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愛の儀式

愛の儀式


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

パリで住みこみ家事をしている学生クリスタベルは、女主人に用事を言いつかって、その義兄ローランの住む、ブルターニュの奥地へやってきていた。深夜に古城に辿りつくと、待ち受けていたのはひとりの男。浅黒い美貌に、嫌がらせのような皮肉な笑みを湛える彼に、「誰の差し金だ。ぼくを誘惑しにきたのか」突然犬をけしかけられるや、憎々しげな目で一瞥されたのだ。何年も城に引きこもっており、気難しいと噂の城主だったが、あまりにもひどい侮辱に、混乱するクリスタベルは唇をかんだ。

抄録

「おやすみなさい、ムッシュー!」
 こんな話にこれ以上つき合うつもりはなかった。クリスタベルは階段に向かったが、たちまちローランに追いつかれてしまった。ローランは笑い声をあげ、目に嘲りの色をうかべて、クリスタベルの腕をつかんだ。
「きみの虚栄心を傷つけたってわけか、マドモアゼル? すまなかったな……どうしたら機嫌を直してくれるかな? 優しいキスではどうだろう?」
 クリスタベルは腕をつかまれたまま体をこわばらせた。ふいに顔から血の気が引いた。それなのになぜか、血潮は岩に砕け散る波のように荒々しく血管を駆けめぐっている。わたしが下りてくるまで、ローランはどれくらい飲んでいたのかしら? 彼は頭がおかしいか、酔っ払っているかだわ!
「手を離してください、ムッシュー。ちっともおかしくなんかないわ……あの……まさかあなた……」
「招待もされないのにやってきて、無理やりぼくの家に押し入るとどうなるか教えてやろう、そんな振るまいをする若い娘がどんな目に遭うかということを。ぼくが紳士らしく振るまうほうにきみは賭けたそうだろう? 賭に負けたらどうなる? 紳士に対するきみの認識が間違っていたらどうするつもりだ?」
「そんな言い方はよしてちょうだい!」
「おや、きみがかわいいからぼくがのぼせ上がったとでも思っているのか? ぼくにはきみが女であるというだけで充分なんだよ」
 ローランは抵抗を無視してぐっとクリスタベルを引き寄せ、抗議の言葉を息もつけないほど荒々しいキスで封じた。
 夜の闇の中で初めてローランを見た瞬間から、残忍で傲慢な人だと直感でわかったのに――この古い城に何世紀も前に住んでいた彼の先祖と同じように、侵入者をやっつけるためには猟犬を使うことのできる人だと。
 あのときはそんな幻想に取りつかれた自分を笑った。ローランはまさしく現代の人間で、過去の亡霊じゃないのに、と。けれども今は、ローランの力強い唇に無理やり唇を開かされ、恐怖がふたたびクリスタベルを襲った。
 きゃしゃな体で戦う力もなく、クリスタベルはローランの腕の中でむなしくもがくばかりだった。ローランを押しとどめられないのも屈辱だが、さらに屈辱的なのは、必死にもがきながらも心の奥底ではローランの魅力と力強い肉体を強烈に意識しているのがわかったことだった。
 自分がぐいぐいローランにひきつけられていくのは、ショックだった。相手は赤の他人で、まったく好意を持ってなどいないのに。どうしてキスをかえしたい、愛撫したい、愛を交わしたいなどと思うのだろう?
 わたしったらばかみたい、こんな気持になるなんて。きっと疲れと慣れない環境のせいだわ。クリスタベルはようやく力任せにローランのくるぶしを蹴った。ローランは悪態をつき、頭を上げた。顔は赤黒く目はぎらついている。
「ぼくは思い出したくないくらい長い間、女性に触れていないんだ。イギリスのお嬢さん、きみは危険な過ちを犯した、今夜ここに来るなんて」
 衝撃が高潮のようにクリスタベルを襲った。ローランはクリスタベルの二の腕をつかんだままで、長い指が肌に食いこむ。クリスタベルはおびえて相手を見つめた。彼はまさか本気で言ってるんじゃないでしょうね! ああ、神さま、わたしはなんてことに巻きこまれてしまったんでしょう。
 見知らぬ館に来て、見知らぬ男性が一人でいるところに泊まることがどんなに危険なことか、わたしったら今まで考えてもみなかった。この二年間、この男性の亡くなった弟さんの子供たちの世話をしてきたものだから、わたしも家族の一員みたいな気がしていたんだわ。ローランがわたしを誘惑し、もっと悪いことにレイプしようとするなんて夢にも思わなかった……。
「わたし、明日ここを発ちます!」クリスタベルは声を震わせた。「わたしに指一本でも触れたら……きっと後悔しますよ!」
「おやおや、怖いなあ」ローランは嘲笑った。冷酷な瞳は今も苦い欲望に燃えているが、相手を賛えるにはほど遠く、まるで敵を脅迫しているようだ。
「あなた、おかしいわ! でなければ酔っ払ってるのよ!」
「酔っ払いでもしないかぎり、ぼくがきみを抱きたがるはずがないと思ってるわけか?」
 クリスタベルはたじろいだ。琥珀色の瞳が傷つけられた痛みにかげった。どうしてこの人はほとんど知らない相手にこれほど残酷になれるのかしら? わたしは何もしていないのに! いったい何がこの人をこんなふうにしてしまったの?
「子供たちはきみをなんと呼んでいたかな? ベル? |美人《ベル》とはきみにふさわしい名前じゃないな。しかし、暗闇では猫はすべて灰色だ。きみの体つきは悪くない、そのひどい服の外から判断するかぎりでは、だが。……なぜイギリスの女性はそんなひどい身なりをするのかな? まあ、いい。きみの容貌なんか誰が気にするものか。今夜ぼくには飢えをいやしてくれる女性が必要なんだ――その女がかわいいかどうかなんてことは、ちっとも気にならないのさ!」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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