、モデルの仕事を軽く見ているらしいブライスに対して、猛烈に腹が立った。自分では芸術家のはしくれだと思ってきたのだ。
「一本取られたな」ブライスが負けを認めた。「ただぼくには、来る日も来る日も、きみがああいうことをするのが想像できなくてね」
 サビーナの青い目が鋭くなった。「侮辱しているの? それとも思ったままを口にしただけ?」
 ブライスは悪びれずににやりとした。「どちらも、少しはあるかな」
 サビーナは首を振った。なんて傲慢な人だろうと思いながら。「あなたには、どうでもいいことなんでしょう?」
 ブライスはけげんそうな顔をした。「何が?」
「何もかもよ」わたしもこんなふうに楽観的でいられたら! ほかの人のように自分のことも笑い飛ばしていられたら! でも、わたしには無理。もう二度と。あの事件があってからは……。
 だめよ。考えてはだめ。
「そろそろ帰る時間だわ」サビーナはゴールドの腕時計に目をやった。リチャードからの婚約プレゼントだ。アクセサリーは、いつもこの腕時計とダイヤモンドの婚約指輪しかつけない。
 ブライスはわずかに首をかしげ、厳しいまなざしを彼女に向けながら考えている。「どうして?」
「これから行くところがあるのよ」
「リチャードの待つ家に戻るのかな?」ブライスはゆっくりと立ち上がった。
 小さなアトリエで彼の体の圧倒的な大きさを意識したサビーナは思わず一歩退き、背中が暖炉にぶつかった。
 ブライスは彼女の顔から一瞬たりとも目を離さずに、ゆっくりとサビーナに近づいた。数十センチ手前で立ち止まり、ブライスは探るように彼女を見つめた。
 サビーナは息ができなかった。初めて会ったときもこんなふうになったのを、サビーナは思い出した。
 これだけそばにいると、男性の体の熱さが伝わってくるような気がする。それにアフターシェーブ・ローションのほのかな匂いも。
 サビーナはあえいだ。「本当に、もう行かなくちゃ」
 ブライスはじっと見ている。「だったら、そこで立っていないで行けばいいだろう?」
 脚が動かない。サビーナは立っているのが精いっぱいだった。車のヘッドライトに照らされて道路で立ちすくむうさぎになった気分だ。危険が迫っているというのに!
 サビーナは乾いた唇を湿らせた。「そこをどいてもらえるかしら……?」
 ブライスが少しわきへよけた。「どうぞ」
 サビーナは両脚に力を入れて、ドアへ歩いていった。
「電話するよ」
 震える手でドアノブを握ったまま、サビーナは振り向いた。「いま、なんて?」
 ブライスは口元をゆがめた。「電話する、と言ったんだ。次回の予定があるから」ぽかんとしている彼女をからかうように説明する。
 しっかりするのよ、サビーナ。彼女は自分自身に言い聞かせた。どうしたというの? ブライス・マカリスターが近づきすぎた、それだけでしょう? だが、それだけではなかった。彼女は気づいていた。二人の間で何かが目覚め、それに戦慄をおぼえたことに……。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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