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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

愛なき億万長者の嫉妬

愛なき億万長者の嫉妬


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マヤ・ブレイク(Maya Blake)
 イギリスの作家。妻であり2人の子どもの母でもある彼女がロマンス小説の虜になったのは、13歳のとき。姉から借りた1冊のハーレクインがきっかけだった。そんな彼女にとって、ハーレクイン社でのデビューは夢のようだったと語る。執筆に没頭していないときは、旅行やツイッターが好きだという。

解説

傲慢で、気分屋で、嫉妬深いボス。なのになぜ、彼への想いが止まらないの?

両親の経営する広告会社で働くエリーズは、スペイン大富豪アレハンドロから仕事のパートナーに指名された。この仕事を成功させれば、父も母もきっと喜んでくれるはず。明るい希望を胸に、彼女はアレハンドロの会社へと出向くが、いきなり彼から見当違いな罵声を浴びせられ、ショックを受けた。「男性社員といちゃつくのはよせ。ここは恋人探しの場ではない」仕事の話をしていただけよ。エリーズは抗議しようとしたが、アレハンドロの燃える瞳に射すくめられ、陶然としてしまう。しかも、なぜか彼は出張に同行するようエリーズに厳しく命じ……。

■両親のために身を粉にして働き、絵を描くことだけが心の支えだったエリーズ。大富豪アレハンドロの嫉妬の炎に炙られて、自分でも知らなかった女性らしさに目覚めていく過程が丁寧に描かれます。

抄録

 二人はそのまま、吐息が混じり合うほど顔を寄せ合っていた。こんなふうに彼に心の奥をのぞきこまれていては危険だ、とエリーズは感じた。「こんなに飲むつもりはなかったのよ。でも、両親のことを話すとつらくなって……。わかるかしら、この気持ち?」
 アレハンドロの唇に妙にわびしげな笑みが宿った。「いや、わからない」
 エリーズは苦い顔をした。「そうよね。きっとあなたは、むかつくほど幸せな子供時代を送ったのでしょうから」
 ウエストにまわされた彼の手に、ごくわずかに力がこもった。「むかつくことは頻繁にあった。幸せとは無縁だったよ」
 肌に伝わる彼の手のぬくもりと、その手を別の場所に這わせてほしいという欲求に、エリーズの脳はすっかり支配された。
「かわいそうね。あなたも私も」
「哀れみなど不要だ」
 とげとげしい返答にエリーズが身震いすると、アレハンドロは腕を撫で上げて温めてくれた。彼女はそのぬくもりから会話のほうに意識をそらそうとした。「哀れんだわけではないの。ただ……」胸の奥にあった問いが頭をもたげる。けれど、腕に添えられた彼の手に思考回路を狂わされた。「アレハンドロ」
「|うん《シ》?」
 異国の言葉に、エリーズは心をかき乱された。「もう放して大丈夫よ」
 アレハンドロは一瞬手に力を込めてから、彼女を放した。「コーヒーでも飲むか? それとも、今日はこれで終わりにするか?」
 自分でもばかげていると思いながらも、エリーズはまだ今夜にピリオドを打つ気にはなれなかった。「交渉停滞の背景に誰がいるのか、教えてくれるつもりだったんでしょう」
 彼の瞳をさまざまな感情がよぎる。その恐ろしげな様相に、エリーズはおののいた。
「僕の弟だ」ようやく答えたアレハンドロの声からは、いっさいの感情が排されていた。
「あなたの弟? どうして?」
 アレハンドロはコーヒーのワゴンに歩み寄り、カップにエスプレッソをついだ。「僕も君と同じように、家族という言葉からハートや花は思い浮かばないんだ」
 理解したくなくても、エリーズには彼の言っていることが理解できた。「それは大げさなんじゃない? 弟さんが兄であるあなたをそんなに傷つけたがるかしら?」
 アレハンドロの唇がゆがんだ。「僕が傷つくような人間だと思っているのか? せいぜい、あいつをうっとうしいと感じるだけだ」
 恐るべき自信に裏打ちされたせりふに、またもエリーズはおののいた。とはいえ、アレハンドロには言葉にしがたい親近感を覚えた。
 彼がコーヒーを飲み干して言った。「今日の仕事のノルマはもう果たした。おいで」
 足早にダイニングルームを出ていく彼を、エリーズは急いで追った。アレハンドロのオフィスに着くと、彼がエリーズのオフィスから彼女のジャケットとブリーフケースを持って出てきた。エリーズは礼を言ってそれらを受け取り、挨拶をして出ていこうとした。ところが、アレハンドロも自分のジャケットを手にやってきた。「あなたも帰るの?」
「家まで送っていくよ」
 エリーズはかぶりを振った。「その必要はないわ。地下鉄に乗って二十分で着くもの」
 アレハンドロは彼女の肘をつかみ、ドアへと促した。「こんな夜遅くに君を地下鉄に乗せるなんて、ありえない。明日も無事に出勤してほしいからな」
「本当に心配いらない――」
「無用の議論はしないという合意を、もう忘れたのか?」
 エリーズは唇をきっと結び、アレハンドロとともにエレベーターに乗った。強烈な存在感を発揮している男性と狭い空間で二人きりになると、自分がちっぽけで無能な人間になった気がした。つい顔をそむけたら、今度は眼前のミラーに彼の姿が映し出されていた。
 横から見ても、アレハンドロの顔はとびきり魅惑的だった。明るい光の下でブロンズ色に輝く肌。つややかにきらめく焦茶色の髪。エリーズは生まれて初めて男性の肌や髪に触れたくなった。大学時代は主専攻をふたつ選択して勉強に明け暮れていたし、たまに男性に誘われてデートに出かけても、暗に体を求められていると察した時点で別れた。働きはじめてからも、その状態は続いた。なのにアレハンドロを見つめていると、暗黙の誘惑に屈したいという衝動に駆られた。
 凝視されていることに気づいたのか、アレハンドロが顔を上げた。すると、二人の視線が鏡の中でぶつかった。彼の眼力に圧倒され、エリーズは目をそらせなくなった。みぞおちが熱くなり、体のあちこちがうずきだした。
 探るようにこちらを見つめるアレハンドロの目が、しだいに陰っていく。その視線を口元に注がれて、エリーズは魔法でもかけられたかのように唇を開いた。
 そのとき、エレベーターが止まってドアが開いた。魔法は瞬時に解けた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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