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雨のなかの出会い【ハーレクイン・セレクト版】

雨のなかの出会い【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェシカ・スティール(Jessica Steele)
 イングランド中部に、七人兄妹の六番目に生まれた。現在はウースターシャーの風光明媚で文化財に富んだ村に夫とともに住んでいる。公務員として働きながら夜の時間を執筆にあてていたが、夫の励ましを得てフルタイムの作家となった。一番の趣味は旅行で、メキシコ、中国、香港……と、取材をかねてさまざまな国を訪れている。

解説

家政婦のマロンは土砂降りの雨の中を一人で歩いていた。雇い主から暴力を振るわれそうになり、逃げだしてきたのだ。恐ろしさと寒さに震えるマロンの前に、一台の高級車がとまった。ハリスと名乗る男性は彼女を車に乗せると、親切にも屋敷に招き、ここで住みこみの管理人として働いてみてはどうかと声をかけた。会社の経営者だそうだが、以前の雇い主と違ってよい人のようだ。だが働きだしてすぐに、思いがけない事件が起きた。階段の踊り場でつまずいたマロンはハリスと折り重なって倒れ、あろうことか唇を重ね合わせてしまったのだ。皮肉にもマロンはそのとき悟った──彼に惹かれ始めていることに。

■男性不信で心を閉ざしかけていた家政婦マロンの心を癒したのは、雨の中で彼女を拾った会社社長ハリスでした。ジェシカ・スティールが描くピュアなシンデレラ・ロマンスをお楽しみください。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「一緒に来てくれる?」
「どこまでも一緒に行くよ」
 玄関に鍵はかかっていなかった。マロンの隣に立つハリスは背が高く、怒りをあらわにしている。彼はノックもせず、いきなり入っていった。ローランド・フィリップスの姿はどこにもない。
「一分で戻る。きみのほうが先にフィリップスを見かけたら、大声で呼んでくれ」
 ハリスが応接間をのぞきに行ったあいだ、マロンはびくびくしながら階段の下で待っていた。やがて、うめき声に続いてどしんという音が聞こえた気がしたが、何事か調べに行く気はなかった。
 約束どおり、一分とたたないうちにハリスが戻ってきた。階段をのぼるときも、スーツケースに荷物を詰めるあいだも、彼はそばにいてくれた。
 ローランド・フィリップスが今にも現れるに違いない。そんな思いに胃が締めつけられる。しかしまもなく、彼女は車の助手席に、ハリス・クウィリアンの隣に座っていた。元の雇主の姿を見ることはなく、気分が軽くなってきた。
「ありがとう」アルモラ・ロッジを離れると、マロンはひと言礼を言った。
「どういたしまして」ハリスの声には、本当に喜んでいるかのような響きがあった。マロンの目はハンドルを握る彼の手に引きつけられた。右手の拳がかすかに赤くなっている。
「ロッジにローランド・フィリップスがいたんじゃないの?」先ほど、うめき声とどしんという音が聞こえたことがふと思い出された。「手が赤くなっているわ。あなたにそんな思いをさせるなんて、ひどい人ね!」止める間もなく、言葉が勝手に口をついて出た。
「それだけの価値はあったさ」ハリスが言う。
 マロンは視線を転じ、運転席の彼を見た。がっしりした顎、引き結んだ唇、落ち着いたまなざし。彼女はハリスが好きになりはじめていた。「フィリップスを殴る口実には事欠かなかったわね」妹が夫とよりを戻したがっていたので、今まではフィリップスを殴りたい衝動を抑えていたのだろう。けれど、今日のフィリップスの行状がハリスには彼を懲らしめる格好の口実になったのだ。
「いかにも。だけど、残念ながら彼がまだ酔っ払っていたんで、一度殴るだけで充分だった」
 マロンはほほ笑まずにはいられなかった。いい気分だ。
 ハーコート・ハウスに着くと、ハリスがスーツケースを二階まで運んだ。使える状態だという二つの寝室は隣りあっていた。まだベッドの入っていない部屋に彼女の荷物を置いてから、ハリスは隣の部屋へ案内した。
「シーツやタオルのたぐいはフェイがたっぷり用意してくれたから、あとはきみにまかせるよ」戸口でためらっているマロンに、ハリスはさりげなく言い添えた。「両方の寝室のドアに鍵をつけてもらうよう、明日手配しておく」そして一泊用の旅行鞄をとりあげた。「ぼくはそろそろ帰るとするか」
 今夜は大事なデートがあるのだろうとマロンは想像した。彼には楽しんでほしい。
「本当に親切にしてもらって。あのとき、あなたが引き返してきて乗せてくれなかったら、どうなっていたかわからないわ」
「ぼくもきみに助けてもらったんだ。それを忘れないで」ハリスは財布をとりだし、紙幣の束をマロンに渡した。「これまでの経験からして、給料は先払いのほうがいいだろう」
「そんな……」彼女は抗議しかけた。
「ぼくを困らせないでくれ、マロン。きみはきっとそれだけの働きをしてくれる気がする。大勢の職人にお茶やコーヒーを出すだけでもひと仕事だからね。食品棚に入っているものは好きに食べてくれ。きみのためにあるんだから、遠慮しないで」彼はマロンの華奢な体に視線を走らせた。ゆったりした服を着ていても、体の線は隠せない。
 マロンは必死で平静を保とうとした。大きく見開いた濃いブルーの目に困惑の色を浮かべ、落ち着き払った灰色の目を見つめる。彼はもはやほほ笑んでいなかった。
「マロン、きみは美しい顔にすばらしい体つきをしている。それに今日は恐ろしい経験をした。でもぼくを信用してほしい。出会った男がすべて、きみの体目当てに近づくわけじゃないんだから」
 マロンは喉のつかえをのみこんだ。この人はたまにそっけなく辛辣なことを言うものの、とても親切にしてくれたこともたしかだ。「それは、百万年たってもないということ?」笑ったハリスに、マロンも安心してほほ笑みかけた。
「まあ、そのようなものだ」
「だったら帰って」給料を前払いしてもらったからには彼は自分の雇主ということになる。それを思い出して、マロンはつけ加えた。「ください」
 彼女が元気をとり戻したのが、ハリスにはうれしかった。名刺を渡しながら言う。「何かあったら連絡してくれ。本当にひとりで大丈夫? 怖くないかい?」
「大丈夫よ。実は、長いあいだ経験したことがないくらい気分がいいの」
 マロンをしばし見つめていたハリス・クウィリアンは、納得がいったのか短くうなずき、旅行鞄と車のキーを手にした。「金曜日にまた来るかもしれない」それだけ言い残して去っていった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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