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赤い旋風

赤い旋風


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エマ・ダーシー(Emma Darcy)
 フランス語と英語の教師を経て、結婚後、コンピューター・プログラマーに転職。ものを作り出すことへの欲求は、油絵や陶芸、建築デザイン、自宅のインテリアを整えることに向けられた。人と接するのが好きで、人と人とのつながりに興味を持っていた彼女は、やがてロマンス小説の世界に楽しみを見いだし、登場人物それぞれに独自の性格を与えることに意欲を燃やすようになった。旅を楽しみ、その経験は作品の中に生かされている。現在はオーストラリアのニューサウスウェールズにあるカントリーハウスに住む。

解説

何度も求人広告に応募しているが、地味で冴えないソフィは、いまだ一度も面接までこぎつけたことがない。最後の頼みの綱だった秘書の仕事も、案の定だめだった。落ち込んだソフィは、思い切って美容院のモデルをすることに。結果、だれもが振り返る奇抜な赤髪にされてしまい……。そんなときに、折あしく面接通知が舞い込んできたのだ。面談に挑んだ彼女を待っていたのは、敏腕弁護士のジェイソン。冗談も通じないほど堅物の男は、髪に目をあてたまま言い放った。「きみを雇うかどうかは、ダーツで占って決めさせてもらう」

抄録

「わたしの評価は、これで決めてください、ミスター・ロンバード。髪の形や色ではなくて。それに、ひと言つけ加えておきますけど、これはコンテストで優勝したんです。ただ、あなたには、こういう芸術性はおわかりいただけないようですが」
 ジェイソンは椅子に背中を押しつけ、ソフィをにらみつけた。「光り輝いてるよ、ミス・メルヴィル。それに人を惑わす」
「わたしにどうしろとおっしゃるんですか? かつらかスカーフで髪を隠せとでも? 沈黙の誓いを守る尼僧のベールをかぶりましょうか? それとも幕の陰に隠れます?」ソフィは、平静さを示すように顔に明るい笑みを浮かべていたが、その目は挑むように光っていた。
「極端な話はやめようじゃないか、ミス・メルヴィル。とにかく期限まで待とう」
 ジェイソンの言葉は、ひどく不吉に響いた。そのせいでソフィは、あることをしようと思いついた。自分の部屋に帰ると、そのまま資料室へ行って、サリヴァンに関係した書類があるかどうかを探した。知る必要はないのかもしれないが、そもそもこの仕事に就くことができたのはサリヴァン問題に関してのべた意見のおかげだったし、自分なりの考えを練っておけば役に立ちそうな気がしたのだ。
 サリヴァン夫妻の資料はちゃんとあった。ざっとページをくってみると、ジェイソンは彼らの結婚以来、双方と密接なつき合いがあることがわかった。法的な手続きは、全部ジェイソンが手がけている。親しくつき合っているうちに、昔の情熱にまた火がついたのだろうか? サリヴァン夫妻の離婚騒ぎの背後にいるのは、ジェイソンなのだろうか?
「何か手伝おうか、ミス・メルヴィル?」
 ソフィはぎくりとした。ジェイソンが彼女のうしろの狭い通路に立って、逃げ道をふさいでいる。「いえ、何かのときのために、自分で勉強していただけですから」ソフィはすらすらと答えた。たいしたことではないと、ジェイソンに思わせたかった。
「きみを捜していたんだ。部屋にいなかったからね。きみが詮索好きだとは知らなかったよ」
 ソフィはあきらめてため息をついた。「それもおぼえておきます。詮索しないこと。たとえ上司の助けになることでも」
 ソフィはキャビネットの引き出しにファイルを戻して、さっと閉めようとした。けれどそのとき、力強い手が引き出しの上部をつかんだ。
「そう急がないで、ミス・メルヴィル」ジェイソンの声が耳元でした。彼は、体を硬くして立っているソフィの肩ごしに、引き出しをのぞきこんだ。「サリヴァンのファイルだな」
「わたしには、知る権利があります。この件がうまくいくかどうかに、わたしの職がかかっているんじゃないんですか?」
 もっと強硬に抗議しようとして、ソフィはくるりと振り向いた。と、その拍子に引き出しを押してしまい、そこに手をかけたままだったジェイソンは一瞬体のバランスを崩した。立ち直ろうとした彼は、本能的に一歩足を踏み出した。その結果、大変な事態になった。
 ソフィとジェイソンはぴったりくっついていた。腿は腿に、腹部は腹部に、そして胸はがっしりした胸にくっついている。そのたくましい感触に、ソフィは圧倒されてしまった。同時に、抑えきれない欲望がわき上がってくる。本能が、ジェイソンはわたしのものだ、とささやいた。そして、彼のほうでも同じように感じている、と。
 とっさにソフィはその証拠を見つけようと、彼の顔を見た。自分の表情まで考える余裕はなかった。ジェイソンの力強い体の感触に、なんともいえない震えが脚を走り抜け、胃がからっぽになったような気がした。体の中で欲望がはじける。
 ジェイソンの目には葛藤しているような表情が浮かんでいたが、ソフィの視線を受けたとたん、あるはっきりとした表情に変わった。ソフィはぞくりとした。銀色がかったグレーの瞳にきらめく光は、男性の本能そのものだった。ソフィに触れ、自分のものにしたい、と言っている。ソフィは、腰にジェイソンの手を感じた。温かな手のひらの感触が、細い腰をおおう。ジェイソンの興奮がはっきりと伝わってくる。ジェイソンは、ひどく官能的に唇をなめた。
 ソフィは首をそらしてキスを待ち受けた。彼の視線がソフィの唇に落ちる。ほら、来るわ、とソフィは思った。嬉しさに息がつまりそうになる。目を閉じたときには、体中の神経が期待に震えていた。
「ミスター・ロンバードはこちらですか?」きびきびした声がしたと思うと、すぐに驚きの声が響いた。「まあ!」
 ソフィはぱっと目を開けて、無粋な邪魔者を見た。受付嬢のチェリルが通路の端に立って、あんぐりと口を開け、目を見開いていた。ひたすら困惑しているようだ。
「あの、その、お邪魔して申し訳ありません、所長。でも、ミス・カーステアーズがお見えになって、ぜひお会いしたいとおっしゃるものですから」
 チェリルは返事も待たずに、踵を返して資料室を走り出ると、うしろ手にドアを閉めた。
 さっと体を離したジェイソンの顔を見てぞっとしたソフィは、先手を打った。
「あなたのせいで、わたしの評判がだいなしです」
「ぼくの評判はどうしてくれるんだ?」ジェイソンが言い返す。
 あきらかに彼の不機嫌は、欲望が満たされなかったことへの反動だ。「部屋へ帰ります」ソフィはさっさとジェイソンを置き去りにした。


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