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拒絶された億万長者【ハーレクイン・セレクト版】

拒絶された億万長者【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

仕事でブラジルを訪れたイザベルは、ディナーの席で仕事相手から義理の息子を紹介されて凍りついた。アレジャンドロ!彼とは3年前、運命的に出会い、燃えるような一夜をともにした。だが翌朝、彼は緊急の用件でブラジルへ帰国してしまったのだ──かならず戻ってくるという言葉だけを残して。巨大企業を経営しているというアレジャンドロは、片足が不自由になり、すっかり気難しい人物に変貌していた。いったいこの3年でアレジャンドロに何が起きたというの?さらに彼女を怯えさせたのは、彼が秘密を知っていたことだ。あの一夜で授かった、かわいい娘がいるということを。

■ベテラン作家アン・メイザーの2010年刊行の人気作をお届けします。彼女に憧れてロマンス作家になったという新人作家が多いのもうなずける、ドラマティックなシークレットベビーの傑作です。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 男性がキッチンの中へ入ってきた。イザベルは大きく目を見開いた。胸の内には不安ばかりでなく、経験したことのない期待感もあった。きっとパンチを味見しすぎたせいだ。しっかりしなさい、ベル、と自分に言い聞かせる。だが、彼は持っていたビール瓶をキッチンの水切り台に置いただけだった。面白そうに口元を緩ませているのは、こちらの見せたささやかとはいえない反応に気づいたからだろうか。
 彼はその場にとどまったまま、しばし考えてから言った。「じゃあ、君がイザベルだね?」
「ええ」イザベルはやや驚きながらもうなずいた。「イザベル・ジェイムソンよ」そして、ためらいがちに尋ねた。「で、あなたは?」
「僕はアレジャンドロ・カブラル」彼は軽く頭を下げた。「|お会いできてうれしいです《ムイント・プラゼ》」
「えっ、ああ、こちらこそうれしいです」握手を求められ、イザベルは面食らった。こんな形式ばった挨拶はほとんどしたことがない。だが、彼の国ではそういう礼儀作法がまだ重んじられているのだろう。
 アレジャンドロはイザベルの差し出した手を取り、口元に持っていった。そして、指の関節にキスをされるのではないかという彼女の予想を裏切り、手のひらに温かなキスをした。イザベルは一瞬、彼の舌が肌をかすめたように感じた。思いがけない出来事に頭が混乱し、錯覚を起こしたのかもしれないが。
 すぐに手を引っこめてスラックスで拭い、何ごともなかったかのようにふるまえればよかったのだが、アレジャンドロは放してくれなかった。手を握ったまま、こちらの目をじっと見つめている。大胆な行動に出たうえに拒否反応を示されて、自分が相手を動揺させていることに気づいたらしい。
「ミスター・カブラル――」
「アレジャンドロでいい」彼がかすれ声で遮る。イザベルの口の中はたちまちからからになった。「君がイザベルと呼ばせてくれるならだけど。とてもすてきな名前だね。僕の祖母はイザベラというんだ。僕の国ではよくある名前さ」
 イザベルは乾いた唇を舌先で湿し、とまどい半分、苛立ち半分で、首を振った。彼はどこでこんな誘惑のテクニックを身につけたのだろう。イギリスではないはずだ。年のころは二十五、六かしら。こちらはもうすぐ三十だというのに、及びもつかない未熟者になった気がする。
「好きなように呼んでくれていいわ、ええと、アレジャンドロ」イザベルは言った。「その手を放してくれるなら」ようやく手を引っこめ、なんとか笑顔を作る。「あまり楽しめていないみたいね?」
 アレジャンドロは肩をすくめた。高級なシャツの下で広い肩がしなやかに動く。「君もだろう? だからここに隠れているんじゃないのかい?」
 イザベルは蜂蜜色に輝く髪よりいくぶん濃い色あいの眉をつり上げ、きっぱりと言った。「隠れてなんかいないわ。だって、こんなに簡単に見つかるところにいるのよ」
 アレジャンドロはいぶかしげな目つきでイザベルを見つめた。「一緒に隠れようか」そう言うと、片手を伸ばし、彼女の唇から顎にかけてのラインを指先でなぞった。「どう?」
 イザベルは反射的に後ずさった。「いいえ、けっこうよ!」こんな事態を招いた自分に腹が立って叫ぶ。どんな女だと思われたか知らないが、一夜限りの関係を持つ気になどなれない。彼の欲望を満たす役はジュリアに任せればいいのだ。ほかのどんな男性とだって、かかわるつもりはいっさいなかった。
 だが運の悪いことに、足元に空のビールケースが置かれていた。バランスを失いかけたイザベルは、とっさにカウンターにつかまった。思いがけず指先が、アレジャンドロの引きしまった腹筋をかすめる。たちまち体がかっと熱くなった。つい先ほど触れられたときと同じ反応だ。しかし、彼が体を支えようと手を差しのべてくる前に、慌てて距離をとった。
「パーティに戻ったほうがいいわよ、ミスター・カブラル」すでにアレジャンドロと呼んでいたにもかかわらず、イザベルは姓で呼びかけた。「きっと今ごろジュリアが捜してるわ」
「それがなんだっていうんだ?」アレジャンドロの声が親密な響きを増す。
「彼女にとっては大事よ」イザベルはそっけなく言い、会話を明るい方向へ持っていこうとした。「ポルトガルではよくパーティをするんでしょうね」
 アレジャンドロは肩をすくめると、両腕を広げて背後のカウンターに手をついた。「僕はポルトガルでパーティはやらない」乾いた口調で答える。「僕はポルトガル人じゃない、ブラジル人だ」
 イザベルは口をぽかんと開けた。ぶつけた足首がずきずきと痛むことも、彼を追い払おうとしていたことも忘れ、目を丸くして言った。「すてき! 南アメリカには一度行ってみたいと思っていたのよ」
「|本当に《ジ・ベルダージ》?」
 その言葉の意味はわからなかったが、イザベルは急いで続けた。「じゃあ、ロンドンで働いているの? あなたも広告宣伝業界のお仕事を?」
「|いや《ナウン》」アレジャンドロは唇をすぼめ、おどけるように言った。「自分を宣伝する趣味はないよ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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